第17話 過去の事件

あれは今から五ヶ月前。


高校一年の春休み最終日だった。夜、食卓で晩御飯を食べながらテレビを見ていると、思わぬニュースが目に飛び込んできた。


「え……榊原中の!?」


それは市内の榊原中学校の女子生徒が、市内を流れる川の側で遺体で見つかったというものだった。榊原中は、私や陸斗も通っていた中学校。今だって後輩が通っている。


私は食べかけのご飯を中断すると、榊原中に行っている知り合いの女子に、片っ端からラインを送った。誰か知り合いの女の子が被害者じゃないか不安だったからだ。


でも、みんな少しずつ返信が返ってきて無事なことが分かり、ホッとする。きっと、私の知ってる子じゃないんだ。


そう安心した後、ふと瑞貴の妹の瑞穂ちゃんも榊原中に通っていたことに気づく。


ラインで、瑞貴に榊原中の事件について聞いてみた。忙しいのかラインの返事は、なかなか返ってこない。


でも、それまで聞いた子達が全員無事だったから、そこまで気に止めず、私は食べかけのご飯を食べると、お風呂に入って寝てしまった。


次の朝、目が覚めて枕元のスマホを確認したけど、瑞貴からの返事はまだない。忙しいのかな、なんて思って、私は約二週間ぶりの学生服に袖を通すと、1階に降りていった。


自転車を走らせて高校に着くと、校舎二階の教室に向かう。教室に入ると、新しいクラスの生徒達はざわついていた。


話題はやっぱり榊原中の女子生徒殺害事件のことだった。


「ねぇ、あれって誰なんだろ?殺されちゃったの」


「名前出てなかったよね?」


「年齢からして三年じゃない?」


「三年ってことは……この4月に、うちの高校に入学するはずだったかもしれないってこと?」


私は同じクラスになった瑞貴を探したけど、教室に見当たらない。ずっと待っていたけど、瑞貴は現れず、新学期初日、彼女は欠席だった。


『瑞貴、大丈夫?病気?』


その後も何度かラインを送ったけど、一向に返信が来ない。


次の日も瑞貴は休んだ。


さすがにおかしい……。


陸斗も心配していて、学校が終わった後、スマホで瑞貴に電話をかけてみた。なかなか繋がらなかったけど、何度目かの電話でやっと繋がる。


「もしもし瑞貴?体調悪いの?」


「……」


呼び掛けたのに、スマホの向こうは無言だった。


「ねぇ、瑞貴どうした……」


「あれ、瑞穂なの」


「……え?」


突然切り出された言葉に、思わず聞き返す。


すると、瑞貴はゆっくりと言い直した。



「榊原中の殺された女子生徒は……瑞穂なの……」


「そ……」


そんな……!?あれは瑞穂ちゃんだったの……!?

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