第5話 割れたガラス
「あれー。喧嘩してなかったけ?もう仲直りしたの?」
俺と春斗が一緒に昼飯を食ってるのを見て、玖珂が首を傾げる。
「うん。仲直りって言うか、いつの間にかって感じだけどね」
俺が話してるのを聞いて、春斗も頷く。
「早いね〜。さすが裏カップルだぁ!」
「…え?何それ」
俺と春斗は目を合わせた。
「知らんの?お前ら、いつも一緒にいるだろ?仲良すぎだし。だから、女子がカップル成立〜!とか言って盛り上がってたんだよ」
俺らは、一瞬固まった。
「…で、でも、俺らは…」
「分かってる!本気で思ってるやついないって!」
「そ、そうか」
俺は、少し安心した。
「本当だったたら、気持ちわりぃだろ?男同士で。女子はよく分かんねぇけど、俺は引くわ〜。」
笑顔で言う玖珂と真逆に笑顔がひきつる俺。
「とりあえず、仲直りしたなら良かったわ!」
じゃあ!と、可愛く手を振って教室を出る玖珂。
「なんか…。良かったな!バレてなくて!」
ちょっと気まづい雰囲気だったが、明るく振舞った。
「バレるって何が?」
春斗は、パンをかじりながら言った。
「何って、俺らが付き…」
俺は、ハッとした。
そうだ。
俺と春斗は…。
「付き合ってねぇだろ。何をそんな焦ってんだか」
馬鹿にしたように言う春斗に、俺は聞にくい事だったが、聞いて見る事にした。
「春斗ってさ、俺の事…好き?」
春斗の動きが一瞬止まった。
「なんだよ、いきなり。昨日言っただろ。何回も言わせんな」
顔を赤くしながら怒る。
「じゃあさ、なんで俺たち付き合ってないんだろう…?俺も春斗の事好きなのに…」
春斗と目を合わせれない代わりに、目線を下にして逃げる。
「なんでって。気持ちわりぃからに決まってんだろ」
え?
冗談?
俺は、春斗を見た。
「何?早く食えよ。次、移動教室なんだから」
パンを食べ終わった春斗は、片手に体操袋を持ち、教室から出ていった。
そして、春斗においてかれた俺の目からは、涙が零れる。
俺の心は、割れたガラスのように、粉々に砕かれていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます