げーむ

木谷彩

1997/06/27

リッジレーサーはダメ。

ガンダムもダメ。

せっかくプレイステーションを買ったのに

ふたりでできるゲームがない。


きみが唯一欲しいと言ったのが「ぷよぷよ」。

急いで買ってきた。コントローラーも一緒に。


パッケージに入っていた「目玉」のシール。

ゲーム機のふたに貼ると「ぷよ」みたいに見えて。

きみが「貼りたい~~」って言ったとき

ぼくは妙な気分になった


この光景が悲しい思い出になるような気がする

口には出して言えないから、「いいよ」と言ったけど。


ぼくはいま

その光景を思い出しながら

シールにうっすらと残った

きみの指紋を眺めている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

げーむ 木谷彩 @centaurus

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る