第2章:人間との遭遇
彼はかなり大きな建物を調べることにした。
いくつも商品が陳列されているのが入り口から見えるので大型雑貨店であろうと読んだ。彼は空き瓶の中に集めた黒い灰の粒子を念力で操作し、再び煙の要塞を身にまとう。毎回火を起こすよりもこの方がずっと楽だと先ほど気づいた。
この店はガラス製のドアが割れており、彼は破片を踏まないようにゆっくり入店すると非常に暗い空間が待ち受けていた。
今は空が曇っており、照明もついてないせいで店内が見づらいことに彼は舌打ちしたくなった。自分を煙で包んでいるせいもあり、視界が非常に悪い。彼は音を立てないよう注意深く足を進め、薄暗い店内で耳を済ませる。今は目よりも耳が頼りだった。
「ぐ……しし……しいい」
「げ……あおお……」
(少なくとも近くに2体いるな……)
彼は煙の要塞が有効だとわかっていても念のために音がする方向を避け、保存食がないか探していく。
生鮮食品があったであろう区画は干乾びた黒いものがいくつもあった。この都市が崩壊してから数年は経っているらしく、腐敗し切った食品にはかつてそれを食べていたであろう虫の死骸がいくつも落ちている。
黒い塊の一部に何本かキノコが生えていたが、もちろん彼は食べる気にならなかった。
(これは……何だ?)
彼は陳列棚にある白いボトルを手に取る。金属でも木でもない柔らかい素材が容器に使われており、キャップを開けるとドロリとした液体が出てきた。
彼は少し口に含んですぐに吐き出した。
(苦い!絶対に食べ物じゃない!)
彼がしばらく探索してみるとある区画の商品がなくなっていることに彼は気づいた。生存者が持ち去ったのではないかと思った。床に一本のボトルが落ちており、それを開けてみると初めて食べ物らしき甘い香りがした。少し舐めてみると強い甘みがする。
(実は糊だったなんて事はないだろうな?腹を壊すのが怖いけど持っていくか……。あっ、そういえば荷物入れも探さなきゃな)
彼はやっと肝心なことに気づいた。何を持っていくにしろ大きな背嚢が必要だ。
ここは雑貨店らしいが、店内にそれらしい商品はまだ見つからない。
大きな陳列棚の迷路を歩いているとある場所の裏側からがさりと音が聞こえた。
またモドキかと彼は身構えたが、次に聞こえた囁き声で一層の驚きを感じた。
「すまん」
「気をつけろ」
彼の耳に魔法で翻訳された男たちの会話が届いた。
モドキではない。
人間の先客がいたのだ。
男たちに話しかけるか。
やめたほうがいいと彼は判断した。
都市機能が崩壊しているということは治安を維持する者もいないということだ。彼らが何をしようと止める人間はおらず、いきなり襲い掛かってきたら終わりだ。相手が一人ならば催眠の魔眼を使うこともできるが、2人同時にはかけられない。最弱の魔法使いは悪漢2人が殴りかかってきたら敗北するのだ。
彼は棚の向こう側を覗こうとゆっくり歩く。
そろりそろりと歩く間にひそひそと会話が聞こえてきた。
「亡者どもが来たらお前が食われろよ」
「やなこった」
二人とも男の声だった。
亡者という単語の意味は彼もすぐにわかった。
あのモドキは亡者と呼ばれているらしい
彼が棚の影から除くと2人の男が見えた。
どちらも背嚢を背負っており、その膨らみ方からすでにいくつも荷物を詰め込んだ後だと察する。
「なあ、今週も俺らが回収係っておかしくないか?」
「クジに細工してるよな。まあ、物資ちょろまかしてるからお互い様だが」
彼は話を聞いてこの二人組がどこかの集団に所属していることがわかった。
おそらく回収とはこういう場所に来て物資を回収する仕事のことだろう。その役はクジで決めるらしく、二人は危険な仕事を与えられて不満らしい。
仲間の居場所をつきとめようと彼は思った。この崩壊した世界で成功するには何よりもまず人間のグループに所属しなければ始まらない。
「この菓子、食えるかな?外はカビ生えてるけど中は大丈夫かも……」
「やめとけ。飴以外は腹壊すぞ」
「もう飴にも飽きたんだよ。お前は平気なのか?」
「クソみたいに飽きた。けど、餓死よりマシだろ。それに女と取引するのに使える」
「あいつらとか?リーダーから関わるなって言われてるだろ?あいつらはやばいって。病気持ってるかもしれないぞ」
「知るかよ。死ぬ前に楽しんでこその人生だ。お前らだって隠れていろいろやってるだろ」
「まあな……」
彼は今聞いている男たちのグループに所属する意欲が急に失せてきた。崩壊しかけた組織に所属しても意味がない。他にもグループがあるらしく、どこに所属するかよく考えてから決めたほうが良さそうだと思った。
(まずは食料をたくさん集めて、一人でも生きられる状態を確保するか。余裕が出てきたらそれを交換条件にして真面目そうなグループに入れてもらう。そんなところか……)
彼は当面の目標を決めた。
まずは彼らが回収している食料を頂いてしまおうと思い、彼は近くにあったガラス製の商品を取り、壁に投げつけた。
大きな音が店内に響く。
「ぎしえおおおくくく」
遠くからあの不気味な声と走る音が近づいてきた。
「やばい!」
「クソ!今のは何だよ!?」
二人は走って逃げ出し、亡者たちが追跡していく。
都合の良い餌だった。
彼らが捕まった時はこの世界から男が二人減る。
彼にとってそれだけのことだ。
死ぬ前に楽しんでこその人生。男のその言葉に彼は心から同意した。
亡者たちが彼らを追ったおかげで彼は落ち着いて菓子類を調べられた。
紙箱に入っているものを出してみるとカビが生えていたり、真っ黒に変色しているものが多く、食べられそうなものはやはり飴の類だった。
その一つを袋から取り出して表面を磨き、口に入れてみる。
甘みが広がり、彼はこの世界に来て初めて気分が軽くなった。
しかし、薄暗い店内にいるせいかすぐに元に戻った。
改めて店内を見回るとこの大型雑貨店にはおおよその道具がそろっていることがわかった。背嚢はもちろん衣服や調理道具、毛布、シャベルや縄、筆記用具、移動に使えそうな二輪の乗り物やテントまである。
彼は食料や有用と判断したものを複数の背嚢に詰め込むと魔法で重量を軽減して屋根の上に運んだ。魔法を使ってもかなりの重労働だったが、灰色の空が完全な闇に変わる頃にはなんとか作業を終えて自分も屋根の上に避難できた。
予想したとおり夜は気温が下がってきたが、彼は店内で見つけた毛布をかぶり、テントまで組み立てておいたので寒くはない。
「面白い世界だな……」
彼は思わずつぶやいた。
テントの中で指先に炎を灯し、店内から持ってきた雑誌を読んでいる最中だ。文字は読めないが、路上にあちこちあった「箱」の正体はわかった。本の中にそれを操縦して移動する人間の絵が描かれており、どういう仕組みかわからないが、人間が一人で動かすらしい。
(本当に魔法がないのか?すごい文明だな)
彼はいろいろな飴を食べながらこの世界の技術レベルの高さを思い知る。たまにお菓子の中に子供用の玩具であろう模型が入っており、それもかなり精巧なもので驚いた。絵の中には空を飛ぶ大型の乗り物もあり、もはや魔法の出番などないと思えるくらいだ。
しかし、その文明が崩壊し、死者が動き出すような事件が起きてしまった。いつ。そして何が起きたのか。
「やっぱり誰かに聞くしかないな……」
彼は明日から食料探しと共に人間の居住区を探すことにした。
火を消して毛布をかけると眠りにつく。
意識が消えてゆく感覚はこの世界に転移した時によく似ていた。
「すみません」
彼は夢の中にいるのだと思った。
「すみません」
夢ではなかった。
目を開けるとぼんやりと明かりが見えた。
テントの外にいる何者かがこちらを照らしているとわかり、彼の全身を恐怖が包んだ。かろうじて悲鳴を上げなかったのは相手が女性らしく、敵意を見せていないからだ。
(誰だ?どうやって屋上に上がってきた?)
彼は店内に梯子の商品もあったことを思い出した。
自分の間抜けぶりに腹が立つ。
本当に何でもある店だ。
「だ、誰だ?」
「エリといいます」
相手は礼儀正しく名前を言った。
追い剥ぎでないことに彼は安堵する。
先ほどの奴らが戻ってきてたら自分がやったことに気づいて殺されていたかもしれない。そんなことも計算できなかった自分にますます腹が立つ。
彼がテントから出ると照明で目が眩んだ。
「まぶしい。それを消してくれ」
「はい」
エリと名乗る女性は言うとおりにした。
照明器具からカチリと音がすると光が消えた。便利な道具だ。
彼の目が星明りの夜に慣れてくると黒髪の女を認識できた。
厚手の服を着て、星空の下に立っている。
「外国の方ですか?」
エリは少し驚いていた。
彼の髪の毛はこの土地では珍しいということだろう。
魔法の世界では髪の色など自由に変えられたので誰もが衣服のように頻繁に変えていた。今年の流行髪色というのもあったくらいだ。
「ああ、そうだ……」
彼は嘘を言っていない。
「すみません。食料を少し分けてもらえませんか?」
「分ける……?」
殺して強奪しないとは優しい人間だ。
だが、彼は感心する前に聞くことがあった。
「どうして俺がここにいるとわかったんだ?昼の連中の仲間か?」
「いいえ、彼らは別のグループです」
「ということはあんたはこの店をずっと見てたんだな?」
どこかで彼らが店に入っていく所や彼が荷物をかき集めて屋上に上げるところを観察していた。
今の言葉はそう解釈するしかない。
「はい」
「なぜ見張っていたんだ?自分も食料をとればいいだろう?」
「私は亡者に見つかったら逃げられません。夜なら見つかりにくいですから」
(まあ、筋は通っているが……それでも女一人で行動するか?)
彼が
その時、彼は逃げられないという言葉の真の意味に気づいた。
エリはお腹だけがやや膨らんでいる。
彼女は妊婦だった。
彼は必死に頭を回転させる。
なぜ妊婦が一人でここにいるのか。
仲間は何をしているのか。
この世界の常識はわからないが、妊婦をこんな危険な場所にうろつかせるのはあまりにも異常だと彼は思った。夜の亡者は鈍いといっても生きてる人間だっている。それが全て善良とは限らない。
「あいつらは別のグループと言ったな?君にも仲間がいるってことだろ?なぜ一人で行動してる?」
「いろいろと事情があるんです」
エリは一瞬目をそらして答えをはぐらかした。
催眠の魔眼を試そうかと彼は考える。
「あの、食料を分けて頂けませんか?私たちもお店のものをもらおうと思っていたんですが、あなたが全部こちらに移してしまったので」
「見返りは?」
彼は当然のように聞いた。
タダでくれてやる理由はない。食料をめぐる殺し合いになる危険は避けたいが、従順だとか泣き落としが通じるという印象を与えるわけにもいかなかった。
「私の体でどうでしょう?」
エリが何の恥じらいもなく言ったので彼は面食らった。
そういう商売は彼の世界にもあった。人間そっくりの触れられる幻術を生み出す魔法もあるが、生身の人間とまったく同じというわけにもいかず、性産業というものが魔法使いの社会にも存在する。
(この世界だと妊婦が体を売るのは普通のことなのか……?)
彼はすぐに自分の考えを否定した。
この世界でも正常なわけがない。しかし、文明が崩壊しているということは通貨なども崩壊し、食料や女の奉仕がその代わりになっていても不思議ではない。
先ほどの男たちが言っていた「女と取引する」という言葉はそういう意味だろう。
「妊婦はちょっとな……」
彼も普通の性欲はある。この世界で高い身分になったら女を侍らせる予定もある。しかし、妊婦を抱く趣味はなかった。
「他の子だったら取引してもらえますか?」
「まあな……。その前に少し聞かせてくれ。そこらじゅうに亡者と呼ばれてるやつらがいるが、君たちのグループではあいつらが生まれた原因はなんだと言われている?」
「原因ですか?」
相手は不思議そうな顔をした。
「細菌兵器じゃないんですか?自然の病気って信じる人も少しいますけど」
なるほどと彼は思った。
動く亡者たちは人為的に生み出された病気とみなされている。魔法がなくてもこれだけ文明が進歩しているならそういう兵器も生み出せるだろう。
次に彼は感染経路について聞いた。
「どうしたら感染するといわれてる?」
「噛まれたり引っかかれたら感染すると。空気感染もするけど耐性のある人しか残っていませんよね?」
それを聞いて彼は不安になった。
自分に耐性はあるのか?
なかったとしたらどうやって治療するのか。
「もう一つ質問だ。亡者になった時の治療法は?」
「ありません。えっ、あるんですか?」
「いや、俺も聞いたことがない」
エリの顔が一瞬光明を見出したように明るくなったがすぐに消えた。
(まあ、治療法があるならとっくに処置されてるよな……)
彼も気分が重くなった。
自分が空気感染するなら覚悟を決めるしかない。
「噛まれたり引っかかれると発症までどのくらいかかる?」
「30分もかかりません。早ければ5分くらいです」
「分……?」
この世界の「分」という長さが彼にはわからなかった。
それがどのくらいか聞きたかったが、相手も彼の世界の時間単位を知らなければ説明のしようがないはずだ。
「あの……どうしてそんなことを聞くんですか?亡者のことを知らないんですか?」
「いや……この地域でどんな話が広まってるのか興味があっただけだ」
彼はとっさに誤魔化した。
無知と思われたら何を吹き込まれるかわからない。
「取引していただけるなら他の子を呼んできますけど、あなたは銃を持ってますか?」
「ジュウ?」
彼は魔法で翻訳されない謎の単語に困惑する。
それはなんだ、と聞きたかった。
「私たちも身を守りたくて銃が必要なんです。銃と弾薬をお持ちで、もしも余裕があるなら体で支払うので食料と一緒に分けてほしいんですが……」
「それは……」
それらはどうやら武器らしい。
刃物より殺傷力が高いものなのだろうと彼は推測する。
持っている振りをしようかと思ったが関係を悪化させたくはないので正直に申告することにした。
「いや、持ってない」
「本当ですか?分けてもらえるなら食料よりずっとお返しをしますけど……」
切実な問題らしく、女性はしつこく聞いてくる。
この世界で強い武器に価値がでるのは当然だなと彼は思った。
(その武器は早めに手に入れるべきだな。女でも使えるなら重い物ではないんだろうが……。飛び道具か?というか、どんな形をしてるんだ?)
彼はこの世界の知識がないので銃がどんな武器か想像すらできない。
まさか猛獣の類ではないだろうとは思ったが。
「薬やお酒とも交換しますよ?」
「いや、本当に持ってないんだ」
「……そう……ですか」
エリは奇妙な表情をした。
何かを恐れるような
その表情の意味を彼が尋ねる前に新しい声が響いた。
「女、もう下がっていいぞ」
闇の中から男の頭が出てきた。
屋根に梯子がかけてあり、そこに身を潜めていたのだろう。
無精ひげを生やし、服はエリのものと比べると清潔感がない。
(あれはなんだ……?)
彼は男が手に持つ黒い筒のような物体に注目した。
ニヤニヤと余裕ぶった顔で男は接近してくる。
逆にエリは数歩後ろに下がった。
その顔に罪悪感が浮かんでおり、彼はエリの質問の意味をやっと理解した。あの男が持っている武器が「ジュウ」に違いない。自分がそれを持っていたらまずい事がこれから起きるから彼女は何度も確認したのだ。
「ニイチャン、テントから出ろ」
男の目を見て「殺す気だ」と彼は確信した。
彼は今まで殺人犯を見たことはなかったが、目の前の男は人を殺したことがあり、今からもう1回行うつもりだと彼の直感が告げた。
彼はゆっくりと動き、命令に従う。
手の中にはエリと話している最中にポケットから出して握り締めていたものがある。彼女が襲い掛かってきたら使うつもりだったが、今こそ使うべきだと判断する。
ただし、不安もあった。
魔法使いの世界ではある程度の実力があれば体の周囲に魔法の障壁を形成でき、それは悪意のある攻撃はもちろん落下物や毒ガスからも術者の身を守ってくれる。この世界にそういう効果を持つ道具があるなら彼がやろうとしてる攻撃は意味をなさない。
(やるしかない!)
彼は先制攻撃する覚悟を決めた。
念力で掌の中にあるものを飛ばす。
「うおっ!」
掌から飛び出た灰の粉は空中を走り、男の顔に衝突して散った。
「て、てめえ!」
男は片手で目を押さえ、筒にかけている指を動かした。
パアンッという大きな音に彼は驚き、同時に肩に激痛が生じた。
「うあああああああっ!」
赤く燃える槍で貫かれる。
そんな痛みが肩に生じ、彼はたまらず悲鳴を上げた。
再び大きな破裂音がし、何かが彼の耳をかすめる。
「見えねえ!クソ!おい、お前がやれ!」
手足をばたばたさせながら男はエリに命じた。
彼女は青ざめた顔で躊躇している。
(逃げないと……逃げないと殺される!)
彼は身体強化と重量軽減の魔法を使って無我夢中で走り出す。
隣の建物に飛び移り、また別の建物に。
激痛がする肩を押さえながら次々と移動して悪党からひたすら離れる。
彼は今だけ夜の寒さを忘れた。
息を切らせてしばらく逃げると彼は後ろを振り返り、脅威から十分に距離を取ったことに気づいた。だが、肩の痛みは消えないし、同時に大きな損失に気づく。
背嚢を忘れた。全て置いてきてしまった。
奴らが食料も何もかも奪ってしまうだろう。
(しまった……男のほうに催眠の魔眼を使ってあの武器を渡させれば……)
彼はひたすら後悔した。
突如として生きるか死ぬかの決断を迫られたとはいえ判断を誤ったと。
(いまさら考えても意味がない……それより肩はどうなってるんだ?)
彼は手で押さえている部分がじっとりと濡れている感触がした。
嫌な予感がしながら指先に炎を作ると服が真っ赤に濡れているのがわかった。
見えない何かが刺さったらしい。
あの短い筒は危険どころではない。悪魔の武器だ。
顔や胸に当たっていたら死んでいたかもしれない。
「どうしたらいいんだ……」
彼は痛みに耐えながら傷の様子を確認した。
あの筒の攻撃は肩を貫通したらしく、傷が前と後ろにあって上手く圧迫できない。
体を動かすたびに激痛が生じるが、動かないと今度は寒さで凍えそうだった。
このままだと怪我ではなく寒さで死ぬかもしれない。
どうすればよいか。
どこかのグループに助けを求めるしかないと彼は思った。
どこかの建物に入れば寒さは防げるだろうが、傷は自分で治せない。
優秀な魔法使いなら治癒魔法で出血を止めて数分で完治させることもできるが、最弱魔法使いの彼の治癒魔法は何もしない時よりほんの少し早く治るという程度だ。
さっきから魔法をかけ続けているが、何の変化もなかった。
(俺は魔法がない世界でもこの程度か……笑うしかないな……)
彼は自嘲しつつどこでもいいから人間の居住区を捜そうと決めた。
無論、それがあの二人組が所属するグループだったら終わりである。
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