第26話 主催者の正体

「ダウト・スタート」


無慈悲な声が、新しい惨劇の幕を切る。


「うっうっうっ……」


モニターの向こうに見える宮野さんは、相変わらずしゃがみこんだまま泣きじゃくっていた。その向かい側には、戸惑うような表情の陸斗が立っている。


でも、その間にもモニター右上のタイマーは0に向かって確実に進んでいた。3分経った時、それまで黙っていた陸斗が口を開く。


「なあ、宮野」


「ううっ……ううっ……」


「何でもいいから……お互いダウトしねぇ?」


陸斗が言った。


「最初のルール聞いてただろ?とにかく何か言わないと……少なくとも勝てないんだよ。だから……」


「ぐすっ……ううっ……」


「……」


陸斗の言葉を聞いているのかいないのか、宮野さんは変わらず泣いてるだけだ。


(宮野さんは、もう何も言えなさそう……)


このゲーム、陸斗が何かを言いさえすれば無条件に勝つんじゃないかな……。


それから陸斗は黙りこんでしまい、ただ時間だけが過ぎていく。陸斗は優しいから、宮野さんの様子に自分だけダウトするのを躊躇っているのか、純粋にダウトするような嘘や秘密が思い浮かばないのか……。


同じフロアに視線を戻すと、向かい側には矢部君のことで、まだ精神的に立ち直れない様子の田部君がいた。


次は、私と田部君が……。


陸斗達がどうなってしまうのかもすごく気になるけど、自分自身のことも考えると今すぐ逃げ出したい恐怖が頭を埋め尽くす。


でも、逃げれば電流が走って……。逃げ場がどこにもない……。


今さら悔やんでも仕方ないのに、あんな招待メールを信じた自分自身が心底嫌になる。お母さんの勘が正しかったんだ……。


陸斗達のモニター画面のタイマーが残り5分になった頃。黙っていた田部君が口を開く。


「笹原先輩」


「……っ」


不意に話しかけられて、両肩がびくりと波打った。次に、残酷な罰をかけて対戦する相手だと思うと、田部君との会話も躊躇ってしまう。


「な、何……?」


小さく聞き返すと、田部君が衝撃的なことを言った。


「あの一番上のモニターに映った紫のローブみたいのを着たヤツ……。あれって3チャンで書かれてた、このテーマパーク作った会社社長の子供なんじゃないすかね……?」


えっ……!?


ここのフェアリーテイルのアトラクションに来る途中に話してた、ネットで噂になってた人物のこと!?


「赤の他人が、こんなテーマパーク自由に使えるわけないし……やってること、どう考えても頭イカれてるとしか思えない。あの噂のヤツが、あのローブ野郎だとすると……全部辻褄が合うんすよ!」


「そ、そんな……っ!?もし、あの人間がそうだとして、何で私達をこんな目に合わすのよ!?こんな……榊原高校の生徒ばっかり狙って……!!」


理不尽なゲームに対する怒りをぶつけるように、彼に向かって叫んだ。


すると、さらに衝撃的なことを田部君が言う。

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