私とトントゥ ――スカイスパYOKOHAMA
トントゥはフィンランドをはじめ北欧諸国に伝わる妖精だ。
家の中、自然の中、そしてサウナの中。
トントゥはどこにでもいる。
家の中のトントゥは家事を手伝ってくれるし、森の中のトントゥはビーバーや熊の巣作りを手伝う。
サンタクロースの手伝いをするのもトントゥだ。
子どもがちゃんと良い子にして過ごしていたかを見ていたり、プレゼントのラッピングやトナカイの世話をしたりする。
そして、サウナのトントゥは、サウナの守り神である。
各家々のサウナに一人ずつトントゥがいて、一番最後にサウナに入り、サウナが綺麗に使われているか管理する。
サウナでの火事はトントゥを怒らせたためだという。
サウナトントゥは敬われ、子どもはサウナを綺麗に使わないとトントゥに怒られると教育される。
トントゥは敬意を以て接すべき、身近で、そして神聖な存在なのだ。
スカイスパYOKOHAMAは、横浜駅東口に直結するスカイビルの中にある。
首都圏でも有名なサウナの一つだ。
私は、二十年来の悪友であるK氏とT氏とともに、スカイスパに来ていた。
スカイスパに辿り着いたとき、時計はもう午後五時になろうとしていた。
学生時代にかわいらしい悪事をともにした旧友たちも、今はもうそれぞれに仕事がある。あまり早い時間から集まることも難しい。こうして三人集まるのも久しぶりのことだった。
その日、私たち三人はスカイスパに泊まる予定だった。
男三人、一泊二日で遊び倒そうという算段だ。
その日は横浜で飲んで、スカイスパに泊まろうという話だったが、酒を入れる前に、一度、サウナを楽しもうということになった。
チェックインを先に済ませて、サウナを楽しみ、そうして飲みに繰り出すというわけだ。
このとき、まだ首都圏の有名サウナに行った経験がなかった私は、期待に胸を膨らませていた。
スカイスパの浴場は、綺麗でよく整っていた。
遠目に見ると綺麗なサウナ施設でも、よくよく見ると掃除が行き届いてなかったり、建物が古くなってくたびれていたりするものだが、スカイスパはそうしたものとは無縁だった。
あちこちに大きく取られた窓は、ビルの高層階に位置するため、横浜の街並みを一望できる。贅沢な浴場だ。
贅沢なのは浴場の作りだけではない。
大抵のサウナ施設では、置かれているシャンプーを使えば、あとで髪はごわごわになるものだが、スカイスパのシャンプーはそうした安物ではなかった。
肝心のサウナも素晴らしい。
サウナに入ってまず思うのは、明るいということだった。
おおよそサウナというものは薄暗いものだが、スカイスパでは大きな窓が据え付けられて、外の光が明るくサウナ室を照らしている。
サウナ室の中は木の香りがほのかに漂う。テレビのない室内は静謐を保っている。ふかふかに整えられたサウナマットの上に座ると、さも当たり前のように体は落ち着く。
温度計の針は八十度。
少し低めの温度だ。
しかし、それは窓から入る明るい日の光の中、まるで日なたぼっこをするようにのんびりと入っていられる温度。静かで明るい、優しい温度のサウナに包まれて、夢心地となる。
私たちが訪れたのは、土曜の夕方だったが、週末ということもあるせいで、浴場内は多くの客たちで賑わっていた。
駅に近いためか、横浜という立地か、外国人観光客の姿もちらほら見えた。
人の多さに辟易しないでもなかったが、しかし、それは良いサウナであるという証だと思って我慢するしかなかった。
ロウリュの時間には、みんながサウナ室へと集まるためにぎゅうぎゅうに詰めて座ることになる。
私は横に大きく手を広げて熱波を受けるのが好きだが、せせこましく座るほかないここでは、気を遣い、僅かに手を上に上げるばかりだった。
ただ、人が多いとおこぼれアウフグースも貰える。
熱波師が隣の人を扇いでいるときに、こぼれ落ちた熱波が私の体に当たる。すごく得をした気分だ。
もちろん、熱波師の技も良かった。
ふんわりとした暖かなサウナが、心地良いアロマ水の蒸気によって、じわりじわりと熱を持つ。
サウナ室全体に広がる、爽やかな香りが心と体を安らげる。その香りも行きつけのサウナのロウリュよりも随分と芳醇に感じた。
それは使っているアロマ水の質なのか、サウナストーンの質なのか、はたまた熱波師の腕なのか。
理由は知らない。
けれど、それは間違いなく私の体の随の奥の奥へと熱を送り込み、普段通りではない、きらやかな汗が流れた。
ロウリュを終えて、水風呂に浸かる。
温度は十七度。
けれど、体感的にはもっと冷たく感じた。ひんやりとした、少し尖りのある水質だ。
手桶に水を汲んで汗を流すと、いつもよりも体は強ばった。けれど、肩まで深く浸かると、芯まで熱せられた肉体はじわりじわりと冷やされた。
スカイスパは、サウナも水風呂も急いではいけないのだと知った。
ゆっくり時間をかけて、この緩やかに流れる時間を存分に使ってこそ、このサウナで整うことができるのだ。
スカイスパはベンチも数が多い。
客は多いが、ベンチが足りないということは、少なくとも私がいるあいだはなかった。気が利いている。
のんびりとベンチに座ると、視界に浴場全体が煌めく。その向こうの大きな窓からは、横浜の街並みが一望できる。まるで雲の上にいるようだ。
ここは空に浮かぶサウナだ。
街の上空で、山の清流のようなせせらぎの音と光が見えた。
私は今、空で整った。
ベンチでぼんやりしていると、ふと隣に座る外国人と目が合った。
観光客だろうか。ひげを生やした、背の高い白人男性だ。
話しかけてみようか、と思った。
普段なら隣のベンチに人が座ったからといって、やみくもに話しかけたりはしない。私は人見知りな方なのだ。
外国人が珍しい、というのも無くはないが、けれど、その彼に話しかけようかと思ったのは、彼が何か物欲しげな顔をしていたからだ。
物欲しげな顔、というのも正確な表現じゃないかもしれない。
けれど、他にどう形容しようもない、得も言われぬ表情。
広島カープのエルドレッドを細身にして、もう少し端正にしたかのような顔(エルドレッドも充分端正だが)の彼は、そわそわと物欲しげで、指を咥えて母親に甘えたそうにした子どもの口から、指を外したような表情。どんな表情か想像できないかもしれないが、ともかくそんな表情をしていたのだ。
その表情は、人見知りの私を以てして、彼と話さねばならないような気持ちにさせた。
ただ、今は時が悪かった。
私は今、心を自由に解放させて、整えている最中なのだ。
悪いが、整えることが最優先だ。
その外国人に少し悪い気がしたが、ふっと視線を切らせて、私はまた空に浮かぶサウナトランスを楽しんだ。
サウナでさっぱりしたあとの酒はうまい。
身も心も爽やかに洗い流して飲む酒は格別である。ましてや気の置けない友人たち三人が久しぶりに集まったとなれば、言わずもがなだ。
その日、大いに酒はすすみ、大いに盛り上がった。
時計が十二時を過ぎるよりも前、繁華街からスカイスパに戻った私たちはもう一度サウナに入ることにした。
酒を入れてのサウナは体に良くない。
場合によっては倒れてしまうこともあるし、危険な場合もある。
けれど、その日は飲む前にサウナに入ったせいか、悪い酔い方はしなかったし、スカイスパに戻るまでのあいだに、随分と酔いも醒めた気がしたのだ。
兎角、上機嫌な気分のままにサウナへと舞い戻る。
夜のスカイスパは、明るい時間とはまた別の顔を見せていた。
明るく日の光を取り込んでいた大きな窓は、夜の帳に覆われて、サウナ室は薄暗い。
光度の低いオレンジ色の灯りは夜を邪魔しない。
暗い窓の外からは、ぴかぴかと埠頭の光、街の光、月の光、それだけだ。窓の外に見えるアスファルトを照らす道路の街灯のように暗い光だけが、サウナ室を包んでいる。
人もまばらだ。
まだ、日付を跨いでいないが、もうみんな眠りについたのだろうか。ちらほらと残る人影だけが、自分たちと同じように暗い夜の景色を見つめていた。
さわやかな明るい昼のサウナとは真逆に、夜のスカイスパは夜の暗さを楽しむ場所だった。
水風呂で熱を流していると、また、あの外国人が目に入った。
昼間にベンチで隣り合って、目が合った、エルドレッド似のあの彼だ。
スカイスパに戻ってきて、私が浴場に入ったときには、すでに彼はいたように記憶していた。
水風呂に入ってまま、ただなんとなく私の視線は彼を追っていた。
相変わらず何か物欲しげな表情をしている。
最初に見かけたときにも思ったのだが、その男――エルドレッドはともかく落ち着きがない。
スカイスパは何種類かのお風呂にサウナ、水風呂、それと塩サウナを備えている。エルドレッドはあっちのお風呂に入ったかと思えば、今度は別の風呂へすぐに移動する。サウナに入ったかと思えば、一分も経たないうちに出て、また別の風呂に向かう。そうして、しばらくウロウロしたあとは、ベンチに座って大人しくする。
彼の行動はおおよそ、その繰り返しだった。
もちろん、その間ずっと彼は物欲しげな顔だ。
そういえば、欧米諸国では、日本のように共同浴場に全裸で入るという習慣がないと聞いたことがあったような気がする。温泉施設はあるが、水着を着て入るものであって、全裸で他人と同じ風呂に入るということに不慣れだと。
その情報が確かかどうか、それは知らないが、彼が落ち着かないのは、そのせいかと思った。
文化の全く異なる日本のスパに来てみたのはいいものの、どうしたらいいのか分からずにいるのではないか。
もし、そうだとすれば、親切に話しかけるべきじゃないか。お節介かもしれないが、話しかけて、サウナの入り方を教えてあげるべきじゃないか。
私の心の奥底で、そんな声が聞こえた。
折角、日本に来て、しかも、こんなに良いサウナに来たというのに、もったいない。
ならば、私は親切にしてやるべきじゃないのか。それが人情というものじゃないか。
これが私の本心だったことは確かだった。
けれど、酒を飲み、サウナに入り、水風呂で流した私は、その時すでに猛烈に眠かった。下手をすれば、このままサウナの中で寝てしまうのではないかというほどに。
エルドレッドとは何度も目が合ったが、私は目線で彼に謝って、カプセルルームへと向かった。
カプセルに入り込み、横になると、すぐにぐっすりと深く眠った。
良いサウナ、良い水風呂、良い酒。
それらは私にこの上なく深く、そして安らかな眠りをもたらすに充分過ぎるほどだった。
翌朝、目が覚めたのは六時前だった。
どうにも慣れない寝床では早起きしてしまう。
決して眠れなかったわけじゃない。それどころか、普段よりも質の高い睡眠で、昨日の疲れなどみじんも残らないほど、爽やかな朝だ。
自販機で買ったコーヒーを片手に、喫煙室の窓から朝日を眺めた。
友人二人はまだ起きない。
二人が起きて朝食を食べる前に、ひとつ朝風呂、いや、朝サウナにしけこもう。
そう思って私は浴場へ足を向けた。
朝のスカイスパはまた別の顔を見せていた。
浴場のあちこちの窓から入り込んだ朝日が、あちこちの水滴をきらきらと光らせる。新しい一日を喜びに溢れた光が満ちる。
どうして朝の浴場というのはこんなにも尊いのだろうか。
サウナの大きな窓からも朝日が入る。
時間がゆっくりと流れている。
窓の外、夜には暗い街灯に照らされていただけの道を、新聞配達のカブとランニングをする人が時たま通る。
それと同じように、朝のサウナに人はまばらだ。
下手をすると昨日の夜よりも人は少ないかもしれない。私以外に数人がのんびりとサウナを楽しんでいる。
昼や夜のサウナもゆるやかな雰囲気だったが、朝はまた格別に安穏とした空気があった。
ふと、サウナのドアに掲示があった。
――朝ロウリュ、七時より開催!
ほう、と唸ったのは私だ。
朝からロウリュをやってくれるとは痒いところに手が届く。流石だ。
友人二人には悪いが一人で楽しませて貰おう。
どうせ、あの二人はまだ寝てる。私同様サウナ狂いの二人だ。起きていれば、朝一番でサウナにいないはずがない。
時計はまだ六時半。
時間までゆっくりサウナを楽しもう。
そう思って、朝のサウナを存分に堪能していたわけだが、しかし、いまいち私はサウナに集中していなかった。
それというのも、いるからだ。
何がと言えば、エルドレッドだ。
エルドレッドがいる。
いや、正確に言えば、エルドレッド似なだけだが、ともかく物欲しげな顔をした、あの男がいる。またいる。
あの得も言われぬ表情で、うろうろとせわしないのも変わらない。
私が今朝、浴場に入ったときから、すでにいた。
昨夜は私の方が彼より先に浴場を出たはずだ。
一体、何時に寝て、何時に起きたのだ?
――いや、待てよ。もしかしてヤツは寝ていないのか?
そんな考えがよぎった。
そんなわけはないだろうと思うかもしれないが、しかし、私にはこの考えはあながち間違いとは思えなかった。
私は昨夜あまり寝ていない。
確かにぐっすりと深い眠りには落ちたが、しかし、昨日、私が浴場を出たのは一時頃。そして、今朝は六時前には起きて、サウナに来たのだ。
自分で言うのもなんだが、そういう人間は稀な気がする。
なにせ、ここはサウナだ。
サウナで一度すっきりすれば、すとんと眠りに落ちて、あとはぐっすりだ。
大抵は、遅くまでサウナに入って朝風呂を逃すか、或いは逆に早く寝てしまって、朝からサウナに入るか。そのどちらかではないか。
そう考えると、サウナに不慣れなエルドレッドが、私同様にあまり睡眠時間を取らずに浴場に来るとは考えがたい。
もし彼が無類の風呂好き、サウナ好きであれば、それもあり得るかもしれない。だが、彼は誰がどう見ても日本のスパに不慣れだ。
風呂に浸かってもすぐに上がり、サウナに入ってもすぐに出る。水風呂には近づきもしない。
そんな彼が夜更かし、早起きを厭わないほどの風呂好き、サウナ好きとは考えがたい。
思えば、彼は昨夜、私がサウナに来たときには先にいた。
さらに思い出せば、昨日の夕方、飲みに行く前にスカイスパで最初にサウナに入ったときも、私たちよりも先にいて、私たちの方が先に出た。昨日のよるもそうだ。
そうして、今朝も私よりも早く浴場にいた。
どう考えても、一晩中、いや下手をすれば、昨日の夕方から十二時間以上ずっと浴場にいるとしか思えない。
その事実に気が付いた私は、もう彼が気になって仕方がなかった。
朝のロウリュは格別だった。
客は私を入れても四、五人。昼間のロウリュとは違って、隣を気にすることもなく存分にロウリュを楽しめた。
両手を大きく横に広げて、熱波を浴びる。
半分眠りこけていた脳が目を覚ました。
嫌な起き方ではない。ゆっくりと、そして、しっかりと、確かに足取りを確かめるように目が冴える。
唯一の気がかりはエルドレッドだ。
ロウリュの最中も、サウナ室と浴場を隔てる窓越しに何度も目が合う。ロウリュに興味があるのか、時に窓のそばまで近づいてみたりしている。けれど、熱さは苦手なのか決してロウリュの最中のサウナには入ろうとしなかった。
このとき、すでに私は自分を疑い始めていた。
即ち、あのエルドレッド似の外国人は私にしか見えていないのではないか、と。
サウナをキメ過ぎて幻覚が見えているのではないか。サウナで整い過ぎているのではないか。
そう自分を疑っていたのだ。
見渡すと、彼を気にしているのは、私だけのように見えた。
周りの人たちは、彼の特異性に気が付いていないのか、はたまた見えていないのか、それを判別することは困難だった。
朝からサウナを三セット(サウナ、水風呂、ベンチ、これを一セットと呼ぶ)とロウリュで存分に整った、いや、或いはトランスし過ぎていた私はのんびりと風呂に浸かっていた。
スカイスパは寝湯や炭酸泉も完備して隙がない。
朝風呂を楽しんでいると、ちょうどT氏がやってきた。
「おはよう。はやいね」
「おはよう。はやく起きちゃったから、サウナ入ってた」
「へえ」
タオルを頭にのせたT氏は、ゆっくりとお湯に浸かる。
それ以外に特に会話はなかったが、そうした間は良くあることだった。気の置けない友人ならではの距離感だった。
ふと、気になったことをきいてみようと思った。
――T氏にはエルドレッドが見えているのか?
エルドレッドが昨日からずっといるのではないか、或いは彼は私の幻覚なのではないか。その疑問を素直にぶつけてみることにしたのだ。
「いるよね……。昨日からずっと」
よかった。見えているのは私だけではなかったようだった。
いや、待て。T氏とて手練れのサウナ狂い。同じ幻覚を見ている可能性はある。
二人で首をかしげて、彼の存在について議論したが、果たしてそれは行き詰まってしまった。
そこにふと、奇怪な考えが浮かんだ。
「なあ、ヤツはもしかしてサウナの妖精なんじゃないか?」
無類のサウナ好きにしか見えない妖精。それが彼の正体なのではないか。妖精だからこそずっと浴場にいるのではないか。
確かにサウナの妖精にしては、サウナや水風呂にあまり寄りつかないが、しかし、それ以外に説明がつかない。
もし逆に妖精でないとしたら、あの男は一晩中、いや、それ以上の時間を浴場に居続ける変人ということになってしまう。
そんな変人いるわけない。
それを言うとT氏は「それだ!」と言った。
私の言葉に納得したT氏は爽やかな顔でサウナへと向かっていった。私はそれを見送りながら、サウナの妖精の姿をずっと目で追っていた。
サウナの妖精・トントゥ。
スカイスパに行った当時、未だ駆け出しサウナーだった私の耳にも、その存在は届いていた。
曰く、サウナの守り神。時にサウナでのぼせないように、サウナに入りすぎた人間を棒でつつくという。
私はサウナに入りすぎていたのだろうか。
いや、まだ私は彼につつかれていない。きっと私たちはサウナを愛しすぎたのだろう。サウナを愛しすぎた私たちにサウナの妖精が姿を現したのだ。きっとそうに違いない。
一つ伸びをして、風呂を出る。
まだ寝ているだろうK氏をそろそろ起こしてやろう。そして、朝飯を食おう。
もう八時だ。ずいぶん腹が減った。
また、サウナの妖精、エルドレッドと目があった。
相変わらず、物欲しげな表情だ。
話しかけようか。
そう思ったが、やめた。
下手に妖精に話しかけて、驚かせてはいけないと思ったからだ。
ただ、私たちのサウナ愛によって、姿を見せた彼に敬意を払おうと考えて、一つ会釈をした。
エルドレッドは物欲しげな顔のままで、きょとんとして私を見送った。
小旅行で素敵な妖精を見かけた。
そう思うことにして、私は浴場を去った。
今日も今日とて、私はサウナに行く。
そのたびに彼の姿を探してしまう。サウナの妖精である彼を。
いつかまた妖精を見れたらいいな。
そう思って、私は今日もサウナに行くのだ。
【SAUNA DATA】
スカイスパYOKOHAMA
サウナ:80℃程度、オートロウリュ有、テレビ無
水風呂:17℃程度
ロウリュ:12:00~24:00の毎正時、金曜~日曜のみ早朝ロウリュ有(6:00)
宿泊:リクライニング、カプセルルーム有
営業時間:10:30~翌9:00
料金:入浴2,370円(短時間料金有)、宿泊4,700円~
HP:https://www.skyspa.co.jp
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