第11話 告白の受け止め方ってどうするの?

「箕崎君、付き合って……くれないかな?」

「っ……」

 春休み初日から数日が経った週末、突然僕のベッドに座っている円香さんが潤んだ瞳で恥ずかしそうにそんな事を言ってきたのはちょうど昼食を食べ終えたお昼頃。今日はアルバイト体験期間もお休みで、春休みだから学校も無い。故に僕は今長い髪を右手の指に巻きつけ目線をそらしている円香さんと二人っきりで心壮にいる。二人っきりなのだから、確かにそんな告白を受けても問題はどこにもないけど――、

「えっ、ええっと、いきなり、そんな事言われても……」

「だめ……?」

「あ、いや、その……」

「ぐすっ……やっぱり、だめなんだ……」

「えっ、いや、だから、その……」

 いったいどうすればいいのだろうか。なにせ今まで一度も女性から告白なんてされた事の無い人生を送ってきた僕である。

「そ、その、円香さんの気持ちは、とても嬉しいですよ?」

「――それで?」

「えっ、それでって……」

「いいの? だめなの?」

「うっ、いや、それは……」

 返答を求めてくる円香さん。戸惑う僕。

「……そうだよね。やっぱり、だめなんだよね。うん、わかってた……」

「っ、円香さん……」

 俯く円香さんに、僕は何て声をかけていいのかわからない。もちろん円香さんが嫌いなわけではないし、友達や管理人さん以上には絶対見れないなんてこともないけれど、あまりにも急すぎて、少し考える時間がほしいというか――。

「箕崎君は私なんかより、幼い幼女の方が好みなんだよね。年上より年下の純真無垢な女の子を、自分の好みに合うように教育する方が良いんだよね。恋愛アドベンチャーゲームでも、そういうのばっかり買ってくるし……」

「…………………………」

 今ものすごく訂正したい嘘の台詞がいくつも出てきたのだけれど。

「……絶対楽しんでますよね、そんな大嘘ついてまで」

「………………」

「………………」

「……あはは」

「誤魔化さないで下さい」

「ちぇ~っ、箕崎君はノリが悪いな~」

 円香さんはぶすっとした顔で足をぷらぷらと動かす。

「はあ……僕をからかう以外に何かすることは無いんですか?」

「ん~……あるといえばあるけど」

「だったらそれをしていて下さい……」

 円香さんのいつもの行動に呆れながら僕は食べ終えた食器を片付けようと立ち上がる。

「う~ん、じゃあ、そうしよっかな。言っておくけど、さっきの『付き合って』っていうのは、冗談じゃないよ?」

「えっ……」

 驚く僕に円香さんはぱちりとウインク。

「買いたいものがあるから、今日私に付き合って? 箕崎君」

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