初恋の記憶-①

それから3年もの間

友達として何不自由なく過ごしていた。

中学に入学したある6月のことであった。

その日は朝から晴れていて梅雨の中休み

を思わせるようであった。

いつもの様に2人で帰っていたのだが

白浜は僕に突然「恋をしているか」

と聞いてきた。

僕は恋と言われて思い当たる記憶を探した。

小学5年生の時 キャンプで自分のテントが

分からず迷子になっていた同級生を

助けた時ありがとうと言われて嬉しかった

ことや小学校6年生の時運動会が終わったあと校舎裏に呼ばれて告白されたけどフった

ことなどの記憶を思い出し話してみると

白浜はどれも違うという。

「恋っていうのは6年生の時に告白した女の子が感じていた気持ちのことだよ。」

そう言われて初めて実感した。

あの気持ちは恋だったのではないか。

4年生の時の冬に車に轢かれそうになった

白浜を助けようと車道に飛び込んだあの日

僕のことをヒーローと呼んだ彼女に対して

感じたあのドキドキを。きっとあれを恋と

呼ぶんだとわかった途端、僕はキュンと胸が苦しくなった

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遠ざかる君の近すぎる記憶 涼宮蓮 @suzumiya-0923

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