第44話 ヘンゼルとグレーテル

森のすぐ近くに、木こり夫婦と二人の子供達が住んでいました。男の子はヘンゼル、女の子はグレーテルという名前でした。その土地に大飢饉が見舞ったとき、毎日食べるパンさえ得られませんでした。


木こりが夜ベッドに寝ていると、妻が言いました。


「明日の朝早く子供達を森へ連れていくの。それから私達は仕事に行って子供達をおいておくの。あの子たちは家へ帰る道がわからないだろうから、戻ってこれないわ」


「子供達を森においてくるなんて出来ない。獣がすぐ来て子供達を引き裂いてしまうよ」


「それじゃあ、私達4人とも飢えて死んでしまうよ」


妻はしつこく言い続け、木こりはとうとう承知してしまいました。


二人の子供達は、継母が父親に言ったことを聞いてしまいます。悲しそうに泣くグレーテルにヘンゼルは、


「心配しないで。なんとかする方法を見つけるよ」


と言いました。ヘンゼルは起きあがると、こっそり外へでました。


そして、小石を拾い、出来るだけたくさん上着のポケットに詰めました。


夜が明け太陽が昇ってしまう前に、継母がやって来ました。


「起きるんだよ。たきぎを集めにみんなで森へ行くんだから」


と言って二人の子供達をおこしました。それぞれに小さなパンを渡し、「夕食前に食べてしまうんじゃないよ」と言いました。ヘンゼルはポケットに小石を入れ、グレーテルがエプロンにパンを入れました。


それから、みんなで森へ行く道を出発しました。


ヘンゼルは、道に小石を一つ一つ捨てていきます。森の真ん中へ着くと、父親の言う通り、ヘンゼルとグレーテルは一緒に柴を集め薪に火をつけました。継母は


「さあ、子供たち、休みなさい。私達は後で戻ってくるからね」


と言い、夫婦は行ってしまいました。


二人は、いつの間にかぐっすり眠りました。


目が覚めると、もう暗い夜です。泣き出すグレーテルでしたが、ヘンゼルの撒いていた小石を道しるべに、二人は家に帰りました。


そして、二度目の飢饉が起き、夫婦はまたヘンゼルとグレーテルを山の奥に置き去りにしました。小石を集められなかったので、今度はヘンゼルのパンを落としていきました。


しかし、パン屑をたどって家に帰ろうとしましたが、パン屑は小鳥達が食べてしまいました。


ヘンゼルとグレーテルは家に帰ることが出来ず、三日間森をさ迷いました。


そのうちに、二人は小さな家に着きました。

近づいて見てみると、その家はパンやケーキ、白砂糖でできていました。お腹が空いていたヘンゼルとグレーテルは、そのお菓子の家を食べ始めます。


すると突然扉が開いて、おばあさんが現れ、二人を優しく家の中へと招き、ご馳走や暖かいベッドを用意してくれました。


しかし、おばあさんの正体は魔女で、子供を殺し、煮て食べていたのです。


次の日、魔女はヘンゼルを家畜小屋に運び、鉄格子の戸の後ろにとじこめました。


それからグレーテルを起こすと「お前の兄にうまいものを作れ。そして、太ったら食べるんだ」と叫びました。


グレーテルは激しく泣きましたが、仕方なくヘンゼルにごちそうを作りました。


そして、4週間が過ぎ、魔女はグレーテルに、こう言いました。


「グレーテル、水を汲んでこい。明日はヘンゼルを殺して煮るんだから」


朝早くグレーテルは水を汲み、火を炊きました。


「中が丁度いい熱さになってるか見てごらん」と魔女は言いました。


グレーテルが中に入ったら、焼き釜を閉め、その中で焼いて、食べようとしたのです。


しかし、グレーテルが「どうやって入るの?」と聞いたため、魔女は「こうするんだよ」と頭を釜の中に入れました。


そこでグレーテルは……。

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