・第三十三話「僕等は一つじゃない(完結編)」
・第三十三話「
「
『
「予想外はあいつか。リアラ・ソアフ・シュム・パロン」
予想通り、これまで主戦力であると見なされていたルルヤは『
「今迄の戦い方では勝てないと見切ってはいたが。今迄ではない戦いも出来たか」
しかし事前の戦力分析で今までという言葉を使っていたように、この可能性もまた『
何らかの飛行魔法を用いて空を駆けながら。遥か先のリアラではなく、目指す先の光景を見る。
「な、何でお前が邪魔をする! 『
「『
海上を飛行し対峙するのは、『
『
そして『
(やる気か!?)
それに『
「え? ……ぐはあああっ!?」
『
「な、何がっ……!?」
「即死しねーのかよ、『
まるで描写が省略されたかの様な攻撃。苦悶しながら混乱に目を見開く『
だがそのとき!
「『
DOWAO! DOWAODOWAO!
奇怪な飛行音ともにルルヤのそれにひけをとらぬ空中にギザギザの軌道を描く慣性と重力を無視した飛行で割って入った影が、強烈な風の攻撃を放った。即座に身をかわす『
「『
そこに割って入ったそいつは、片腕を即座に三本の鉤爪を捩り合わせた様な凶悪なデザインのドリルに変えると『
「自分への重力と慣性を『
間に割って入り、狂暴な眼光で両者を睨み激突を阻止する『
「だろ?」「見切るか、流石」
それに追い付くように現れ、己の背後を取った『
「だがそれは兎も角として、なぜ
「別に? くたばった
仮面もその下の表情も声も無機質に『
「如何にもその通りだ。危険の話は既に聞き及んでいるし、件の暴走も片や独自魔法で片や力で何とかしただろう『
私が変える。私が望む方向に。それに従わないなら、お前もここで滅ぶか? とでも言う様に、無表情で淡々としかし凍れる剣の様に冷厳と『
「変わる? ハハッ、ワロス。お前らは変われないよ。死ぬのはお前たちで、こっちは関係ねーさ」
それでも尚にやにやと真に受けない『
「こっち、か」
「ああ、そうだとも。ここでそれを言っておく必要があった」
その言葉に、将棋の駒を打つ様に呟いた。そして、それに『
俺にはではなくこっちには。それはつまり、『
と、一瞬で先の先の更に先まで『
(『
『
「んぶっ!? げほ……、おおっ!?」
それをまともに受けて飲み込む羽目になった『
「さて、ここからは三対一だ」
「別にいいぜ。少なくともそこのそいつぁ雑魚だ」
「……!」
己を見る『
「お前は若干物分かりが悪いようだから言っておくが。立ちはだかったのが俺だって事と、この場に『
謎めいた言葉を『
(『
(これは少々面倒ですねえ)
(予想より辺境諸国艦隊の動きがよい。そこそこの数が来てる。どころか、鉱易砂海の船まで来てますね、これは)
応じる『
(【
諸島海政府の要請で出した連合帝国艦隊。『
(この数の船から【地脈】で魔法力を集めれば、〈
(馬鹿野郎それどころじゃない! 『
船団にリアラとルルヤの仲間がいる事を
(空間を切断して唐突に出現できる怪物相手にどうしろと言うんですか。貴方の前に出る二秒前まで、彼は何時も通り〈絶え果て島〉に居たんですよ? 『
肩を竦めて嘆息して2秒、飄々とした口調のまま『
(いずれにせよこうなってしまえば〈
(いいのか? 俺は回復したし、『
諦めが早すぎるのでは、と、3対1の戦いを開始しながら反論する『
(『
そして、くわ、と、いつも細く閉じかけていた目を見開く。見開いたその目は、狼や蛇のごとき鋭い殺気を持っていた。
(……かつては脅威をむしろ誇張して利用しました。鼠の如き子供だと思っていましたが、なかなかどうして侮れない。
(それは、まあ、そうだが……うおっ!?)
それに気付いて『
その表情は、その眼光は、凄まじい覚悟の表情としか言いようがないがそんな言葉では収まらない顔をしていた。五体が粉微塵に砕け散ろうとも、
(……畜生が)
全裸でも戦って見せる、リアラは死なせないとばかりにルルヤもまた同じ表情を浮かべた事に、内心唸った。
だが水平線に邪魔をされぬ距離とはいえ、この距離では人間など埃粒程度にも見えるかどうか。まして此方は
「『
「へー、予想してた? だから手の内を隠したのか。情けない話だなあ、ええおい。それでもこっちの力に対応した上できっちり目立たない力だけで追随してくるのは、一回転生小僧にしちゃあ、やるじゃん」
そして『
『
「直接手合わせして大体分かった。貴様は確かに強い。あらゆる転生者よりも。だがこの場で殺すのは面倒だが、手が無い訳でもない。しかしどうしようもない馬鹿だったが単純な破壊力という点では新天地
ルルヤが見せた黒い暴走。それ自体は『
それに実際手合わせし方針を変換したとはいえ、元々〈
「故に、健闘に敬意を表する、と言っておこう。だが、これまでも、今も、我々の、派閥間の目的の相違や戦略的意図で、貴様等は生かされたのだ。そして、これからはそれは無くなる。その時がお前達の最後だ。それを忘れるな」
「忘れないさ。その仲違い、その優先事項、その条件をも武器にして、必ず勝つ」
沈黙を保つ『
「首洗って待ってなよ、今回邪魔をしたのは必要な時まで育てて収穫する為なんだから。せいぜい肉質良くしてるんだな子豚ちゃん。ま、似たような事は『
「……そんな目論見を持った事を後悔させてやる。あと、誰が、何処が子豚だ!」
『
そして、
(こんな事もあろうかと、貴方の幻を作るだけではなく、何人かの幻を作っておきました。仮に相手が《
(た、助かったぜ)
その影で、離脱する『
(私を破滅させた奴も、ああいう目をしていたのだろうか。世界を、権威を、強者を恐れぬ目。やはり貴女方は、必ずその心をへし折って殺します)
この場に集まった四人の
(しかし。組織の為に命を捨てられる人間がいない、最終的に相互の目的が両立不能の派閥も存在する、この二つの新天地
『
(本当の戦いは、ここからです)
戦いは続く。より複雑さを増して。
逆襲物語ネイキッド・ブレイド、今尚、
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