巫山雲雨メフDiverず
水の檻
雨の強い日だった。
男はその日、女と出会った。
篠突く雨の中、彼は女の背を追った。男にとって生まれて初めての経験であった。目の奥が熱くなり、全身の血が痛いほど熱を持ち、疼いていた。一目見ただけでこれが運命の出会いなのかと悟ったのだ。だが、女は振り向かなかった。喉が枯れるほど叫んでも、声は白く煙った雨の音に掻き消される。
男は天を仰いだ。
あの人は、私の――――!
女が消えてもなお男は駆けずり回った。六月に消えた彼女の影。男は全て擲ってでも追うと決めた。
レインコートが水を吸って重い。靴には泥がこびりつき、顔中に汚れが跳ねていた。雨中の三野山は常とその顔つきを変え、道なき道を往く狩人に牙を剥く。雨音と不明瞭な視界が集中力を緩慢にした。
幸は、自分の名を呼ばれたことで我に返ったが少しばかり遅かった。足を滑らせて泥と共に斜面を転がる。右手を伸ばして木の幹を掴もうとしたが上手くいかない。足に力を込め、抜いた鉈の切っ先を柔らかな土に突き立てると、そこでようやく止まることができた。息を整えようとするが心臓の鼓動がうるさくて気が散る。
「八街殿ーっ」
浜路の声が上から聞こえてくる。幸は平気だと答えたが、血相を変えた古海が猪のように斜面を駆け下りてくる。
「怪我は?」
「ないと思います」
「ちょっと触ってくから、痛いとこあったら言ってよ」
しばらくの間、幸は古海に触診めいたことをされていた。どこも痛まなかったが、彼女は空を見上げて小さな息を吐く。
「下りようか。頃合いもいいしね」
「でも」
「でもじゃない。見習いの間はどうするんだっけ? はい、言って」
幸は仕方なそうに言う。
「古海さんの言うことを聞きます」
「『叔母さんよりも』を忘れてる」
「叔母さんよりも、古海さんの言うことを聞きます」
「よし」
古海は上にいる浜路たちを呼びに行った。残された幸は雨雲をねめつけた。
雨を嫌うケモノは多く、そういう日は活動が鈍るのだそうだが、狩人にとっては天候など関係ない。三野山での見習い修行は続いていたが、今日は幸にとっていまいちな日であった。
「怪我したらそこまでだからね」
下山中、古海は諭すような口調であった。
狩人は基本的に軽装だ。山や大空洞では大荷物を持ち込めばそれだけ動きづらくなり、ろくな治療を受けられない環境ではケモノの攻撃が掠るだけでも命取りとなり得るからだ。
「古海殿。私は正式な狩人にはなれないのでしょうか」
「ええ? どうしたの急に」
「私はもはや一人前と呼べるのではないかと」
「まだ駄目」
今日、幸にくっついてきたのは浜路と雪蛍の二人だ。彼女らは狩りに意欲的である。
古海は浜路に向き直り、びしりと指を差した。
「しっかりさち君と同じペースでやってもらうからね」
「ちっ」
「これ見よがしに……」
「でも、この研修が終わったらどうなるの?」
ずた袋越しに伝わる獲物の重量感を楽しみながら、雪螢は古海に問うた。
「終わったら? まあー、試験を受ければ正式な狩人かな。言っとくけど実技と筆記があるからね。さち君は卒業したら試験を受けられるよ」
「面倒」
「あんまし甘く見ないでよ。別に、ケモノをブッ……上手く殺せるだけじゃ大空洞でやってけないんだから」
「試験に落ちたらどうなるんですか?」
「どうもしないよ。また受ければいいんだし。あと、先生みたいな人を見つけられればとんとん拍子って感じ。先輩狩人とか、師匠? みたいな人にくっついて、その人のいる猟団に入るのが普通かな」
のんびりとしたペースだったが、雨脚が強くなってきたので幸たちは少し急ぎ足になって山を下りた。
境内に着くと、傘を差した天満が猛ダッシュで幸の傍まで近づいてきて、彼が泥だらけだと気づくとすぐに離れた。
「どろんこ遊び楽しかった?」
「楽しくないよう」
幸だけが酷く汚れていた。古海たちは買取所まで行こうとしていたが、天満は彼に風呂を勧めた。
「いいよ、汚いから」
「でも風邪引いちゃうよ?」
「着替えもないし」
「あるよ」
「あるの?」
天満は小さく頷いた。幸はまだ遠慮していた。彼女は幸をしゃがませると、その頬っぺたを真顔で抓った。捻るようにして抓り込んだ。
「お風呂入る?」
「は、はいる……」
幸は天満に促されて古海たちと別れ、社務所の浴室へ通された。他人の家で風呂に入ることに一抹の緊張感を覚えながら、それでも冷えた体をお湯が温めていくのは心地よく、しまいには鼻歌まじりだった。基本的に八街幸という少年の神経は図太かった。
浴室から出ると脱衣所に着替えが置かれていた。男ものだったので幸は安心した。着替えてから居間に向かう途中、織星と遭遇する。彼女は少し機嫌がよさそうだった。
「お風呂、ありがとうございます」
「ああ、いえ、別に。洗濯ものが乾くまで待っててくださいね」
「色々すみません」
「いえ、全然、別に」
幸は小首を傾げた。
「何かいいことでもあったんですか?」
「いいえー、別に。でも、そうですね。今日はお天気がよくないですが、今度、弓でも教えてあげましょうか」
「いいんですか?」
「気が向いたらですけど、ふふ」
織星の足取りは軽かった。
朝になると雨は止んでいた。六月からは衣替えで夏服になる。幸は制服に袖を通しながら、どうせなら昨日晴れて欲しかったとどうしようもないことを思った。リビングに向かうと、なんだか意地悪い笑みを浮かべたむつみが座っていた。
「別に何もないよ。似合わないなあって思っただけ」
「いいですよ別に、似合ってなくとも」
幸は朝食に手を付け始める。スクランブルエッグをフォークでかき混ぜていると、むつみが大きなあくびをしているのが見えた。
「今日からまたお休みをもらったの」
「お仕事、一段落ついたんですか」
「他の人はまだ忙しそうだけどね」
むつみは特別視されている。古海が言っていたことを思い出し、幸はそれを顔に出さないように務めた。
「もう六月ですね」
「憂鬱だよ。雨がよく降るからね。祝日もないし、湿気てるから髪の毛跳ねるし、嫌なことばっかり」
「クラスのみんなと同じようなこと言いますね。でも、ジューンブライドとかあるじゃないですか」
むつみは眉根を寄せた。
「あのね、梅雨の時期だと式を挙げようって人も減るからジューンブライドなんてものができたんだよ。その幸せそうな言葉だけに騙されて六月に結婚式するような人たちはすぐに別れるよ。計画性がないからね。雨が降ってるのに式に呼ばれる方もいい迷惑だと思わない?」
「嫌なことでもあったんですか」
「別に」
「その割に詳しかったですけど」
「古海が言ってたんだよ」
そうですかと幸は食事を続けた。
「叔母さんは雨が嫌いなんですね」
「嫌いなのは雨だけじゃないけどね。そもそも、雨が好きな人なんているの? 濡れるし、じめじめするし」
「ぼくは好きですよ。水の音とか聞いてると落ち着くんです」
「うるさいだけじゃない」
「風情があるんです」
「ふ。風情だって。笑かしてくれるなあ」
何がおかしいのだと怒りかけた幸だが、よくよく考えると自分で言ってて似合わないことだったので、その怒りをすぐに撤回した。
「六月ってマジクソだよなー、雨うぜーし、休みねーんだぜ。髪のセットも変な感じになるし。設定ミスったとしか思えねーよな」
教室では男子がむつみと同じようなことを言っていた。
「つーかメフがクソだわ」
田中小は田中大と共にくだを巻いていた。
「前から言ってるけどさ、ものが来るのがおっせえんだよな。一週間遅れとかザラだし。ド田舎じゃねえんだからさ」
「いや田舎だろ」
「田舎よりひでえだろ。だって地続きじゃねえし」
メフに入ってくるものは自衛隊などが検閲する。そのせいで街に入ってくるのが遅い。流行に敏感で多感な高校生にとっては屈辱的な環境である。ネタバレを避けてネットをしないものもメフの若者には多い。でもやらないと流行についていけないから結局やっちゃう、みたいな若者も多い。
「委員長はそういうの気にならねえの?」
幸はリュックサックを机の上に置いた。
「あんまり。ゲームとか漫画とか、発売日に欲しいってものってそんなにないんだ」
「枯れてんなあ」
「薄いっつーか」
「ちっこいつーか」
「小さくないよ」
抗弁したがクラスメートには聞き入れてもらえなかった。幸は諦めた。大人しく本を読んでいると、だらーっとした歩き方の翔一が教室に入ってくるなり、幸に近づいていく。
「はよー。やちまたさー、放課後ちょっと付き合わね?」
「うん、いいよ。今日はアルバイトもないし」
藤の厚意により幸のいかるが堂における立ち位置は曖昧なものになった。いてもいいし、いなくてもいい。部活も、浜路が外部顧問より狩人の方が稼げると気づいたのか、彼女は学校にほとんど顔を出さなくなった。そも、彼女が狩りに行くときは幸も大概一緒なので文句は言えなかった。
「でも、どこに行くの?」
「へっへっへ、お前も好きなとこだよ」
幸は小首を傾げたが、翔一は山賊のお頭みたいな笑い方をするだけで何も教えなかった。そして二人は気づかなかったが、このやり取りを盗み聞きしているものがいた。
放課後になり、幸は翔一に連れられてセンプラへ向かっていた。雲は分厚く、温い空気が体にまとわりついている。歩いているだけで汗がにじんできそうだった。
「またゲーセン?」
「惜しい」
翔一は財布を見せびらかした。
「色々バイト代が入ったんだよ。やちまたもだろ?」
「ぼくは……まあ、少しは」
「ってなわけでさ、たまにはゲームでも買いたくなんじゃん?」
「ゲームかあ」
幸はメフに来てからゲームをしていない。携帯ゲーム機こそ持ってはいるが、こっちに来てからそれどころではなく、据え置きのゲーム機で遊びたくとも周世家にはテレビがないという事情があった。
「委員長もゲームやんの?」
「うん」
「どんなんがおもろいん?」
「えーとね。あれ?」
立ち止まって振り向くと、スカジャンを羽織った蝶子がいた。ずっと後ろにいたらしいが、幸も翔一もまるで気づかなかった。
「うおおビビったあ! ンだよ、いるんなら言ってくれよ」
「女は男の三歩くらい後ろ歩くもんやって、昨日テレビでゆってたからな」
「一夜漬けの知識でビビらせんなって」
「そんで? ゲーム見に行くん?」
三人は横一列になって歩き出す。
「おお、猪口もゲームとかやんの?」
「あんまりやらんなあ。自分ら、どんなんやってんの?」
翔一は得意そうに口を開く。
「アクションとか。TPSとかFPSとか知ってっか?」
「おお、アレやろ。銃でバンバン撃つやつやろ」
「ゲームやらないのに知ってるんだね」
「お手伝いさんがやっとるから、それを見とる。リアルやんなあ。そうそう、人って足を撃たれたらそうやって倒れるよなあって。感心したわ」
そういうリアルさかよ。幸は苦笑した。
「へー。じゃあさ、どうせならみんなでできるやつ買わね? 協力できるやつ」
「うちも? 一緒に遊んでええの?」
「うん。田中くんたちも誘おうよ。クラスのみんなで遊べたら楽しいんじゃないかな」
蝶子は目を輝かせていた。
翔一が目指していたのは量販店ではなく、奥まった場所にある個人経営のゲームショップであった。幸は外から中の様子を覗く。店内はさして広くなく、肝心のゲームソフトは申し訳程度に隅っこの棚に並べられていて、カードゲームで遊ぶためのスペースばかりであった。
出入り口前で固まっていると、店内から若い女が出てくる。帽子を目深に被り、でかいサングラスとマスクをつけた髪の長い女だ。幸が彼女ににっこりと笑いかけたので、翔一と蝶子は目を丸くさせた。
「あれ? こんなところで」
「人違いです」
女は足早に去っていく。
「なあ。今の知り合いか?」
「たぶんそうだと思ったんだけど……」
「お前って女の知り合い多いよな」
「そうかなあ。それよりほら、ゲーム選ぼうよ。猪口さんってどんなの好き?」
「可愛いやつがええなあ。動物とか出てくる感じの」
「はっは。えー? 猪口が? 可愛いやつ? 冗談だろ? 動物とかよりもやくざが出てくるゲームが似合……あっ、何でもないっす」
それぞれお目当てのゲームを購入すると、幸は二人と別れ、昨日お世話になったお礼を言いに行くべく、九頭竜神社へ向かうことにした。
境内に着くと巫女たちが集まって話をしているのが見えた。気になったが、彼女らはあの日以来、幸を敵視、あるいは警戒しているので近づくことはできなかった。残念がりながらその場に立ち尽くしていると社務所から天満が走り寄ってくる。幸は彼女の頭突きに備えた。
突進してきた天満は幸の足を思い切り踏みつけ、逃げられないようにしてから脇腹にフックを叩き込む。彼は片膝をついた。悶絶している幸の腹を天満の小さな手が優しく摩った。
「やちまたくん、こんにちは」
「う、うん。あの、昨日はお風呂ありがとう」
幸は手土産のお菓子を差し出す。
「うわあ、やちまたくん大人っぽい」
「神社の皆さんでどうぞ」
「うんうん。ありがとうね。あ、ちょっと寄ってきなよ」
ふと思い至ったことがあって、幸は、織星はいるかどうか尋ねた。
「お姉ちゃんなら今日は休みだから、一緒にお部屋に行こうか」
「休みとかあるんだね」
天満は幸からパッと離れてお菓子を持ったままくるくると回る。
「巫女も当番制なんだよ。週休二日くらい」
巫女も大変なんだよ。そんな話を聞きながら、幸は社務所に案内された。
「お姉ちゃんを呼ぼっか」
天満は廊下をすたすたと歩く。幸はてくてくと後を追う。似たような作りの部屋ばかりで一人だけだと迷いそうだった。やがて彼女はある部屋の前で立ち止まる。襖越しに呼びかけるも返事はなかった。
「寝てるんじゃないの?」
「そうなのかなあ」
「そうっとしとこうよ」
「うーん」
天満は悩むそぶりを見せつつ襖を開いた。この度胸、この迷いのなさ。幸は彼女には何かしらの才があるのかもしれないと思った。
織星の部屋は暗かった。彼女はどっかりとソファに座っており、正面の大きなテレビをねめつけていた。どうやらゲームをしているらしい。画面には彼女が操っているであろう迷彩服を着た男が突撃銃を撃ちながら走り回っているところが映っていた。織星はヘッドフォンをしている。ゲームの音が漏れ聞こえていた。
「だから声が聞こえなかったんだね」
「勝手に入ったらまずいんじゃ……」
「あっ、お姉ちゃん、また人殺しのゲームしてる」
幸はこの手のゲームを嗜まないのでよく知らないが、TPSというジャンルなのは分かる。織星のプレイは酷く雑だった。もっと言えば闘争心と殺意を剥き出しにしたプレイングである。とにかく目に付くものに襲い掛かり、撃たれても怯むことなく前進しながら弾を撃ち続ける。無理矢理に接近すればナイフで切りかかっていた。そして呆気なく返り討ちに遭い、彼女は舌打ちした。息を一つ吐き、傍らのスナック菓子を箸で掴み、ばりばりと噛み砕いてペットボトルの水で飲み下す。キャラクターがリスポーン地点に立つと、再び突撃を始めた。今度は上手くいったらしく、敵のキャラクターにヘッドショットを決める。織星の操るキャラは、倒れて行動不能になった相手に死体撃ちを行っていた。彼女は終始無言で、真顔であった。
「ねえやちまたくん。ゲームって面白いんじゃないの? なのにどうしてお姉ちゃんはこんな顔をしているの?」
「ぼくにも分からないよ」
ふと、幸は部屋の隅に乱雑に置かれている、帽子とサングラスを目にした。どこかで見たような気がする。
「ふううううううううう」
織星はやたら長い溜息を吐き出すと、コントローラを投げ捨てるようにしてソファから立ち上がった。振り向き、自分以外の誰かが部屋にいることに気づくと、彼女は硝子を引っ掻いたような短い悲鳴を発する。
「なっ、なっ……!」
「お姉ちゃん、呼んでも返事しないんだもん」
「あ、ああ、天満ちゃんに八街くんですか。ああ、驚いた。もう、びっくりさせないでくだ……どうして八街くんがここにいるんですか!」
「昨日のお礼を言いに来たんだって。お菓子もらっちゃった」
天満はしれっとした顔で言う。
「そ、そうですか。それはどうも、わざわざすみません、ありがとうございます」
織星はヘッドフォンを外して頭を下げた。幸も慌てて頭を下げる。今日の彼女はワンサイズ大きいダボッとしたシャツ(しかもクッソださい)という何とも言えないラフな格好だった。
「でも勝手に部屋に入ってくるのはいけませんよ」
「声かけたよ? でも返事ないんだもん」
「……ええと。それは、私が、悪いですね」
天満はピースサインを決めた。
「お姉ちゃん、あとで居間の方おいでね。私、先に行ってお茶の準備してくる」
「一人で大丈夫ですか?」
「平気だよー」
取り残された幸は、何となくテレビに目を向けた。織星は彼を見下ろし、部屋を出て行くように廊下を指し示す。
「月輪さん」
「……何でしょうか」
「さっきゲーム屋さんで会いましたよね」
「何のことでしょうか」
「あっ」
「ええ、何ですか、もう」
畳の上にゲームショップのロゴが入った袋と、買ったばかりのゲームソフトが転がっていた。数本購入したらしく、まだ未開封のものがある。幸はその内の一本を手に取った。マルチプレイ可能な携帯ゲーム機のソフトである。
「これ、ぼくも買ったんですよ。協力プレイできるやつ」
「あっ、そうなんですか? そうなんですよね、これ。でも神社の人たちってゲームしないから私ソロプレイになっちゃうんですよね。でも新作だし気になってたからつい買っちゃって。そういう時にね、思い出すんです。昔好きだった子がゲーム好きだって聞いて、どうにかして話を合わせようとしてそのゲームをやったら、その子よりゲームにドハマりしちゃって、ドン引きされるくらいやり込んだことを……」
幸は優しい目をしていた。
「ゲーム好きなんですね」
「…………はい。ゲームはいいですね」
遠い目をした織星は、幸から視線を外す。
「分かりやすいルールがありますし、何をしたらダメか決まっていますし、その中でなら何をやってもいいと許されていますから。あとかっこいいし可愛いし」
「よかったら今度一緒に遊びましょう」
「どういう魂胆ですか」
「いや、普通に楽しそうだなあって」
織星は値踏みするように幸を見ていたが、ふっと笑みを漏らした。
「八街くんはゲーム得意ですか?」
「パズルゲームだと延々やってられるんですけど、こういうアクションは苦手かもしれません」
「では教えてあげましょう」
「ゲームより弓を教えて欲しかったんですけど」
「じゃあ弓を使えるゲームからにしましょう」
「……はい」
楽しそうな織星を見ると、幸はそれ以上何も言えなくなった。
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