第11話
お姉さんは深刻な顔つきで話し始めた。
「事の発端は三年前の魔王軍による進軍でした。魔王は第6大陸ガンズにいます。魔王は突如第5大陸をを攻め始めました。」
「何で急に攻めたんです?」
「原因は分かりません。ギルドは第1大陸〜第5大陸まであるので第5大陸にいた冒険者は第5大陸を守ろうと戦ってくれました。もちろん第5大陸を収めている国王も軍を出陣し戦いました。だが結果は惨敗」
「強い冒険者はいなかったのですか?」
「1人いました。冒険者の中でも5番手に入る強者です。が1人の魔王幹部によってやられました」
俺はこの時その魔王幹部がオルシエルだと頭の中に浮かんだ。
「その名はオルシエルです」
俺は驚きはしなかった。
「第5大陸から届いた情報によればオルシエルは全属性使いという珍しい能力を持っていました。オルシエルによって第5大陸はわずか2日と持たず占領されました」
「そーなんですか」
俺はこの時いずれはオルシエルと戦うことなるだろうと思っていた。
だから真剣に話を聞くことにした。
「それから魔王軍の進軍はおさまりました」
「それと勇者召喚とはなんの関係があるんです?」
「今から5ヶ月前。この大陸の王が書物庫を見ていたところ勇者召喚と第7大陸のことについての書物を見つけたのです。そして国王は各大陸の王にその事を話し満場一致で勇者召喚をするということが決まりました」
「そーだったんですか」
「各大陸で勇者召喚の準備が始まり我々の大陸でも勇者召喚の準備が行われていました。最初は人々も安堵していたんですが勇者召喚当日に悲劇が起きたのです」
「悲劇とは......?」
「勇者召喚の印なのか空に魔法陣が現れあと屋外に出ていた人々が次々に倒れていったのです。助かった人もいますが死んだ人の数の方が......」
「なぜそのようなことに?」
「勇者召喚に必要なのは魔導師と膨大な魔導力と言うものが必要でした」
「魔導力?」
「魔導力とは人間皆が持っているエネルギーの事です。魔法はその魔導力の一部を使って行われるものです。魔導力は永久に消えることはないのですが急激な低下が起こると死にます」
「まさか国王は何も言わずに人々から魔導力を吸い上げたと?」
「はい。そうです。以上が大まかな出来事です」
まさかそのようなことが起こっていたとは。
俺がやったわけじゃない。だが何故か胸に罪悪感があった。
多分その罪悪感の正体は俺が召喚されたせいでたくさんの人が死んだことから来ているのだろう。
何はともあれ事情は分かったから部屋に戻った。
勇者召喚まであと15分。
宮殿内では勇者召喚のための最終準備が終わろうとしていた。
「王様!各員配置場所につきました」
「うむ。それでは魔法陣を作れ」
「御意」
いよいよ本格的に勇者召喚が始まった。
王都上空には薄いが魔法陣らしきものが現れていた。
俺が部屋に入ろうとしたら急に扉が開き......
「あっ!」
「ひゃ!」
部屋からシャルロットが慌てて出てきたため当然の事ながら俺とシャルロットはぶつかった。
「いててて」
「いたた」
気がつけば俺はシャルロットの上に乗った体勢になっていた。
「!!!」
「......っ!!」
俺は勢いよく退き謝った。
「すまん!怪我はないか?!!俺が前を見ていなかったせいで......」
そう言って俺は頭を上げた。
気のせいなのかシャルロットの頬は赤く染まっているような気がした。
「だ......大丈夫で......す!!」
「そっか!ならよかった!」
とりあえず一安心だ。怒ってないか心配だったから。怪我していないのか心配だったからな。
「それより急に飛び出してきてどーしたんだよ?」
「慎さん!空に変なものが!」
俺は慌てて窓から外を覗いた。
「あれは!魔法陣!」
「なんですかそれは?」
「詳しくは部屋の中に入ってからにしよう!」
「わかりました!」
異世界けだるげハーレム冒険生活 黒泉杏哉 @KYOYA0722
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