第1章
私の家は、九百年前から続く<犬神憑き>の家系。つまり、<犬神筋>。
大昔、源頼政っていう人が<鵺>という妖怪を討ったんだけど、四つに裂けた体が<犬神>になって散らばったのが始まり。
初代犬神憑きは、たまたまそこに居合わせた、不運な貴族の御息女・九条椿って人。
分家は各地に散らばっているけど、本家は四国の大分県にある。
現当主であり、私の父がいる本家――だけど、絶対に行きたくない。
もしも今日、本家行きが決まれば、それは私の精神が破壊された時だから・・・・・・。
犬神は家族の人数だけいる。
九条の家に生まれた人間は、生まれたその日から新たな犬神に憑かれて、<犬神憑き>になる。
私も、そう。
私にも、私の犬神が憑いている。
邪術で生んだ狗神と違って、純粋培養だから、ある程度制御はしやすい。
だけど、それでも宿り主の精神が弱いと、犬神は宿り主の精神を乗っ取ってしまう。
もしそうなったら――本家の座敷牢に繋がれて、一生外に出られなくなる。
今日私を待ち受けているのは、自由か永遠の束縛か、その運命の別れ道を決める目覚めの儀式だった。
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