第7話 答え

チャイムの音で目を覚ました。

上半身を起こして辺りを見渡す。

「保健室か」

16時10分。

放課後か。

誰もいない…。

春斗も…いない。

ズキッ。

「痛っ!」

俺は、頭を抑えた。

頭も痛いが、何よりも心が痛くて…苦しい。

春斗何してるのかな…。

俺、面倒臭い性格だから嫌になって帰っちゃったかな。

それか、友達と遊び行ったかな。

それとも、恋人…。

男じゃない、ちゃんとした女の子と…。

涙が零れる。

「俺、ダメだよな。こんなに春斗のこと好きなのに、疑ったりして…」

謝りに行こう。

クラクラする頭を抑えながら、ベッドから降り、保健室を出た。

放課後だから、教室かな。

それか、もう帰っちゃってるかな。

「今日のうちに、謝りたいな…」

教室近くの廊下を歩いてると、聞きなれた声が聞こえてきた。

愛しい声が…。

教室を覗き、春斗がいる事を確認した。

春斗以外に、男2人と女子1人がいた。

笑い声が教室に響き、廊下にも響く。

盛り上がってんな…。

「でさー、春斗はどの子タイプ?」

え!

俺は、バクバクする胸を手で抑えた。

「俺は、これかな」

「お!お前、こういう系好きだったんだ」

「いや、なんか女の子らしいっていうか」

ズキッ。

胸が痛い。

女の子らしい…。

やっぱり、女の子の方が好きなのかな…。

「マジで!」

ビクッ。

「良かったな、春斗!今日の合コン、この子来るってよ!お持ち帰りしちゃえよ!」

え…。

合…コン…?

「お持ち帰りはしないけど、会うの楽しみだな笑」

……。

あぁ、分かった…。

答えがやっと出た。

これで頭痛からも胸の痛みからも解放される。

「…。俺だけ本気で好きだったんだな」

涙も出ない。

全部、すっきりまとまった。

もう、迷いなんてないよ。

いつまでも春斗の近くにいたら、臓器全てぐちゃぐちゃになりそう。

苦しくて、苦しくて。

早く解放されたい。

楽になりたい。

でも…。

どんな事しても、春斗の事は忘れられない。

春斗が、俺でもない女の子を好きでも、胸が苦しいのは、春斗の事が好きだから…。

忘れたい。

忘れられない。

だから、


「死のうか」





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君の瞳から流れる美しい花は 花宮朔久 @Kamiyama0625

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