第1章 タセット

<1> タセット

 部屋の扉が開く音でトラリスは目を覚ました。あの頃の夢を見ていた。

 彼は長椅子の上で身を起こす。たった今見た白昼夢のせいで胸が重い。背後の窓からは柔らかい午後の光が差し込んでいた。部屋の入り口に顔を向ける。小太りの中年男性が入って来るところだった。トラリスが先生と呼んでいる療養士のラセウス氏だ。

「やあ、遅くなってすまないね、タセット」

 彼は額に浮かんだ汗を拭きながらそう言って、人の好さそうな笑みを浮かべてトラリスに近づく。トラリスも笑い返して彼を待った。彼は姿勢良く歩いてくると、向かいの椅子に腰を下ろした。上等な背広の肩や裾がわずかに濡れている。

「前の患者が長引いたのと、道の悪さでね」

 彼が言ったので、トラリスは窓の外に顔を向けた。微睡む前まで窓の外には弱い雨が降っていた。空が明るかったので、間もなく止むだろうと思っていた。窓硝子に雨粒の流れた跡が残っている。

「休みにしてもらってもよかったのに。来週もあるんだし」

 ラセウス氏に向き直りながらトラリスは言った。

「そうはいかないよ」

 そう答えて彼は、安心させるように笑いかける。

 トラリスは曖昧に頷いた。毎週水曜の午後は大抵こうだ。ラセウス氏はアトレイでも指折りの療養士のひとりで、付き合いは一年を超えた。彼と会うまで若者から老齢までの四人の男女がトラリスのところへやってきて、いずれも二週間から三ヶ月で来なくなった。クビになったのか自分から辞めたのかどうか、トラリスは知らない。五番目にやってきたのが目の前のラセウス氏だった。

 一年以上前の初めての面会日、自己紹介を終えると彼は、

「アトレイで君の好きになったもの、興味を持ったものを私に教えてくれないか。ちなみに私は」

 と、口を開き、しばらく自分の趣味の模型作りの話をしていた。トラリスはぼんやりとそれ聞きながら、新しい療養士がいつ自分に、今まで訪れた四人が繰り返し訊ねてうんざりしている質問をするのかと待ち構えていた。

 その質問とはつまり、学校には慣れたかとか、両親との関係はどうかとか、弟や妹は好きかとか、更にはトラリス自身が理由もなく惨めな気持ちになったり、他人に対して突然怒りを感じたりすることは無いかとか、そういうことだ。

 けれどその日、ラセウス氏はトラリスにそのどれひとつとして訊ねなかった。それでトラリスも少しだけ自分の話をした。

 彼は穏やかな微笑みを浮かべてそれを訊き、茶目っ気のある言葉で相槌を打った。そのせいかトラリスは彼と話すのが嫌だとは思わなかった。それで三ヵ月後までラセウス氏の訪問が続いた時には正直ほっとした。次々と療養士が変わることに、母親が心を痛めているのを知っていたからだ。

 それから毎週水曜日の午後遅く、学校の行事や特別な用が無い限り、トラリスはローレウォール家の客間で彼の『診察』を受けている。

「さっそくだが、今週の調子はどうかな」

 そう言いながらラセウス氏は座り直し、膝の上で短くて太い指を組んだ。

「特に変わったことはなにも。先週と同じです」

 トラリスが答えた時、部屋の戸を叩く音がし、続いて使用人たちが入ってきた。彼らはテーブルの上に素早くお茶の支度を整えて出て行った。トラリスは目の前のカップに腕を伸ばす。香ばしいお茶の香りが立ちのぼる。透明な赤茶色の飲み物は、島には無くアトレイにはあるものの中で、彼が好きになった数少ないもののひとつだ。

「学校はどうかな。授業の進み具合は?」

 療養士の言葉に、トラリスはお茶を啜りながら束の間考える。

「こないだ、授業で生体学の講義があって」

 カップを皿に戻しながら、彼は口を開いた。

「人体構造について教わりました。皮膚の下に血管があって、骨についた筋肉が身体の形をつくってる。その骨の下に内臓があって、中でも心臓が」

 トラリスはそう言うと、左手を自分の胸に当てた。

喞筒ポンプの働きをして、全身に血液を送ってるって。初等部で習う基礎の基礎らしいけど、ちゃんと先生からそれを聞いたのは初めてで、ちょっとだけ驚きました」

 ラセウス氏が真顔になった。彼はそれに気づいたが、構わずに続ける。

「おれの心臓は俺のものでしょう。心臓がなくて、生きていけるはずない」

 そう言ってトラリスは手を下ろすと肩を竦めた。ラセウス氏は目を細めて少年を見る。

「タセット」と、彼は言った。

「心臓のことを考えると、辛いかい?」

「さあ、わかりません」

 トラリスは弱く頭を振って、胸を押さえた。

「俺の心臓はずっとここにあったから」

「どう考えるのが、君にとっていちばんいいだろうか」

 療養士の言葉にトラリスは小さく笑った。ラセウス氏と打ち解けて話せるようになったこの一年の間に、それは何度か聞いた問いかけだった。でも正しく答えられたことは一度も無い。

「先生は今でも」

 と、答えの替わりにトラリスは、ラセウス氏の顔を見て訊ねた。

「俺の口から聞きたいですか? 攫われていた間のこと、どんな答えなら納得してくれますか? 満足な食事を与えられなかったとか、殴られ続けたとか、水に顔を押し付けられたとか、窒息寸前まで首を絞められるとか、それとも火かな。燃えさしや焼けた石を肌に押し付けられるって方法もありますね」

 トラリスはわざと冗談めかしてそう言ったけれど、彼は穏やかな表情を崩さなかった。

「そうでなくてもたとえば、ひどい言葉を浴びせかけたり」

「ああ、それなら」と、トラリスは頷いて続ける。

「俺は学校でその手の言葉を覚えました。人を侮辱する言葉がこんなにあるなんて、知らなかった。それに、俺の知らない言葉がまだあるみたいです」

 三年も学んできたのに、とトラリスは感嘆したように言った。

「私はきみに、嘘を吐けと言っているんじゃないよ」

 そう言って、ラセウス氏は少しだけ悲しそうな顔をした。

「ただタセットに、苦しかったことや辛かったことを思い出してもらって、それを乗り越える方法を、一緒に探していきたいだけなんだ」

「学校に馴染めないのも、アトレイの生活を楽しいと思えないのも、俺が攫われていたせいですか?」

「そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない。それを知るために、話し合わなくては。学校は辛いかね。クラスメイトたちが君を苛めたりするのか」

「おれを苛められる奴なんて、いませんよ」

 トラリスは苦笑しながら首を振る。

「体術も剣術も、成績は俺がいちばんですよ。指導員だって、どうしてあんな身体の動かし方で手本が勤まるのかわからない」

「タセット、教師は軍人ではないよ」

 ラセウス氏は少し困ったように言った。

 学校に通いだしてからの三年で、トラリスの身体は成長していた。身長が伸び、腕や足が伸び、クラスメイトたちより少し早く、体つきが大人っぽくなっていた。

「もうすぐ卒業だろう。進路について考えていることは?」

「両親は王学院の法律科に進むことを望んでます。俺としてはそれでもいいかな、と」

「他になにか希望はないのかね。やってみたいことや、興味があること」

「希望?」

 トラリスは首を傾げ、そして考える。目の前で療養士が頷いた。

「わからない」

 彼は首を横に振った。

「タセット」

 と、ラセウス氏は彼を見て言った。

「進学しても、私と会うのを続けたいかな。それとも、君にとっては負担になるかな」

 トラリスは彼の顔を見た。人の好さそうな顔は穏やかで、他にはなにも読み取れなかった。彼は目を伏せる。

「先生にとっては、迷惑ですか? 思ったように治療が進まないから」

「そうじゃないよ。私のことはいい。仕事で来ているんだから」

 いや、と彼は自分の言葉を打ち消す。

「仕事だから、嫌々だとは思わないでくれよ」

「わかってます」と、トラリスは頷いた。

「先生には感謝してます。たくさんのことを教えてもらったし、先生がいなかったら、こんな風に、誰かに話せることもなかったでしょうから」

 その言葉は嘘ではなかった。

 療養士と言う言葉も知らなかったトラリスは、二年以上も前にその肩書きを持つ最初のひとりに会った時、彼らがなぜ自分と会うのに『診察』と言う言葉を口にするのか、まるでわからなかった。そんな息子に向かって母親のサラセタは、

「彼らは身体の怪我じゃなくて、心の傷を治すお医者さまなのよ」

 と、優しく説明した。

 それを聞いてもトラリスは納得できなかった。身体だったら傷があることが一目でわかるが、心に傷を負うというのが上手く想像できなかった。なにより自分に治してもらう傷があると感じたことがなかったからだ。

 納得しないまま、しかしそれでもそれでも母親のためだと思いトラリスは一人目の療養士と面会した。彼自身は反抗的な態度を取ったつもりもないし、彼らを嫌悪したことも、一人を除いては――二番目にやってきた細身の若い男性療養士の、猫撫で声の話し方にはぞっとした。二回を何とか我慢して、三回目にはトラリスの方から逃げ出した――けれどそれ以外は心当たりはなかった。その一方で、確かにトラリスが積極的に彼らに協力して、治療してもらおうと言う気持ちがなかったのも事実だ。彼自身にもどこにあるかもわからない心の傷とやらを、見知らぬ大人が治せるとは思えなかった。療養士が何人か入れ替わったのはそのせいかも知れないと、考えたこともなくはないが、トラリスにはどうでも良かった。

 そんな彼の思いを知るはずもなく、やがてラセウス氏が現れ訪問が続くと、彼にとっても意外な変化だったが、療養士の彼と話をするのが楽しいと感じることもあった。

 島での暮らししか知らないトラリスが、この都会での生活で抱く様々な疑問や問題について、ラセウス氏は彼の知る限り丁寧に説明してくれた。それから自分の意見を述べ、トラリスの考えを辛抱強く聞いてくれた。

 それはこの生活が当たり前で、他のやり方は全て異例だと思っているような両親や教師にはない態度だった。

 家族のいる家での過ごし方と他人が集う学校での過ごし方の違い、椅子とテーブルでの食事のマナーや着替えの作法、風呂の入り方や寝具の整え方、それにアトレイの歴史の行政の仕組み、季節ごとの行事にはどんなものがあるのかなど、面会時間の一時間は大抵そんな、トラリスのささやかな疑問に彼が答える会話で終わった。トラリスはアトレイで一般的とされる考え方のほとんどを、このラセウス氏から学んだ。その関係が一年と二ヶ月。彼に対してならトラリスは、多少の軽口を叩けるようにさえなっていた。

 でも、一度たりとも彼のことに気を許したことはない。それができそうだと思ったこともあった。でもそうしなかったのは、彼と面会するようになって半年程経った頃の出来事のせいだ。

 水曜午後の面会を終えたトラリスは、普段なら自分の部屋に引っ込むのだが、その日は違った。学校のことで母親に言わなければいけないことがあり、サラセタの部屋を訪ねたのだ。彼女の姿はなく、部屋付きの侍女が彼女は一階の客間でラセウス氏と話していると教えてくれた。トラリスはそれを聞いて、階下へ降りると廊下を進むのではなく庭へ出た。天気が良かったので庭に出られる窓が開いているだろう、窓越しになら母親を探しやすいし、外を歩いた方が自分の気分も良い。そう考えてトラリスは屋敷の壁に沿って歩いていた。目指す部屋へ近づくと間もなく、人の話し声が聞こえた。高い声は女性のもので、更に近づくと母親の声だとわかった。もうひとりはラセウス氏の声だ。庭に面した窓が広く開けられている。そのせいで会話は筒抜けだったが、かといって辺りにはトラリス以外誰もいない。

「時間をかけることです、奥様。焦ってはいけません」

 そう言った療養士の声が聞こえてきてトラリスは足を止めた。その調子が暗く沈んでいる気がしたからだ。先刻までトラリスと話していた時の、冗談交じりの楽しげな口調とはまるで違った。ラセウス氏の口ぶりは彼の知らないものだった。

「やっぱり回復してないということですか」

 訊ねたのは母親の声だった。その調子もまた暗く、沈んでいるように聞こえた。

「今はまだ、なんとも言えません」

 ラセウス氏の声が答える。

「私はあの子に普通の生活をさせてやりたいんです。あんな過去のことなんか忘れて、普通に幸せになってもらいたいんです。そのためならなんでもします。私も、主人も」

「奥様…」

 溜め息交じりのラセウス氏の声が、冷静な調子で続けた。

「前にもお話しましたが、あまりに強烈な辛い出来事があると、我々はそれをなかったことにしてしまうのです。頭の中でそういう作用が起こるのです。それはタセットだけでなく、私たちもそうです。けれど押さえ込まれた辛い記憶は、必ず違うかたちでどこかに現れて本人を苦しめます。理由も無く他人にひどく攻撃的になったり、或いは変に自虐的になったりするのです。タセットが今、なにかに苦しんでいる様子は?」

「あの子はいい子です」

「ええ、もちろんです。私も専門家として半年彼を見てきました。最もまだ全然足りないとは思いますが…」

「あの子はずっと辛そうです。アトレイに戻ってから、二年経ったというのに」

「まだたった二年ですよ、奥様。あなたとご主人が息子さんを失っていた八年間がどんなに長かったかを思い起こしてみてください。タセットにも、まだまだ時間がかかります」

「お願いです、先生。どうかタセットを助けてやって」

「できる限りのことはします。必ずすると、約束します」

 二人の会話はそこで途切れた。医師が帰り支度をする気配がしたからだ。トラリスはそっとそこを離れた。部屋に戻る気にもなれず、彼は庭をひとりでぶらつく。けれど周りの景色は少しも目に入ってこなかった。

 彼らの会話でトラリスはひとつのことに気がついた。ラッセル氏もまた、今まで四人の療養士たちが自分にさせようとして失敗したことをしようとしているのだ。

 心のどこかで薄々感じていたが、トラリスがはっきりとそれを自覚したことはそれまでなかったし、その時気づいたことを言葉にして説明できるようになったのは、それよりもっとずっと後のことだ。

 けれど当時十三歳になっていたトラリスは彼なりに、理解した。

 この屋敷にやってくる療養士の肩書きを持つ者たちはつまり、トラリスがギルエンに攫われていた間、その間に彼がギルエンから負わされた苦痛を、彼自身の口から語らせたいのだと言うことを。

 そのくせ入れ替わる療養士たちは誰もが皆、ギルエンの名を口にしなかった。トラリスの暮らす屋敷の他の者と同じように、注意深くその名を避けた。そのせいでトラリスはかなり長い間、彼らが何を言いたいのかわからずに混乱した。幼い彼はそういう回りくどい会話に慣れていなかった。けれど彼らの態度のどこかで、口にしている言葉と本当に自分にさせたいことは違うのではないかと感じていた。普段の生活はどうかと質問するくせに、暗に島での暮らしを語るよう、だがギルエンのことは注意深く口にしないよう仄めかすのだ。

 トラリスは庭の小径の途中にあるベンチに腰掛けると、目を伏せた。夕暮れの西日が、彼を照らす。アトレイの太陽は、あの小さな島の太陽とはまるで違っていた。もっとずっと控えめでよそよそしい。そう思いながらトラリスは記憶をたどる。彼らが考えるひどいこととはなんだろう、とギルエンとの暮らしを思い出す。

 刃先の鋭いナイフを乱暴に扱った時、火の始末をなおざりにした時、真水をいたずら半分でぶちまけた時、あの小さな島で共に暮らす生き物を理由もなく嚇した時。叱られたことは数え切れないほどあった。けれどそのどれひとつとして、辛い記憶と結びついているものはなかった。特にナイフの扱いをきちんと覚えた頃、ギルエンはトラリスに彼専用の美しい短刀をくれた。装飾のない、鞘も柄も白く、美しく輝く短刀。それはトラリスの手にはまだ余る大人用の本物の短刀で、彼の宝物になった。あの大切にしていた短刀も、あの嵐の晩、島に置き去りにしたままだ。

 それを思い出すとトラリスの胸は締め付けられるように痛んだ。そして彼は気づく。ギルエンに怒られたどの時より、あの島での生活を、思い出すことしかできない今の方が辛かった。

 母親と療養士の会話を立ち聞きしたことは、誰にも言わなかった。しかしその日を境にトラリスは以前よりも慎重に、注意深くラセウス氏と会話するようになった。けれどラセウス氏は確かに、彼自身が言ったように結論を急いだり、求める答えを急かしたりしなかった。それで彼との面会は今でも続いている。

「先生には」

 と、トラリスは意識を目の前の療養士に引き戻して訊ねた。

「まだおれが、苦しんでるように見えますか」

「そうだな」

 彼は少しだけトラリスの方へ身を乗り出す。その目つきは優しい。

「タセット、きみの父上は立派な方で、母上は愛情深い方だ。きみは自分を大切にしてくれる家族に囲まれてる。もっとアトレイでの生活を、きみの本来の居場所を楽しめるようになってもらいたいんだ。私は、ささやかだが協力できればと思ってる」

「そうですね…」

 トラリスは曖昧に頷く。

 そして島での生活を思い浮かべた。凪いだ海に囲まれ、頭上には白い太陽の輝く、あの緑と土の匂いの風が吹く島を。療養士も、両親も、アトレイで自分をタセットと呼ぶ人々は誰も知らない、あの島のことを。

「先生は今でも」

 と、トラリスは続けた。

「ギルエンが、おれを殺すために攫ったと思ってますか」

 ラセウス氏の顔色が変わり、表情が強張る。トラリスは静かにその変化を見つめていた。心の中で、やっぱりだ、と思いながら。

「タセット」

 と、彼は落ち着かな気に組んだ指を動かす。

「今のは禁忌とされる言葉だ。滅多に口にするものじゃない」

「ごめんなさい」

 彼の様子に、トラリスはすぐに頭を下げる。ラセウス氏を困らせたいわけじゃなかった。でも、彼の考えが少しも変わっていないことは十分にわかった。

「先生がそう言ってくれるなら」

 と、トラリスは少し笑って話を変えた。

「おれも、自分の希望がなんなのか、少し考えてみます。すぐには答えが見つからないかもしれないけど、来週また」

 彼はそこで言葉を区切るとラセウス氏の顔を覗きこむ。

「話を聞いてもらえますか」

「もちろんだ」

 療養士は力強く、自分の患者に向かって頷いた。

 そこで時間になった。ラセウス氏は遅刻したために時間の延長を申し出たが、トラリスは彼の仕事の忙しさにかこつけてそれを断った。彼のことは嫌いではないが、訪問時間は短ければ短いほど良かった。彼と母親の会話を聞いてから。

 ラセウス氏が帰ると、トラリスは部屋には戻らず、誰もいない客間の長椅子にだらしなく寝そべった。足を投げ出し、目を閉じる。そして先ほどの白昼夢の続きを頭の中に思い浮かべた。左手を自分の胸に当てながら。

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