第38話 1回戦Dグループ終了

「その日、二人は別れた。それから、お母さんは男性不信で、誰とも付き合ってない……」


私の長い告白が終わった時、モニター画面の時間表示は「1:15」になっていた。思わず喋ってしまった告白だったけど……どこか少しだけ心が軽くなったような気がする。


あれから、ずっと後悔してた……。


最初はこれでいいんだって思ってたけど。


時間が経つに連れて、それがどんなに、お母さんにとって残酷なことだったのか。


してはいけないことだったのか。


それが分かっていたからだ。


ゲームと関係なく、聞いて欲しかった……。


心の奥に抱えてきたやみを。


急に身体中から力が抜けて、一瞬よろめくような感覚に襲われながら、目の前にいる田部君に視線を向ける。私のダウトを聞いていたのかいないのか、彼は相変わらず床に腰をつけたままうつ向いていた。そんな彼とは無関係に、タイマーは一刻一刻、ゼロに向かって削り取られていく。


タイマーが「00:30」になった時。


「……知ってるぞ」


小さく低い呟きが、田部君の唇から漏れた。


(……何かダウトするの?)


瞬間心がざわつく私の目の前で、田部君がゆっくりと立ち上がる。その視線は私へではなく、一番上のモニターに映るローブの執行人へと向けられていた。


「お前は、このアナザーワールドの会社の人間なんだろ……?アメリカから日本に帰って来たっていう……社長の子供だろ!?」


「……」


田部君の言葉に、執行人は黙ったままだ。


「お前は、噂通りの狂人だ!!こんな殺戮ゲームやらせるなんて、普通じゃねー!!」


田部君の叫び声が響き渡る間にも、タイマーは時間を削っていき。


「こんなことして、タダですむワケ……!!」


「ダウト終了」


憤る田部君の声を遮るように、冷たい声が響いた。


タイマーが「00:00」で止まる。


そして、モニターにゲームの結果が表示された。



『Winner 笹原美羽


 Loser  田部進也』



「敗者には罰を」


「くそっ……!」


田部君の足元の床が開き、モニターに映るローブの執行人を睨み付けたまま、彼は暗闇の底に落ちていく……。


すると、今までのゲーム同様、私と田部君の映っていたモニター画面が真っ黒になった。もう今は、同じゲームをしていた私にも、彼がどうなったのか分からない。


「では、ラプンツェルのおさらいをしましょうか」


まるで学校の授業のように淡々とした執行人の言葉が続く。

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