第27話 1回戦Cグループ敗者

「噂によると、ソイツはアメリカの学校辞めて、日本の高校に今通ってるってなってたんすよね。もしかして、アイツ……オレらと同じ榊原高校の生徒なんじゃ?」


「えぇ!?」


同じ高校の生徒……!?


改めて、一番上のモニター画面に映るローブの人物を見上げる。全身を紫のローブに包んでいるため、年齢も性別さえも分からない。声は中性的で、さっきローブをまくって見せた腕は、どちらかと言えば細身で白かったけど……。


そんなことを思っている時だった。


「宮野……悪い!」


陸斗の声に、再び左から三番目のモニターに視線を向ける。


「ダウト!」


陸斗がそう叫んだ時、画面に表示されているタイマーは『01:30』だった。


「小学校の頃、近所のショッピングモールで万引きしてた時期がある……。そん時つるんでた友達ダチに『根性試し』とか言われて……。もうずっとガキの頃の話だけど……止めときゃよかったって、いまだに後悔してるよ。取ってきたものは、何となく後味悪くて、全部捨てたけど」


そうだったんだ……。小学校の頃の陸斗、かなりヤンチャな感じだったけど……そんなことしてたのは意外だ。


「宮野、お前も何でもいいからダウトしろよ!もう残り時間ないぞ!?お互い出し合えば、どっちか一人は助かるんだから……!!」


陸斗は自分がダウトした後も、必死に宮野さんを説得している。


でも、宮野さんは……。


「ううっ……無理ぃ……由奈無理ぃ……!」


ただ泣きじゃくるだけ。


「お前死んでもいいのかよ!?」


「嫌ぁ……!無理ぃ……っ!由奈うちに帰るぅ……!」


顔をグシャグシャにして、宮野さんは余計に激しく泣き出してしまった。二人の映るモニター画面のタイマーはどんどん時間がすり減って……。とうとう「0:00」の表示で止まってしまう。


「ダウト終了」


一番上のモニターから、冷たい声が響き渡った。


「では勝敗を決めましょう」


その後画面一杯にゲーム結果が表示される。



『Winner 村上 陸斗


 Loser  宮野 由奈』



「クソッ……!」


陸斗が顔を歪めた。


「では敗者の宮野 由奈には、罰を受けてもらいましょうか」


無感情の声の後、宮野さんのいる床が開く。


「嫌ぁぁぁぁ……っ!!」


彼女の体は闇の中へと落ちていった。


そこでモニターが一度暗くなる。


「……っ」


次に彼女の身に起きる惨劇に、思わず顔を両手で覆った。


彼女とはそこまで仲良くしてたわけじゃない。女子の中には「キャラ作ってる」って嫌う子もいたけど、私は嫌いじゃなかった。素直になれない私と違って、感情を隠さないでそのままを表現できる彼女が、むしろ羨ましかった。


しばらくすると、陸斗と宮野さんの映っていた画面が再び明るくなる。その画面に映し出されたのは……瑞貴の時と同じ、玉座のような椅子に座らされ後ろ手に縛られた宮野さんだった。彼女は気絶しているのか、その瞳は閉じられている。

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