第6話心の乱れ
具合悪い…。
考えすぎたか。
俺は、昨日からずっと同じ事を頭の中でリピートさせていた。
おかげで、一睡もできてない。
昨日、春斗は俺と付き合うのを気持ち悪いって言った。
それは、男同士の恋愛が気持ち悪いのか、男(春斗)を好きな俺が気持ち悪いのか。
でも、春斗は言ったんだ。
好きって。
あれは、嘘だったのか。
最初から春斗がしてくれた事も、言ってくれた言葉も全部嘘?それとも遊び?
あ…。
腹がモヤモヤする。
考えるのは、もうやめよう。
でも…。
俺たちは、どうなるんだ。
俺は、どうすれば…。
「聖人…。おい、聖人」
「…あ、何…?」
「何じゃねーよ。人の話無視しやがって」
「あぁ、ごめん。ちょっと考え事してて…」
俺は、春斗と目を合わすことが出来なくて、ずっと春斗の胸辺りを見ていた。
ガタッ。
え!?
自分の頬に何かが触れる。
その何かは、俺の頬包むようにした。
「考え事って、もしかして俺の事?」
春斗と目と目が合って、やっと今の状況に気がついた。
「俺の事好きすぎてだろ?」
え…。
俺は、春斗を見つめた。
「ったく、聖人はいつも俺の事ばっかだよな。どうでもいい事ばっか考えやがって」
…っ。
バシッ。
俺は、俺の頬にある春斗の手を振り払った。
「なんだよそれ…。確かに春斗の事考えてたけど、どうでもいい事なんかじゃねぇよ。」
ガタッ。
俺は、椅子から立ち上がり、春斗のネクタイをグイッと自分に引き寄せた。
「春斗は、俺の事嫌い?気持ち悪いか?はっきり言ってくれよ」
目から大粒の涙が流れる。
目の前がぼやけて、春斗の顔がよく見えない。
「聖人、俺は…」
「こないだ言ってくれたのは、嘘だったのか?俺は…春斗にとって、ただの暇つぶしなのか?」
俺は、叫び散らした。
次の瞬間、俺の視界がおかしくなった。
どんどん地面に吸い込まれていく…。
バタッ。
「…聖人!おい、聖人!」
春斗の叫び声がうっすら聞こえたが、そこからの記憶がなかった。
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