進化の果て

昔、人間が進化したら頭だけ大きくなって足は細くなっていく、なんて唱えた科学者がいた。交通手段が発達し、歩いたり走ったりする機会が減る一方、情報機器の発達で目を酷使するため目が大きくなり頭が大きくなるはずだと科学者が理由を述べたらしい。


実際私たちがどのように進化したのかというと、まあ単純に巨大化した。

100年前は地球温暖化による氷山の消失が環境問題だったらしいが、今となってはそんな事は小さな問題だ。

なぜなら、地球に我々の足の踏み場がないからだ。人類はどんどん進化し、巨大化し、いまでは大きさにばらつきはあれど、平均身長が大気圏。足のサイズはオーストラリア大陸くらいであろうか。ここまで成長してしまった。人口も巨大化に伴って減り続け、今では巨大人類5名、未進化人類300名、合計305名となってしまった。


未進化人類はアリのように巨大人類の足の隙間を這いつくばって歩く。

小さ過ぎて巨大人類のエサとされることはほぼなかったが、それでも気まぐれにつまみ上げられておやつにされることがあった。

巨大人類は常に腹を空かせていた。座ることもできない。足の踏み場がないから。

ぎゅうぎゅうだ。

誰かなんとかしてくれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある退屈な日常 南部 黄菜 @inainnn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ