1/48日異世界探検記

野々下 勝也

第1話 初登校!

今日は高校入学式当日!

つまるところ、高校上がって初の登校日!

これほどまでに勇んで高校に行くやつなんていないんじゃないかってテンションである。

別段これといって、高校になにか好きなものがあるとか、家に居ずらいとかではなく。期待感と未知との遭遇のような感覚が好きなだけである。


小学校、中学校の入学式。初遠足、初合宿。人生誰しもが通りそうな一度きりの場面がすきなのである。今日も例に漏れず、期待しすぎなのはわかっているが、毎日の通学予定時間より30分以上も早い時間に、登校しようと思っている。


「おにいひゃん、もういくの?」

玄関で靴を履き出発しようとした時に、妹がアイスの棒を咥えながら話しかけてきた。

まだそんなに暑くないというのに…アイスって…

「春先にアイスばっかり食べてたら風邪引くぞ?」

「わたひは、フユミなので!キリッ」

妹はよくわからん理論と決め台詞を中二病ぽいポーズで言っている。兄として妹の将来が心配だ…


「はぁ…いつもの癖たよ。うちのみんなが言ってる"初日ははやく行きたい病"」

「あー」

家族間で変な呼び名が付いたものだ。まぁ、その通りだから何も返す事はないと思うけど。


「じゃ、行ってきまーす」

「いってらー」


歩いてそんなに遠くないのだが、高校へは小中の学校とは逆方向なので、はじめての旅路みたいだ…感涙。

中学はちょっと遠くて、自転車だったがちょっと小さいし、ヘルメットとか…部活をやめて運動しなくちゃと、思って歩きにしたが母曰く。

「すぐ自転車に戻るわよ」

と行っているが、しばらくはしない!…きっと!


通学路の中間くらいか、ちょっと気になる脇道を見つけてしまった。その奥になにかある。目を凝らしてみると建物がある。


これからいく賢王学園はちょっと山奥なのだが、道中に草木に隠れるように、小屋みたいな家みたいな建物があるとは気づかなかった。ちょっと行ってみたい。少し悩んだが、行ってみることに、学園へは早めに行きたいが、誰もいないところへ行きたいのではなく。少し余裕があるくらいでいいのだ。


ぱっと見、人がいそうな雰囲気はない。

ぐるっと一周回ってみることに。

ちょっと、住めそうなくらいの大きさはあった。裏の方は草が腰まで生い茂っていて、かなり放置されてるようだった。雨が降ってたら、大変だった。

ふと、真裏あたりまできたところで、ちょっと色が濃くなってる木の壁に穴が空いてるのを発見してしまった。なんとなく気になって、手を触れてみた。

銃弾くらいの穴だろうか?いや、みた事はないけど。危ないことでもやっていたのだろうか…早めに立ち去ろう。

と、思ったら壁の向こうから、何か聞こえる。

「………………の……を指し…………なり………………を………………え!」

女の子っぽい声?壁に耳を当てながら聞こうとしていると。穴の空いていたところに当てていた手に、

ドスッ

自分の持っているシルバーのシャープペンシルより、細い銀色のものが手の甲まで貫通した。

やばい、気付かれた!?顔の血が引く感じが心臓が騒ぎ出して熱くなるのと対比して、いる感じがした。

とっさに反対の手で、口を塞ぎ声が漏れるのを抑えて、ゆっくりと抜いて逃げればあるいは…と思い。ゆっくりとまだ、アドレナリンで、痛みをあまり感じていないうちに、手を思いっきり広げて、抜こうとしたら、壁の向こうで「ル………・…………ジ!」壁に耳を話してるのに聞こえそうな声がしたかと思うと、淡い光に包まれて、瞬間閃光のような光で目が眩んだ。

たまらず後ろに引いてしまい、つまづいて尻餅を打つ。「うわっ」声まで出てしまった…

とりあえず、捕まるわけにはと思い、片方の道に目が慣れる前に動こうと思い、車道の方に走った。

しかし、違和感に気づく。あの小屋みたいなところには少しの上り坂だったのに、今は平地だった。おかしいなと思い、目が慣れる方を優先させた。後ろ姿を目撃されてしまうかもしれないが、うまく逃げるには仕方ない。

そのまま立っていると、目の前はなぜかあたりが草原になっていた…

見渡してみても、歩いてきた道や、さっきまで小屋みたいなのもない。ちょっと遠くに森林がある。

「へぇ?」

貫かれた右手が現実だと知らしめるように痛む。


「嘘だろ?」

結家 剣徒ゆいいえ けんとは異世界に飛ばされました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る