第88話 真実4
「さて、2つ目の謎。それは、なぜ皆さんが、このゲームに招待されたのか?」
そうだ……。それも、みんなが知りたくて仕方なかったことだ。
「みなさんが、このゲーム参加者に選ばれた理由。それは……殺された早川瑞穂が、犯人を指し示す証拠を残していたからです」
「……!!証拠……!?」
「あの事件の……!?」
みんなが驚きの声をあげる。
「早川瑞穂が残した証拠……それは、彼女が最後まで手に握りしめていた……榊原高校の制服のボタンです」
「…………えっ!?榊原高校のって、じゃあ……」
「あの事件の犯人は……榊原高校の生徒って、こと!?」
その場がざわめきに包まれた。
「そうです。おそらく、犯人と争った時に、彼女が犯人の服から引きちぎった物。あまりにもショッキングな事実かつ、情報が錯綜する恐れがあったため、公式のニュースでは伏せられていました。だが、私は警察関係者から、密かにその情報をつかみました。そして、さらに判明した事実。それは……」
目深いローブの向こう側から、私達を見回すかのように、執行人が告げる。
「早川瑞穂が殺害された、あの日時、はっきりとしたアリバイが取れなかった生徒が7人いること。その7人が……このゲームに呼ばれた、あなた達です」
「……!!」
衝撃的な真実に、みんなが目を見開いた。
少しの間、誰もが言葉を失っていたが、その沈黙を破ったのは、九条さん。
「……ちょっと待ちなさいよ。おかしいわよ。人数が合っていないじゃない?呼ばれたのは、この場にいない、黒崎と早川を合わせて8人でしょう?」
「……確かに、そうっすよね。てか、黒崎先輩と早川先輩は、どうなったんすか?」
田辺君の疑問に、執行人が静かに答えた。
「なぜ私が7人と言ったのか、二人がどうなったのかの顛末も。私の話を最後まで聞いて頂ければ分かりますよ」
顛末……。その言葉が、妙に引っ掛かる。
「犯人を許すことが出来ない私は、絶望し……、嘆き狂い……、そして、ある計画を練り上げた。それは、このアナザーワールドのアトラクションを使って、犯人を誘きだし、その罪を暴くという計画を」
「……っ」
それが……この不可解なダウトゲームが行われた真相なんだ!
「このアトラクションは、元々、社長である父から、プロジェクトの一部を任されていたため、私がこの施設に立ち入って、ゲームの準備を進めることは造作もないことでした」
「……おい。ちょっと待ってくれ。このアトラクションのプロジェクトを任されていたってことは……」
矢部君の呟きに続き、田辺君が叫ぶように言った。
「やっぱり、お前、3チャンで噂されてた、このテーマパークを作った会社の社長の子供だろ?I Q がめちゃくちゃ高い!」
「……3チャンというものを私は見ませんし、IQ に関しては想像にお任せしますが、私のことを指しているとみて間違いないでしょう」
執行人が冷静に答える。
「最初は、このアトラクションのメインプロジェクトは、社内の他の人間が任されていました。しかし、彼が体調を崩し、プロジェクト続行が困難になりました。そこで、当時アメリカに留学していた私は、急遽日本に呼び戻され、彼に替わり、このアトラクションのプロジェクトリーダーに就任しました」
「……3チャンに書かれてた真相は、そういうことだったのかぁ」
納得がいったという風に、田辺君は何度も頷いた。
それにしても、高校生で、こんな大がかりなテーマパークのプロジェクトを任されるなんて、桁外れの天才だ……。
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