第8話 ボクと出会いと学校と友達 -06

    六



 そして放課後。

 皆が帰り支度を始めた頃に、ボクはある人に声を掛けた。


「ちょっと話したいことがあるんだけど、屋上に来てくれない?」


 その人は「何?」と訊いてきたが、ボクは「ちょっとここでは話せない」と言って無理矢理連れて行った。

 しかし……ここでは話せないていうのは事実だけど、ちょっと何か違う意味に誤解されたかも――なんて、そんなことを思っている内に、目的地の屋上に辿り着いた。

 今日も晴天で、夕焼けが綺麗だった。

 この景色を、この人じゃなくて英時と一緒に見たかったなぁと思いつつ周りを見渡すと、この時期のこの時間の屋上なら当たり前だったが、誰もいなかった。


「うん。これは大丈夫だね」


 ボクはほっと安心して胸を撫で下ろした。

 そして連れて来た人の方を向き、言った。



「あのね……」

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