第2話 初めての世界

「ここは…?」


今の今まで、学校に向かう山道の途中にある草むらを歩いてきていたはずだ。なのに、草原の真っ只中にいる。周りに何もない意味がわからない。

ものの数秒だったし、夢や気を失ってる可能性も、薄いと思う。


血の出ている右手が痛むし、観察できる。

はじめて手を貫かれたが、これはなんとも…

血が少なくて幻覚を見てるのでなければ、紛うことなき現実だ。自分的思考回路がこれで正常というのを理解していると客観的に悲しいものだ。


あまり、自分のこと考えると思考が迷走しそうなので、状況把握。


周りは草原。

森と反対側に川のようなところ。その向こうにうっすら山が見える。

「ん?」

一瞬、人影がみえた。

何をしているかわからなかったが。

学校が北のほうにあった筈。なので、方角がわかりそうな太陽を…

見てぎょっとする。


白夜月というだったか、昼間に見える月。それがありえないくらいでかい。太陽が眩しくて見えないが、地球での3倍くらい月が大きい。空いた口が塞がらない。

異世界というやつなのか…?

模様も違う気がする、いや、違うのだろう。

どこかさっぱりということか。

地元の地理ならなんとなく覚えてるから、どうにかなるかなと思ったけど、無理ぽいな。


空を見上げすぎたせいて、血が減ってるせいか、異世界に来たショックからか、ふらついて後ろに倒れた。草の上でそんなに痛くなかった。

まだ昼間だが、いろいろ準備しないと…野宿や野営の準備など心得などないが、このままではいけないと考えを巡らせていたのに、

さすがに野垂れ死とか勘弁願いたい、思考とは裏腹に急激に眠気が襲ってきた、寒気はなく、昨日はぐっすり寝て眠いはずがないのだが、空気がなんだか重く、喉も乾く。

間違いなく野犬なんかいたら、ひとたまりもないだろう。そんな思考のまどろみの中、かすかに声が聞こえた。


良かった、犬に食べられて死ぬことはなさそうだ。


「カヘンナルテヘタホレェアガヒィース(なんか人が倒れてるー)」


あれ、知らない言葉だ。

異世界なのだったか、仕方ないのか…

「エヘネシィノフセロヅ?(姉さんどうする?)」


野犬に襲われるより危ない目に…?

可能性はなくはないよな…


「ヨコセヅィテホクンコドウッ?ケロ(どうしよ、これつっこんどく?)」

ケロ?カエル?口になんか突っ込まれた。

息苦しい窒息死させる気か⁉︎

しかも苦いこんな苦しみ共に死?とか嫌だ


「サーヤンノハセンノフロヅ?ネヒサロジッタノハセンモハデデセヨ!トケホオテヒャントケホヲヤクシィケホラロユレ!ニ(さーちゃんそんなことしちゃダメでしょ!そんなことして死んじゃったら、どうするの?ヤクさんにおこられるわよ!)」


口に突っ込まれていたものが取られて、そのあと、優しい何かがからだを包んだ。

死んでしまったのか?この暖かさの中なら、いいかな…

そこで完全に気を失った。


「で、どうするの?」

「どうするも何も、なわばりの外だけど人が倒れていたんだから、たすけて元の場所に返さないと。諍いになるかもしれないわ、身なりも見たことないものだし」


「ふーん。まあいいや、くーちゃんに乗せていこ」

さーちゃんと呼ばれた子は片手で、持ち上げ、くーちゃんという、謎の動物の上に乱暴に置いた。

「もー乱暴なんだから」

「いいのいいの」

そして彼らの村に連れてかれることに。

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1/48日異世界探検記 野々下 勝也 @nonokatu

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