第3話 エルフの森

 鋭く突いた剣先が、ゴブリンの心臓を正確に貫く。なおも抵抗しようとする相手の肩を蹴り飛ばして、ラークは距離を取った。さすがに近づいてくるほどの体力は残っていなかったようで、敵はその場に倒れ伏した。

 仲間の方に目をやると、アシュレイとミーファの二人が、一匹のゴブリンと相対あいたいしていた。形勢が圧倒的に不利なのは分かっているようで、魔物は今にも逃げそうだ。

 出し抜けに、アシュレイが手首のスナップだけでナイフを投げた。狙いはさほど正確ではなかったが、すぐ目の前の地面に突き立った銀色の輝きに、ゴブリンは注意を奪われたようだった。

 それを隙と見て、ミーファが駆け出す。ゴブリンがはっと顔を上げたころには、既に眼前に刃が迫っていた。決着は、一瞬で着いた。

「やるねえ、ミーファちゃん。次からもこんな感じで頼むよ」

「はいっ!」

 口笛を吹くアシュレイに、ミーファは力強く答える。初対面なのに二人で上手くやってるな、とラークは感心した。が、それはともかく、

「お前も戦えよ、アシュレイ」

「心外だな。ちゃんと戦ってるだろ」

「楽しようとするなよ」

 彼の実力なら、ゴブリン一匹程度、他人の助けを借りずにあしらえるはずだ。ミーファとのペアを要求したのは、単に面倒なだけか、もしくは下心があるかのどちらかだろう。

「固いこと言うなよ。ミーファちゃんも、あんな奴とずっと一緒だと疲れるだろう」

「い、いえっ。いつもお世話になってて、頼りにしてます!」

「そう? 俺とパーティ組んでみない?」

「お前それ、毎回口だけだろ」

 万年ソロをやっている友人を、ラークは横目でにらんだ。

 待機していたサラと四人で、再びエルフの森の外れを進む。この辺りはゴブリンの生息域で、ラークたちの主な活動場所だ。半分庭のようなものだった。

 ザイルの西に広がる大森林地帯は、その全域が『エルフの森』と呼ばれているが、実際に彼らが住むのは二本の川に囲まれた中央部だけだ。それより外に出てくることは滅多にない。

 なるべく中央部に滞在する時間を短くするために、遺跡へは外縁部を大回りして向かっていた。日の出の頃に街を出て、日の入りまでには到着する計算だ。大きな問題が発生しなければ、だが。

 ひんやりとした朝の森の空気は、天頂付近まで昇る日の光によって、既に十分に温められていた。ラークは首筋に浮き出た汗をぬぐう。

「よーし、そろそろ飯にするか」

「はいっ」

 アシュレイの言葉に、ミーファは即座に反応した。荷物を下ろして、いそいそと準備を始める。ラークのパーティでは、大抵彼女が料理担当だ。

 ラークと共に火を起こしながら、アシュレイはミーファの作業をちらちらと見ていた。彼女は袋から取り出した小さい肉を、尖らせた細い木片に刺していた。

「おっ、串焼きか。いいね」

「はい、今朝準備してきたんです」

 ミーファがにこにことしながら、肉を刺した串を掲げて見せる。タレ漬けにしていたらしい肉は、濃いブラウンの液体を纏っていた。

 彼女は荷物の中から別の袋を取り出すと、口を少し開いて袋ごと火にかけた。ラークが身を乗り出して中を覗き込むと、どろりとしたスープが入っていた。地面に刺して並べられた串焼き肉と共に、食欲を刺激する香りが漂ってくる。

 これが最後のまともな食事だろう。次回からは、硬いパンと塩辛い干し肉で我慢するしかなくなる。そういうわけで、少し手間をかけ、火を起こして暖かいものを食べようということになっていた。

「ええと……そろそろ食べられる思います!」

 ミーファがそう宣言すると、男二人は先を争って串を手に取った。熱々の肉をまとめて何個か口に入れながら、ラークは言った。

「相変わらず美味うまいな」

「ありがとうございます」

 嬉しそうにミーファが言う。その隣では、一個の肉をさらに小さくかじってゆっくりと食べているらしいサラが、口をもぐもぐとさせていた。

「うーむ」

 アシュレイはと言うと、肉を飲み下したあと難しい顔をして唸っていた。ミーファが不安げに尋ねる。

「お口に合いませんでした……?」

「いやいや」

 彼は笑いながら言葉を続けた。

「あまりに美味しくてびっくりしてたんだよ。このタレはミーファちゃんが作ったの?」

「あ、はい」

「すごいな、十分店で出せる味だ。中央広場のレストランで出てもおかしくないぞ」

「そ、それは褒めすぎですよ……」

 忙しなく手を振るミーシャ。だが顔が緩んでいるところを見ると、満更まんざらでもなさそうだ。

「小さい頃は、コックさんになるのが夢だったんです」

「なるほどね。長年の鍛錬の結果ってわけだ」

「鍛錬ってほどじゃないですけど……」

 ミーシャは照れたように笑った。サラも、おいしい、とぽつりと呟いていた。

 肉とタレの味を楽しみながら、ラークは子供の頃を思い出していた。自分も昔は、母親に食事の準備を手伝わされたものだった。最近は買い食いばかりだが。

「料理は母親に習ったのか? 先生が良かったんだな」

 ラークが聞くと、ミーファは一瞬言葉に詰まったようだった。ぎこちなく笑うと、一言ずつ区切るように話した。

「いえ、お母さんは、物心つく前に死んじゃったので」

「……じゃあ、父親?」

「お父さんも、顔は見たことないです。私、孤児院で育ったんです」

「……そうか」

 それ以外に何も言えず、ラークは肉を追加で頬張った。アシュレイが、わざとらしくため息をついてから言った。

「悪いねー、デリカシーの無いやつで」

「いえ、べつに隠してるわけではないので」

 ミーファが首を振る。それが妙に弱々しく見えて、ラークは視線を逸らす。

「……」

 すると、思いがけずサラと目が合った。少女は何も言わず、だが真っ直ぐに見返してくる。まるで糾弾されているように感じて、再び目を逸らしてしまった。

 ラークは首筋をきながら、誤魔化ごまかすように言った。

「そろそろ、遺跡の詳しい話を聞かせてくれてもいいんじゃないか」

「ん。ああ、そうだな」

 アシュレイが、ようやく思い出したかのように言った。遺跡のことや、遺跡で手に入るものの詳細はまだ聞いていない。他人に聞かれるとまずいから、という理由で、街中では教えてもらえなかったのだ。

「うちの国だけが魔道灯を作れる理由を知ってるか?」

 にやりとした笑みを浮かべるアシュレイ。ラークは面食らったように、少し間が空いた後で言った。

「……なんだ、いきなり」

「いいから答えてくれよ」

 何故か執拗なその要求に、ミーファが首を傾げながら応じる。

「作り方を知ってるのが、うちだけだからですよね」

「その通り。じゃあどうやって知った?」

記憶リコレクションの指輪」

 今度はサラが、つぶやくように言った。正解、と言いながら、アシュレイは彼女の頭を撫でようとしたようだったが、すすっと避けられていた。

 過去の全ての出来事を記憶しているとう魔道具『記憶の指輪』は、この国の宝だ。莫大な魔力を消費するため、年に一度しか起動されないが、その度に貴重な技術や知識をもたらしてきた。国民なら誰でも知っていることだ。

「あの指輪のお陰で、国が豊かでいられるんだ。魔道灯なんて、今や大陸中で必要とされてるからな。まあ、争いの種になることもあるが」

「それが今回の遺跡探索とどう関係するんだ?」

 訝しげに尋ねると、アシュレイはラークをぴっと指さしながら言った。

「聞いて驚くなよ。エルフの森の遺跡にあるのは、記憶の指輪と対になる魔道具だ。いや、さらに強力なものだとも言える」

「本当かよ」

 ラークは半眼になって聞いた。そんなものが存在するなんて、にわかには信じられない。

「もちろん絶対とは言わんが、信頼できる筋からの情報だぜ。……未来視の腕輪と言ってな、この先に起こる出来事を知ることが出来るらしい」

「へえ」

(未来をる魔道具か)

 確かに、記憶の指輪を上回る価値があってもおかしくは無さそうだ。

「具体的にはどんな効果なんだ? 記憶の指輪と同じように、好きな時代のことを調べられるのか?」

「そこまでは分からん」

「なら、価値があるかは分からないな。いつの事か分からない適当な未来が見えるだけなら、大して役には立たないだろ」

「もちろんそれぐらいは想定してるさ。だが、手に入る額ポットの上限はでかい。賭けをベットするだけの価値は十分にあるね」

 と、ギャンブラーらしい言い回しでアシュレイは言った。

「ほんとに手に入ったら、すごいですね! 高く売れますよね」

「ああ、一生遊んで暮らせるかもな」

 喜ぶミーファに、アシュレイは口の片端を上げて微笑んだ。

(まあ、ほどほどに期待しておこう)

 あえて水を差すこともないだろう。そう思って、ラークは残りの肉を口に入れた。


 食事を終えると、四人はまた森の中を進み始めた。しばらくの間、魔物に出会うこともなく、黙々と行進は続く。

 やがて前方から水音が聞こえてきて、ラークは身を引き締めた。この街でゴブリン退治をする冒険者がまず最初に教えられるのは、この音には近付いてはいけない、ということだ。それを、あえて破ろうとしている。

 木々の間を抜け、視界が開けた先には、大きな川の流れがあった。流れは緩やかで、水底みなそこが透けて見える。日の光を反射して、きらきらと輝いていた。

 ここがエルフの領域テリトリーとの境界線、サウェル川だ。東と北の山岳地帯からの無数の流れが集まってできた大河、ネフェル川から分岐した川で、南西の方でまた元の流れに合流している。この二つの川に囲まれた内側に、エルフたちは住んでいる。

「よーし、全員これを着けてくれ」

 アシュレイが、懐から取り出した指輪を一人ずつに配っていった。ラークは、手のひらに置かれたそれをしばし眺めた。青い宝石以外に何も装飾が無い、シンプルな銀色の指輪だ。

「これは?」

 顔を上げると、ミーファが指輪を受け取るところだった。壊れ物でも扱うかのように、恐る恐る指先でつまんでいる。

反探知アンチサーチの指輪だ」

 アシュレイに言われ、ラークは指輪を思わずまじまじと見つめてしまった。国軍が多数所持していると聞いたことはあったが、目にしたのは初めてだった。国同士の戦争においては、探知系の魔道具と、この反探知の指輪のせめぎ合いになる。冒険者にはあまり縁の無い代物しろものだ。

「……高いんじゃないか?」

「まあな。遺跡に着くまで貸しとくが、もし失くしたら弁償してもらうぞ」

「気をつけよう」

 弁償しろと言われるのも仕方ない、それほど高価なものだ。最低でも金貨数十枚は下らないだろう。

「エルフの森で最も厄介なのは、探知の魔法を常時展開して見回りをしている狩人ハンターたちだ。まずはそれを潰す」

「直接見られたら?」

「もちろん、そうなっちゃ意味が無い。やつらの巡回ルートは押さえているから、避けて通る」

「なるほど」

 ずいぶん綿密に調べているようだ。情報源は教えてもらえなかったが、もしかしたらエルフなのだろうか。

 言葉を切ったラークの代わりに、ミーファが尋ねた。

「それでも見つかったら、どうするんでしょうか?」

「弓と魔法で牽制しながら逃げるしかないな」

 アシュレイは、背負ったクロスボウを軽く叩きながら言った。

「川のこちら側か、遺跡の中に逃げればそれ以上は追ってこない。遺跡はやつらにとって神聖な場所らしいからな。まあ待ち伏せされる危険はあるから、できれば戻ってきた方がいい。もちろん……」

 一旦言葉を切ったあと、説明を続ける。

「まずは見つからないことが重要だ。万が一ルートが被ったら、なんとか先に見つけてやり過ごすしかない。あと、樹の上からやつらが飛び降りてこないか十分注意しておいてくれ。見逃したら一瞬でやられるぞ。音も立てずに降りてくるからな」

「分かりました」

 ミーファが神妙な表情で頷いた。

(結局、サラの魔道具は用意できなかったな)

 遺跡探索に向けて改めて探してみたが、やはり予算が折り合わなかった。いつも通り、なるべく魔法は節約して、魔力が切れないように気をつけてもらうしかない。

 他にもいくつか話し合ったあと、アシュレイの先導で川を渡った。各々おのおの服の裾をまくりあ上げ、水の中を進む。深さは精々せいぜい男性陣のふくらはぎ程度、流れも緩やかで、転ぶ心配もなかった。トラブルと言えば、サラがあまりにも思い切りよく捲り上げるものだから、ミーファが慌てて止めたぐらいだ。

 川を渡ったところで、靴を乾かすのを兼ねて少し休憩することになった。アシュレイが言うには、見回りは川の近くまでは来ないようだ。探知魔法の効果範囲を全面的に信頼しているため、領域の端まで直接行く必要は無いという考えらしい。

 そこから先は、アシュレイの指示で慎重に森を進んだ。彼はちらちらと時計を見ながら、立ち止まったり、行き先を変えたりしている。見回りのルートと時間を考えて、鉢合わせないようにしているのだろう。やはり、相当細かい情報を持っているようだ。

 全神経を集中させて、ラークは周囲全てに気を配り続けた。緊張で、脂汗が浮かぶのを感じる。ゴブリン退治においても索敵は重要だが、かかるプレッシャーが全く違う。

 ある水準以上の知能と実力を持った者同士の戦いでは、先に相手を発見した方が圧倒的に有利になる。ただでさえ、森はエルフたちの領域だ。敵を見逃せば、そのまま死に繋がるかもしれない。

 森は徐々に深くなっていく。もう空は見えない。見渡す限り、茶色と緑が広がっている。来てはいけない場所に来てしまったかのような気分になり、ラークはごくりと唾を飲み込んだ。

 二色のまだらは、歩くごとに姿を変える。一つとして同じ景色は無いが、パターンのような、もしくはもっと曖昧なは存在するようだった。それがどういうものなのか語ることはできなくとも、ラークの目に、頭の中に染み込んでいく。

 アシュレイが何度目かに足を止めた時、ラークはパターンにほころびが生じたのを感じた。目を凝らして、その原因を探す。

 何度か視線を往復させるうちに、徐々に場所が絞られていく。やがてある瞬間に、唐突にを認識した。

 遠くの木の枝の上に、緑の服を着た何者かが立っている。一度気づいてしまえば見失うことはないが、探してもすぐには見つからない程度には、森の景色に溶け込んでいた。

 アシュレイの肩を叩いて、注意を促す。彼が身をかがめると、他のメンバーもそれに倣った。

 人影は、ぐるりと周囲を見回しているようだった。探知の魔法はかけていても、やはり反探知の魔法や魔道具の存在を考慮に入れているだろう。こっちを見るなよ、とラークは祈る。

 一瞬視線が交錯したような気がして、ラークはひやりとした。だがやがて、人影はくるりとむこうを向くと、木々の向こうに消えていった。しばらく注視していたが、戻ってくる気配は無い。

 ようやく緊張を解いて、アシュレイに目を向ける。親指をぐっと立てる彼の仕草に、肩をすくめて返した。


 長い道のりのあと、森の奥に遺跡の姿を認めた時には、ラークは思わず深い溜息をついてしまった。結局、エルフらしき影を見たのはあの時だけで、戦闘になることは一度もなかった。アシュレイの指示のお陰か、それとも運がよかったのか。多分、両方だろう。

 反探知の指輪をアシュレイに返し、四人は遺跡の周囲を歩いた。全員、その外観に見とれていた。想像以上に大きく、また保存状態も良いようだった。

 遺跡の外壁は、大小様々な大きさの石を積んで造られていた。形は全てばらばらであるにもかかわらず、絶妙の配置で隙間なく敷き詰められている。すっかり植物に覆われてはいたものの、どこも崩れることなく元の姿を保っている。

 宮殿のようなその巨大な建造物の、全容を捉えることはとてもできそうになかった。こんな大きな建物は、ザイルの街でも、他のもっと大きな街でも見たことがない。もしかすると、街が丸々入るほどの大きさがあるのかもしれない。

 建物は周りの木々よりも背が高く、上の方は夕日の光に照らされて橙色に染まっていた。見上げる景色は、まるで一枚の絵画のようだ。それは幻想的とも神秘的とも言えるし、同時に威圧的にも感じられた。

 ラークが過去に行った遺跡は、もうほとんど崩れ去っていて、柱と壁の一部しか残っていなかった。価値のある物など、何も見つからなかった。だがこの遺跡なら、すごいお宝が眠っているのだと言われても信じられる。

「ここまで綺麗に残ってるのは珍しいな。探索し甲斐がある」

 にやにやと下品な笑みを浮かべながら、アシュレイは言った。彼も、ラークと同じようなことを考えているのかもしれない。

「アシュレイさんは、遺跡探索が好きなんですか?」

「ん」

 不意にミーファから質問を投げかけられ、アシュレイは少し考えてから言った。

「好きと言えば、好きかな。地図を作って隠し部屋を探したりね。もちろん、お宝が待っているからこそだけどね」

「魔物と戦うのは……?」

「まっったく好きじゃない。遺跡探索をする冒険者にとっては、魔物は戦うんじゃなくて、逃げるもんだ」

「なるほど、冒険者にも色々あるんですね!」

 少女は納得したようにこくこくと頷いていた。アシュレイが嬉しそうに言う。

「ミーファちゃんも遺跡探索興味出てきた? 儲かるよ?」

「あまり真に受けるなよ。基本的にはギャンブルだからな」

 と、ラークは釘を刺す。

 遺跡の周囲を歩いていくと、入り組んだ外壁の隙間に、ちょうど外から見えないスペースを見つけた。四人はそこに陣取り、一夜を明かすことにした。パンと干し肉だけの食事を手早く取りながら、見張りの順番を決める。

「よく休んどいてくれよ。中に入ったらいつ休めるか分からんからな。立ち止まる暇があれば運がいい方だ」

 アシュレイが脅すように言うと、ミーファは緊張した表情でこくこくと頷いていた。サラの方はと言うと、食べ終わったとたんにこてんと横になり、早々に寝息を立てていた。何があっても動じそうにないこの少女は、ある意味冒険者に向いているのかもしれない。

 最初に見張り番になったラークは、改めて遺跡の外壁を観察した。辺りが暗くなったことで、壁の一部の模様が淡く光っていることに気づいた。模様は明滅したり、また移動したりしている。どういう効果なのかは分からないが、大昔にかけられた魔法の効力が、いまだ続いているのだろう。もしくはこの建物全体が、一つの大きな魔道具だと言うべきなのかもしれない。

 ほとんどの遺跡は、今から何千年も前に造られたと考えられている。それだけの間止まることなく稼働し続けているというだけでも、魔道灯程度しか作れない現代とは比べ物にならないほど、高い技術を持っていたことが分かる。そんな高度な技術が、ここには詰まっているのだ。恐らくは、侵入者を撃退するためのトラップも。

「ここからが本番か」

 意図せず漏れたその呟きを耳にして、アシュレイはにやりと笑った。

「そういうことだ」

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