第11話 ゲーム開始

「童話の世界を忠実に体感して頂くために、お集まりの皆様には、これから、あるゲームをして頂きます。まずは、このモニターの近くにあります、床に描かれた2つの円の中に、お一人ずつお入りください」


(円……?)


見ると、モニターの設置された壁から少し離れたところの床に、二つの円が描かれている。


でも、ただの円じゃなくて、その内側には六芒星ヘキサグラムも描かれていた。


「あれっすね。行きましょう」


迷いなく進む田部君に戸惑いながらも、私は彼の後に続いて、その円形のところへ行く。

円形の中に入ると、田部君と向き合う形になった。


壁に設置されたモニターを見上げると、みんなも私達同様に、六芒星の円の中へと移動している映像が映っている。


「皆様、準備が整いましたね」


一番上のモニターに映る謎のローブの人物が言った。


すると、私達の入った円と六芒星の線が突然紫色の光に浮かび上がる。


「わ、スゲ……ッ!ゲームみたいだな!」


向かい側の円形に立つ田部君が、はしゃいだように言った。


「では、今から皆様には『ダウトゲーム』を行って頂きます」


そう言った後、紫のローブの人物によって説明されたゲームの内容は、あまりにも不可解なものだった……。


『通常の「ダウト」は相手の嘘を見破るゲームですが、この「ダウト」はより大きな秘密や嘘を暴露した方が勝ちとなります』



◆ルール1◆

各ゲーム1対1で行い、勝者が次のゲームに進むことの出来るトーナメント式


◆ルール2◆

制限時間は1ゲーム15分間


◆ルール3◆

制限時間内に、お互いのダウトを探り合うのは構わない


◆ルール4◆

ダウトする時は『ダウト』と言った後、自分の秘密や嘘を暴露する


◆ルール5◆

一度使ったダウトは、以降のゲームで使えない


◆ルール6◆

敗者には、童話に登場する厳しい罰が与えられる


◆ルール7◆

制限時間内に、両者ともダウトが出ない場合、両者とも敗者とし、厳しい罰が与えられる


何なの、罰って?何か、このゲームおかしいよ……。


異様なゲームの宣告に青ざめる私をよそに、向かい側に立つ田部君は言った。


「何か面白そうっすね!何だろうな、罰って!?」


「た、田部君……面白そうって、本気でそう思ってるの?」


震える声で私が言うと、彼は笑って言う。


「笹原先輩、もしかして怖がってるんすか?大丈夫ですよ!たかが童話のアトラクションでしょ?」


そんな田部君の言葉に、モニターの向こうから、矢部君が言った。


「たいしたことないって。ホラーハウスの入り口に『ここから生きて戻った者はいない』みたいのが書いてんのと同じだろ?盛り上げるために言ってるだけだよ」


そうなんだろうか?だけど、秘密を暴露って、普通じゃないよ……。

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