第18話 止まらないルーレット

一週間瑞貴は休んで、久しぶりに会った時には、元々細かった瑞貴の体は、一層細くなっていた。


家族が死ぬ……しかも殺されて。そんな経験ないから、瑞貴にどう接していいか分からなかった。


それから、瑞穂ちゃんが殺された後も、立て続けに二人の女子生徒が殺されて、それまでたいした事件もなかったこの町は震撼した。メディアでも連日取り上げられて、おかしな意味で有名になってしまい、私達は戸惑った。


女子中高生連続殺人事件として捜査本部が設置されたけど、いまだに未解決で犯人は捕まっていない。


そして、五ヶ月経った今、こんな訳の分からないゲームに巻き込まれ、瑞貴まであんな目に合うなんて……。


一体、瑞貴が……私達が何をしたって言うのよ……?


「笹原先輩」


しばらく黙っていた向かい側に立つ田部君が言う。


「さっきの画面に映ってたのって……アレ……足っすかね?」


「……」


あえて私が触れるのを避けていた言葉を彼が形にした。


「早川先輩……無事なんすかね?まさか死ん……」


「大丈夫だよ!!」


その先を言わせたくなくて、私は自分でも驚くくらい大声を出す。


「大丈夫……!!瑞貴は、絶対無事だから……!!」


「……」


私の必死の言葉に、田部君はそれ以上何も言わなくなった。


本当のところは……分からない。確かに足を切られた、それだけなら、もしかしたら無事なのかもしれない。


でも、あんな人を傷つけることを何とも思ってない人間が、傷を手当てするだろうか?手当てしなければ、どんどん出血して死んでしまうかもしれない。


瑞貴が映っていたモニターは、今はまた真っ暗になり、瑞貴も黒崎君もどうなっているのか全く分からなかった……。


「素晴らしい。美しいフェアリーテイルの一つが完成しましたね」


突然一番上のモニターから、拍手と声が響いてくる。


「本当の原作を忠実に再現することが出来ました」


「……ザケんなよ!!」


左から三番目のモニターから、陸斗の声が上がった。


「瑞貴は……瑞貴はどうなったんだよ!?」


こんなに怒ってる陸斗を見るのは初めてだ。


「他人の心配をしている場合ではありませんよ?貴方も、このダウトゲームに勝たないと、彼女と同じ運命をたどるのです」


「……っ」


悔しそうに唇を噛む陸斗の顔が映る。


「もっとも、私は誰が勝って誰が負けようとも、この美しいフェアリーテイルが見られるので構いませんが」


ローブの人物が淡々と言い放った。


その時。


「無理ぃ……由奈……無理ぃぃ……!!」


モニターの向こうから、宮野 由奈の震える声が聞こえてくる。

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