第二部 四話 『婚約騒動の顛末とその賠償……いや、何で俺が』
115 『あきらかなやっかいごと』
お待たせしてすいません。そんなこんなで四話です。
新ヒロイン(?)回
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霜との別れと再会、そして我家が城になったりと色々があった翌日。
――ピンポーン。
朝食を食べていると、そんな風に鳴り響くチャイムの音が聞こえてきた。当然ながら、現在の家は城なんかではなくごく普通の平屋に戻っている。
「あ、誰か来られたようですね。うちが出てきますから、主さまはそのままお食事を続けてください」
「いや、俺がいくよ。霜のほうこそ、ゆっくりしててくれ」
チャイムの音に出て行こうとした霜を引き止める。何から何まで彼女任せというのも悪い。というか、なにより下半身が床から生えてる彼女に来客対応なんてさせるわけに行かない。
「……というか、前にも同じようなことあったな」
そう、あのときは依織が出ようとしたんだったか。偽装を施してると入っても、万一ばれるといけないから、行かせるわけにもいかないのでとめたが。
「確か、あのときはレイアの両親があいつを連れ戻しにきたんだっけ」
なんてことを思い出すと、なんだか嫌な予感がしてくる。
チャイムが鳴る――あたりまえのことなのに、かつて起きたその後のことを考えて。
「はいはい、今あけますよ」
――まぁ今は依織もレイアも出かけているわけだし、流石に心配のしすぎだろう。
そんなことを思い、玄関を開けた俺を待っていたのはまったくもって予想外な光景。
「ふん、出てくるのが遅すぎるぞ。この僕を待たせるなん――」
ピシャッツ! と勢いよく音を鳴らし玄関を閉める。
なにか変な変なものが見えたが、気のせいだろう。
「多分、間違えて尋ねてきたかなんだろう、うん、きっとそうだ」
なんて、現実逃避しているうちに、戸の隙間に白い何かが差し込まれ、一気に玄関が開かれる。そして、それをなした相手は傲岸と、けれど不愉快そうに言い放つ。
「いきなり何をするのだ! 白蛇家の跡取りたるこの僕を何だと思ってる!」
そう、一言で言えば、レイアの元婚約者だった男、白蛇燐がそこにいた。
「……なんでさ?」
あきらかなやっかいごとに、途方にくれる。
縁が出来るのは人外の女性だけじゃなかったのか、なんてことも思いながら。
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