第2章 トラリス

<1> カルミラ

 あの青い空を思い出す。海を見下ろす高台の草地で、幼いトラリスはギルエンと向かいあって立っていた。

「いいかトラリス」

 ギルエンの口調はいつもどおり穏やかだった。けれどその表情が真剣だったので、トラリスも神妙に彼の言葉を聞く。

「人間の身体っていうのは、真ん中が急所だ。急所っていうのは、他の部位に比べて弱い場所って意味だ」

 ギルエンはそう言って自分の左手で額に触れ、次に鼻、顎、首と、触れる場所を移す。

「身体を動かしてるのはここ、心臓だ」

 ギルエンはそう言って小さく笑うと、自分の胸に手を置いた。中心よりわずかに左寄りに。トラリスも真似をして、両手で自分の同じところを押さえる。皮膚の下から静かな鼓動が伝わった。

「ここが身体の中心だ。心臓が身体に血をめぐらせ、動かしている」

 もっとも、と、彼は自分の胸を軽く叩く。そして今までと同じように軽い調子で続けた。

「俺にはないんだ」

 あの頃のトラリスにはもちろん、彼の言葉の意味が正確には理解できなかった。だからそれが不自然なこととも思わなかった。彼を見上げていたトラリスに向かって、ギルエンは穏やかに笑う。

「触ってみるか?」

 彼が訊ねる。トラリスが頷くと、ギルエンは彼の前に屈みこんだ。トラリスは腕を伸ばして彼の胸に触れる。鼓動はない。鎖骨と肋骨の間に、しばらく掌を彷徨わせる。呼吸のために胸は上下していたが、トラリスのような鼓動には行き当たらなかった。

「どうしてないの?」

 手を離しながら、幼い彼はギルエンを見上げた。

 ギルエンは背筋を伸ばすと、笑ってトラリスの頭を撫でた。それでトラリスは言った。

「おれも、早くギルエンみたいになりたい」

 青い血も、心臓のない身体も。

 それは本心だった。幼いトラリスのあの時の、正直な気持ちで、望みだった。



「トラリス様、お待たせしました。こちらへ」

 顔を出した祭司に声を掛けられて、トラリスは我に返る。彼は今、アトレイの聖神殿へ来ていた。用件を取り次いでもらう間、小奇麗な客間で待たされていた。今日は天気が良く、まだ昼前だ。明るい日差しが部屋の小さな窓から室内に差し込んでいる。それをぼんやりと眺めて、トラリスはあの頃のことを思い出していた。

 心臓がないと言ったギルエンを、あの時の彼とのやり取りを、トラリスは覚えている。けれどそれがとりわけ鮮烈な記憶というわけではなかった。あの島でのギルエンとの記憶は全てが連続した出来事で、心臓のことはその一部に過ぎない。今では靄の奥に霞むような幸福な思い出の中の。

 トラリスは立ち上がった。洗いざらしの祭服を着た若い官女が部屋を出るように促し、広く天井の高い祭殿の廊下の先を歩いて彼を案内してくれる。

 勇み足で両親の元へ赴いたトラリスは結局、現実的な問題で足止めされた。父親に説得されたのだ。トラリスを名乗ることも、ローレウォール家を出て行くことも構わない。ただ、身ひとつで息子を送りだすわけには行かないと。彼はアトレイの有力者のひとりだ。彼の名を記した証文の他、数日あれば王家の許可証ですら手に入ると聞いて、トラリスは心動かされた。それだけじゃない、父親はまとまった金も用意してくれた。

 アトレイに戻ってからの数日で、トラリスは改めて自分がローレウォール家に生まれたとはどういうことなのか思い知った。それで卑屈な意地だけで彼らの申し出を断らず、使えるものは使おうと考え直してアトレイに留まっている。

 しかしただローレウォール家で待っていることなどとても出来なかった。彼はまず家族に自分が攫われた時の詳しい状況を訊ねた。それは彼が三歳の誕生日のことだったけれど、口の重い母親が言うにはそれよりも三年前、生まれた時に彼が蛇蝎族を滅ぼす運命の子どもだと予言した祭司がいるのを知った。名前はカルミラ。ギルエンとの思い出に浸るだけだった今までのトラリスは、自分に予言を与えた祭司に会うことなど思いも寄らなかった。けれど彼女なら、自分の運命を言い当てた彼女なら、ひょっとすると現在のギルエンの居場所を知ることができるかも知れない。トラリスはそう考えた。

 カルミラは王室付きの祭殿に暮らす下級祭司のひとりで、ローレウォール家を通して面会を申し込むとすぐに承諾の返事が届いた。それはこれ以上ないくらいの速さでトラリスの元へ届けられ、トラリスがアトレイに戻った翌々日には、彼はアトレイで最も大きい王宮の敷地内の祭殿への立ち入りを許されていた。

 トラリスが通されたのは面会用のこぢんまりとした応接間のひとつだ。天井の高さと構造が建物の古さを物語り、据えた家具は上等だった。

 部屋の中には祭服姿の女性が一人、待っていた。トラリスの姿に彼女は立ち上がる。彼女の着ている長い祭服は裾が足を覆い、更に大きなフードがついていて、彼女は顔を隠すようにそれを目深に被っている。そのせいでトラリスには、影に沈む彼女の口周りしか見えない。細い顎と薄い唇。

「ようこそ、タセット・ローレウォール」

 挨拶しようとトラリスが進み出ると、彼女は立ち上がって静かにそう言った。フードを下ろす気配はない。彼はわずかにそれを失礼な態度ではないかと感じたが、これが聖職者の習慣なのかもしれないと思い直した。最も、彼をここに案内した幾人かの祭司は男女の別なく、こんな風に顔も身体を覆い隠した者は誰もいなかったけれど。

「あなたがカルミラですか」

 トラリスが訊ねる。

 彼女はフードの奥で小さく頷いた。それならトラリスは確実に何度か会っているはずだ。しかしながら当然、彼はそれを覚えていない。

「突然の申し出なのに時間を作っていただいて、ありがとうございます。でも、おれのことはタセットではなく、トラリスと。今はトラリスを名乗っています」

 そう言ってトラリスは小さく頭を下げた。カルミラは手を上げてそれを制する。それで袖口から指先が覗いた。手袋をしている。

「どうぞ、お座りになって」

 彼女はそう言ってトラリスを促した。トラリスは頷いて、彼女の向かいの椅子に腰を下ろす。

「どうして私に会いに」

「教えていただきたくて」

 トラリスは言った。

「おれが生まれた時に、おれが蛇蝎を滅ぼす運命の子どもだと予言したのは、あなただと聞きました。そしてその理由が」

 トラリスは一瞬だけ迷って、それから続ける。

「おれがギルエンの心臓を持っているからだって、そう告げたのがあなただと聞いたので、どうしてあなたにそれがわかったのか、知りたくて」

「私は」と、彼女は静かな声で言った。

「誰かと顔を合わせたときに、その人の遠くない未来を読み取ることがあるの。誰にでもできるというわけではないし、能力以上のことを期待されることも多いけれど、タセット」

「すみません、トラリスです」

 彼は失礼にならないように気をつけながら、それでもはっきりと訂正した。カルミラはもう一度頷く。

「ではトラリス。私はあなたのことを見たわけではなく、あなたのお母様のことを見たの」

「母の?」

「そう」

 と、彼女は頷いて、彼の方へ腕を差し伸べた。

「今もあなたを見ようとしているけど」

 と、彼女は続けて手を下ろす。

「何も見えない」

 手袋をした指先が見えた。トラリスは厳重に肌を隠している彼女を眺めて、はたと気がつく。祭司とはいえ、彼女はずいぶん大袈裟に自分の姿を隠している。

 そして彼女には他人とは違う能力がある。自分の心臓にはギミエルに会った時のような変化はなかったが、それでもたった今感じた予感に、トラリスは確信があった。

「あなたは」

 と、彼は言った。

「青い血なんですね」

 祭服の奥で彼女の身体が一瞬震えたのがわかった。カルミラはしばらく黙っていたが、やがてフードに手をかけると、それを後ろへ払った。窓から差し込む明かりのもとに、彼女の顔があらわになる。歳の頃はトラリスの母親と同じくらいだろうか。最も、サラセタは年齢よりも若く見えると評判だったし、トラリスは女性の年齢を推測することに慣れていないので、本当のところはわからない。

 カルミラは血色が良く見えるよう、唇に紅を刷き、頬紅を乗せていた。ギミエルとは違い、外見だけではよくわからない。でも、彼女の怯えたような目つきが、トラリスの言葉が事実だと語っていた。

「あなたは本当に、ギルエンを知っているのね」

「三歳の時から八年間、おれは彼に育てられました」

 トラリスは頷いてから言った。

「私は会ったこともないわ」

 彼女は言った。

「他の蛇蝎族を?」

「ええ」と、彼女は声を顰めて頷く。

「でも、あなたが生まれる前の話よ」

「本当を言うと」

 トラリスはそう言って目を伏せる。

「青い血を持つあなたが羨ましいです。おれも青い血になりたかった。ギルエンみたいに」

「トラリス」

 カルミラは顔を曇らせて首を振る。

「そんなことを言ってはだめ」

 彼女は小さな目で彼を見つめて続けた。

「今でこそ、蛇蝎族は人々を脅かしているけれど」彼女は声を顰めて続ける。

「異常なのはギルエンよ。ほとんどの蛇蝎に、彼のような強大な力はないわ。あなたはギミエルを大したことないと言ったけど、あの幻を見せる力が、使いようによっては優れているのがわかるはずよ」

「同族は幻を見ないって、ギミエルが」

「私は直接、彼の力を見たことがないから」

 カルミラは困ったように首を振る。それから目を伏せると溜め息を吐いた。

「青い血が流れる子どもは突発的に生まれてくるの。最初から同族意識を持ってるわけではないのよ。ただ気味悪がられないように、ひっそりと生きていくしかなかった。それを変えたのがギルエンよ。彼は炎を操る強い力を持っている。そして蛇蝎と呼ばれるものを同胞と呼んで自分のもとに呼び集めたの」

「あなたは行かなかった?」

「心惹かれたのは確かよ。でも私は既にこの立場にあったし、青い血のことは知られずに暮らしていたから」

「おれが攫われた時のことを?」

 トラリスの問いに、カルミラは頷いた。

「あれはあなたの三歳の誕生会だった。盛大な誕生会で、招待客だけで百人はいたはずです。焼け落ちる前のローレウォール家で、入れるのは招待客だけだったけれど、彼らの従僕や侍女はもちろん立ち入ることが許される。私も祭司についてあなたを祝福をするために呼ばれていました。そのくらい人の出入りが盛んだったから、隙をつくのはわけなかったと思うわ。来客の祝辞も食事も済んで、大勢の集まりにありがちな、気だるい時間があるでしょう。あの時にもそれがあったの。屋敷が燃えたのはその時よ。大広間からは離れていたけれど、突然の激しい燃え上がり方だった。広間の客は混乱したし、皆逃げようとしたわ。その短い間に、別のところからまた火の手が上がったの。混乱が続いて、炎は結局母屋の半分以上を焼いた。気がついた時には」

 彼女は目を伏せる。

「三歳になったあなたはどこにもいなかった」

「ローレウォール家に怪我人は?」

「最初に火の手の上がった部屋の地下にいた若い使用人がふたりと、厩舎から逃げ遅れた馬丁が亡くなったと聞いたわ。納屋の家畜も犠牲になったはず。それと、あなたの乳母だった女性。怪我人はもっとたくさんいて、二十人かもっとか…、私は正確な数を聞いていないの」

 トラリスには全てが初めて聞く話だった。家族や家の者は誰もそこまで詳しくは教えてくれなかったのだ。

「ギルエンがやったという証拠は」

「確かに証拠はない、でも」

 と、カルミラは悲しげに首を振る。

「彼以外に、あんなことができる者はいないし、理由もないでしょう」

 トラリスは静かに頷く。彼女の言うとおりだ。あの日、トラリスをローレウォール家から連れ去ったのがギルエンではないなら、あの島での暮らしも幻のはずだ。カルミラはギルエンが同族を呼び集めたと言ったが、トラリスはギルエン以外の誰にも、あの島で会ったことはない。

「おれは嵐の晩に連れ戻されたんです。あの時嵐が来ることを、その時ギルエンが留守にして、おれがひとりきりだとわかったのは、あなたですか」

 カルミラは驚いたように顔を上げる。

「それは初めて聞く話よ」

 彼女は神妙に言った。

「五年前、あなたが連れ戻されたことはもちろん知っています。でも、本当なの? あなたは嵐の晩に、ギルエンが傍にいない晩に連れ戻されたの?」

「そうです」

 トラリスは躊躇いがちに頷く。

「私にそこまで知る能力はないわ」

 カルミラはそう言って、しばらく考え込む。トラリスも何も言うことが見つからなかったので、黙って彼女が口を開くのを待っていた。

「もしかしたら」

 やがて彼女は言った。

「ギルエンのそばにも、あなたとギルエンを引き離したいと思う誰かがいるのかも知れない。繰り返しになるけれど、私たちにはもともと同族意識はないのだから、青い血を持つ者の中にも、誰かギルエンの邪魔をしたいと考える者がいるのかもしれない」

「邪魔って」

 トラリスは眉を顰める。

「ギルエンの心臓を持つあなたが、彼の傍にいることを快く思わない誰かが」

「カルミラ、あなたも」

 トラリスは訊ねる。

「ギルエンがおれから心臓を取り戻すために攫ったと思いますか」

「ええ」

 と、彼女は頷く。

「それ以外に考えられないわ」

「それならどうして」

 トラリスは俯く。

「八年もおれを育てたんだろう」

「おそらく、自分の目の届くところで、他の危険のない場所で、あなたの中に自分の心臓が育つのを待ったのだと思うわ」

「それは予言?」

「いいえ、ただの推測よ」

「カルミラ、ギルエンの居場所がわかりますか?」

「いいえ、トラリス。力になれなくて申し訳ないけど、私に見えるのは、実際に目の前にいる人のことだけ。しかもあなたのことは、なぜか見えない」

 彼女は首を振る。

「それじゃあ、もうひとつ」

 トラリスは言った。

「聞きたいことがあるんです」

 トラリスは言った。カルミラが彼の目を覗き込む。トラリスは静かに口を開いた。答えが得られるのを期待しながら。



 旅立ちの用意を整えてアトレイを発ったトラリスは、それから各地の蛇蝎の支配地域へ赴いた。彼は行く先々で、予想はしていても心から望んだわけではないこと、つまりその土地を蛇蝎族から解放する手助けに加わった。それはひとえに蛇蝎族の者と会ってギルエンの居場所を知りたかったからだ。けれど数人の蛇蝎に会っても、ギルエンの足取りは沓として知れない。彼らが人々を恐怖で支配するのに手を貸したギルエンは、今では姿を消してしまった。

 トラリスは漠然と、蛇蝎族と接触を続けていれば反対に彼を捕らえようとする一族の者が現れるのではないかと、ひょっとしたらギルエンその人が現れるのではないかと心のどこかで期待していた。けれど次第にそれは諦めに変わった。

 蛇蝎族は確かに人々の脅威だったが、その数はとても少ない。彼らだけが持つ特殊な能力で人々脅すことは可能だが、多勢で組織されるということは無かった。そもそも普通の人々の中に、ひっそりと身を潜めるように暮らしてきた人々なのだ。その能力を攻撃に変え、埋もれる彼らを拾い上げ能力の扱い方を教え、人々を脅かし蛇蝎族の優位を作り上げたのが、頭領とされるギルエンだ。

 蛇蝎族の中にはギルエンほどの強い能力を持たない者が多数で、中には能力ごと村や町の、他の赤い血の人々に受け入れられている者もいた。ある町を通り過ぎた時、彼は半ば浮浪者のような年老いた蛇蝎族に会った。

「若造が、馬鹿な真似をしたと思っているよ」

 トラリスが自分の素性を明かし、蛇蝎族のことを教えて欲しいと熱心に、粘り強く頼み込むと、通りの端で老爺は物憂げに口を開いた。

「お陰で俺も、こんな有様だ…」

 彼の声はくぐもって、聞き取り難かった。

 トラリスは乞われるがままに、買ってきた酒を差し出した。黄ばんだ歯で瓶の蓋を開け、蛇蝎の老爺はそれに口をつける。トラリスはしばらく黙って傍らにいたが、彼がなにも言い出しそうにないので、自分から言った。

「手を、見せてもらえませんか?」

 老人は黙って自分の左手を差し出した。汚れて節くれ立ち、乾いた老人の手だった。トラリスは両手で彼の手を包み、甲をさする。彼の手は年老いて、そして今の生活のせいで垢じみ、薄汚れていた。それでもトラリスにはわかった。青い血管が浮き上がる。蛇蝎族特有の、肌の色だ。

 ありがとうございます、と礼を言って、トラリスは手を離す。そして老人の横顔を見た。彼は本当に、蛇蝎族なのだ。

「あなたはどんな能力が?」

「水を操ることが出来る」

 彼の返事にトラリスはわずかに目を瞠る。

 水脈を思い通りに出来るなら、その能力をつかって村や町、あるいは大規模な都市ひとつだって支配することは可能だ。

 そんなトラリスの思惑を察したように、老人は首を横に振った。

「おまえが考えている程のものじゃない。私の能力はとてもちっぽけなんだ。豊富な水を一度に操ることは出来ん」

 それに、と彼は続ける。

「私が能力を使えば、誰かの怒りを買うことになる。私は貧しくても、静かに暮らしていたかったんだ…。それが、この歳になって…」

 彼はそう言いかけ、酒をあおった。その後の言葉は口の中で転がっただけで、トラリスには上手く聴き取れない。

「こんなことになる前は、まだ仕事があった。青い血だとばれれば気味悪がられたが、それでも、なんとか暮らしていけた。でも今はだめだ」

「あなたに青い血が流れてることを、知ってる人もいるんでしょう?」

 ああ、と老人は頷いた。

「でも、誰も気味悪がって近づかんよ」

 昔は仲間もいたんだが、と老人は続けた。

「今では私は、不吉なだけだ」

 彼はそう言って、口の中だけでまた何かを呟いた。

 トラリスは束の間、彼の横顔を眺めていたが、彼はトラリスには聴き取れない独り言を呟くだけだった。

「ありがとうございます」

 トラリスは立ち上がりながら、金貨を一枚、彼の手に握らせた。老人はゆっくりとした動きでそれを確認すると、素早くポケットにしまい、もう一度トラリスに向かって手を突き出す。トラリスはわずかに驚いた。けれど、財布をさぐると、彼の手に硬貨を乗せてやった。それが良いことなのか悪いことなのか、トラリスにはわからなかった。背を向けて歩き出しながら、束の間とトラリスはそれについて考えていたが、答えが見つからないことがわかると、考えるのを止めた。

 次の目指す土地は決まっていた。そこを牛耳る蛇蝎族の行動は、激しく苛烈だと聞いていたので、避けていたのだ。でも、手がかりを得るには行くしかなさそうだった。

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