勝てない
第122話 勝てない -01
◆
「『
美哉がそう言うと、フランシスカが肩を竦める。
「ちょうどタイミングが良すぎる気がするわね。狙われていたかしら?」
「私はそうならないように注意していましたが、お嬢様、まさかやらかしました?」
「やらかしていないわよ。それよりもこういう事態になることを想定していそうな人物が一人だけいるでしょうが。セバスチャンも分かっているでしょう?」
「まあ、そうですね」
「それって報告にあった……
美哉の質問に2人は首を縦に動かす。
「彼か彼女か判りませんが、トリックスターであることは間違いないようです。彼は木藤君をボコボコにしましたし、彼の心を折れたことを想定していてもおかしくはありません。まあ実際には折れてなどいなかったのですが」
「でもそう思って狙ってくるのは考えられるわ。まあ、1回目は様子見でしょうけどね。……で、今回の『魂鬼』はどんななのか情報は来ているの?」
「いや、まだよ。…………今来たわ。今回のは大型の『魂鬼』、但し動き出しそうな様相を見せている、だって」
「動きを見せている……なら、早く行った方がいいわね」
パチン、と指を鳴らすフランシスカ。
途端に世界が静止する。
「場所は携帯電話に送っておいたわ。……2人も、お願いね」
「心配しなくとも私達2人でこれくらいは十分よ。ねえ、セバスチャン」
「その通りですお嬢様」
自信満々なフランシスカに、頭を下げるセバスチャン。
そんな彼女達を不安そうな目で見つめる美哉だが、それ以上彼女が出来ることは何もない。
ただ見守るだけしか出来ない。
「さて、じゃあ行くわよ、セバスチャン」
「御意に」
そんな美哉の視線を背に受けながら、2人はマンションの柵を乗り越えて、静止した夜の街へと繰り出していった。
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