第18話 ボクと友達と親友と劇 -03

    三



 次の日。

 朝から英時が何か世迷言を口にしてきたが、ボクの空耳として処理をしておこう。そんな朝の小さな出来事をブラックホールの中に放り込んだ時にちょうどチャイムが鳴り、ボクは自分の席に戻った。

 英時は直前まで高見君と話していた。どうやらあの後、ちゃんと和解したらしい。よかったよかった……って、あ!

 ボクは今、気がついた。

 すっかり英時のことを忘れていたことを。

 勝手にいなくなったから、心配させてしまったかもしれない。っていうか、忘れてたこと自体がおかしいのだが、おかしいことすら分からない程におかしかった。もう訳が判らない

 ……とにかく、いなくなったことを謝らなければ。

 そう決意して英時の方へと顔を向けると、英時は顔を伏せていた。これは話せる雰囲気ではない。

 ……うん。謝るのは後にしよう。

 内心でそう決意し授業を受けるべく前を見た。

 間もなく先生が入室し、連絡事項を二つ三つ程言った後に


「それじゃあ、委員長と副委員長、後はお願いします」

「はい」「……はい」

 気の入った声と入っていない声の二つの声がして、二人の生徒が前に出た。

 気の入っていない方の声は英時である。英時は満場一致の他薦で委員長に選ばれたのだ。

 その英時は、机に手をついて話し始める。


「えー。僕達の組は、今年の文化祭に劇をやることになりました。それで、何を演じるのかをこれから決めます」


 あ、そういえばもうすぐ文化祭か。

 しかし、劇か……何にしよう。というか、演じることはしたくないな。ボクは裏方で十分である。

 そうこう考えているうちに、色々案が出され、決定される。

 ボク達のクラスの劇は、ロミオとジュリエットになった。


 ……そして、ここからが問題だった。


 先の劇が選ばれたのは学校側から提示された選択肢の内の一つだった、というつまらない結末だったのだが、そこを面白いと思わなかった人々――主に真美と奈美であるが――が提案してきたのだ。

 役は男女完全ランダムにしよう、と。

 その結果。

 ロミオとジュリエット役が、ボクと英時になった。

 しかも単純な話ではない。


 

 



 彼の為に本番も含めての話は割愛してあげよう。

 とにかく、、ということが嫌と言う程に分かった、というのが感想であった。 

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