第15話 罰
「王子は、その靴をもとにシンデレラを探し、彼女の家にたどり着く。靴を履ける者を自分の妃にすると言って。すると、二人の姉と継母は、ある恐ろしいことを考えついた」
違う……。昔絵本で読んだシンデレラと全然違う。これが、本当のシンデレラなの……?
「従者が差し出した金の靴はとても小さく、継母の娘達の足には入らない。だから、二人の娘はこうすることに決めた」
ローブの人物の口元が不気味に歪む。
「靴が履けるように、足を切り落とせばいいのだと」
「な……っ!」
「えっ……!?」
モニターの向こうで、みんながそれぞれ息を飲むのが分かった。首筋に嫌な汗が伝い落ちる。ここまでの経緯、あの人物の話の流れ……。ものすごく嫌な予感がするのはなぜだろうか……?
その時だった。
「ん……」
瑞貴の瞳がゆっくりと開く。
「えっ?」
そして周りを見回し、自分が椅子に縛り付けられていることに気づきハッとしたようだった。
「お目覚めですか、お姫様?」
ローブの人物が薄ら笑いを浮かべながら、瑞貴に言う。
「ちょっと……!何なのよ、これ……!?」
瑞貴はガタガタと体を揺らしたけど、椅子に縛り付けられているロープは全く解けそうになかった。
「早川瑞貴さん。体を自由にしたければ、足元に置いてある金の靴を履いてください」
ローブの人物は淡々と言う。
「金の靴……?」
瑞貴の呟きと共に、モニター画面に彼女の足元がクローズアップされた。
すると、瑞貴のちょうど右足の側に、金色のヒールが一足置いてあることに気づく。
「な、何でそんなことしなきゃいけないのよ!」
反論する瑞貴に、ローブの人物は落ち着き払った声で返した。
「自由になりたいでしょう?それなら、その金の靴を履く。たったそれだけのことです」
「……っ」
一瞬戸惑うような表情をした瑞貴だったけど、そうするしかないと諦めたのか、渋々右足をその靴に滑り込ませる。
でも、金色のヒールは小さくて、瑞貴の足は入らなかった。瑞貴が足先を引っ込める。
「……サイズが合わないわ」
「おやおや、それは困りましたね」
クスクスとローブの人物は笑う。
「では履けるように、貴女の足を調整しましょう」
「……調整って、一体?」
瑞貴が聞き返した、その瞬間。
瑞貴の右足のすぐ側から、突然ベルトが現れてシュルシュルと巻き付いた。
「ちょっ……何!?」
結束バンドのような黒いベルトが、しっかりと瑞貴の右の足先を固定してしまう。
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