第12話 シンデレラ
心の中に広がる得体の知れない不安感をよそに、謎のローブの人物は言った。
「皆様、ゲームのルールをご理解頂けましたでしょうか?」
その言葉に、モニター越しに九条さんが噛みつくように言う。
「ちょっと、アンタ!何なのよ、ダウトゲームって!?アトラクションと何の関係もないじゃないの……!」
だけど、ローブの人物は何事もないかのようにゲームを進行させた。
「それでは、これより『ダウトゲーム』をスタートいたします」
「スルーかよ!」
モニターの向こうで、陸斗が言った。
「では、始めに1回戦A チームの黒崎 秀一・早川 瑞貴ペアのゲームを開始します」
「え……ちょっと、私は……!」
瑞貴が言いかけた言葉を遮るように、ローブの人物の声が響く。
「ダウト・スタート」
すると、瑞貴達の映っている画面の右上に時間表示が表れた。その表示は「15:00」から始まり、「14:59」「14:58」と少しずつ0に向かっていくタイマーになっている。
制限時間が15分って言ってたから、それに合わせているんだろう。
「そ、そんな……急に秘密や嘘を言えって言われたって……!」
モニターの向こうで戸惑う瑞貴の姿が映し出されていた。対する向かい側に立つ黒崎君は、無言のまま腕を組んでいる。
そうしている間にも、タイマーは刻々と0に向かって切り替わっていく。私と田部君は、そんな瑞貴達をモニターで見つめた。
他の2組のペアも、瑞貴と黒崎君のモニターを見ているのだろう。不意に田部君が言う。
「このゲームはA からD までペア分けしてるから、黒崎先輩達が一番最初で、B、C、D って順に進んでいくんでしょうね」
順番に……。
じゃあ、Dの私達は一番最後ってことか……。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
幼い娘をもつ母親が、死の間際、娘を枕もとに呼んで言いました。
「よくお聞きなさい。いつも神に祈りを捧げるのよ。神様は善良な人間を助けます。善良でなければ、ひどい罰が下されるわ……」
そう言って母親が亡くなった後、彼女の家に父親の妻だと名乗る女が二人の娘を連れてやって来ました。
「私はあなたのお父様の妻よ。この2人はあなたのお姉様。今日からこの家の奥様は私よ」
そう言うと、その継母達は、その娘を使用人としてこき使い始めます。
部屋を与えられない彼女は、いつも暖炉の灰にまみれていたのでシンデレラ(灰かぶり)と呼ばれるようになりました。
ある時、国王が王子の花嫁を選ぶために三夜連続で舞踏会を開くことになります。
シンデレラは舞踏会に出たいと願いますが、継母達に意地悪をされ、行くことが出来ません。
悲しんだシンデレラは、母の墓の側に生えているハシバミの木にお願いをします。
すると、白い小鳥たちがシンデレラに美しいドレスと靴を持ってやってきます。
一日目は、銀の靴を履いて舞踏会へ。
シンデレラの美しさに惹かれた王子は、彼女にダンスを申し込みます。
しかし12時の鐘が鳴ると、逃げるように家へと帰ってしまいました。
二日目は金の靴を履いて、また王子と踊ります。
けれど、一日目と同様、鐘が鳴ると急いで帰りました。
そして最終日。
またもシンデレラは逃げ帰ります。
しかし、王子が階段にヤニを塗っていたため、金色の靴が絡めとられてしまいました。
王子は、その靴をもとにシンデレラを探し、彼女の家にたどり着きます。
そして、その靴を履くことが出来れば、王子の妃になれると企んだ二人の姉と継母は……。
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