囚われの魔王

作者 和泉ユウキ

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★★★ Excellent!!!

 異世界ファンタジーという枠で括るには安直である。
 この物語は人間と魔族の関係を巡る、現代ドラマに匹敵する異世界ドラマである。
 強力なモンスター? 先の見えない洞窟? 伝説の武器?
 そんなものが必要か?
 異世界だって、そこで暮らす人や魔族の深い想いがあるものだ。
 深い想い……深い、のか?
「勇者様! 会いたかったです!」
 勇者に飛びつく魔王。

 そして、この物語が始まる。
 

★★★ Excellent!!!

 敵対する勇者と魔王。
 古代より、物語に語り継がれてきた関係は、しかし百年前に「勇魔不戦条約」が締結されてから、少しずつ変わってきました。

 そして、現代の勇者アリス。
 先代勇者の父の遺志を継ぎ、魔族と友好的な政策を執っているにもかかわらず、「あの日」から魔王を討ち取ることを心に誓っていました。

 一方、現代の魔王クレス。
 勇者アリスと相まみえたその瞬間――。
「勇者様! 会いたかったです!」

 ここから始まる、勇者と魔王のすれ違いラブコメディ……。

 ――だと思ったら大間違い!
 最後に勇者の言葉の剣にぐっさりと刺されたのは、読者である私でした。
 コミカルなやり取りの中にも、切なさのかけらが仕込まれていて、じわじわと「来ます」。

 勇者に仕える双子騎士や、魔王に忠実な執事と一緒に、勇者アリスと魔王クレスの物語を是非、見守ってください。

★★★ Excellent!!!

魔王は人間を滅ぼそうと暴虐の限りを尽くし、やがて勇者に退治されてしまいます。

勇者と魔王の闘いは繰り返され、壮大なる歴史として刻まれていきました。

幾度とない血塗られし闘争。そんな中、勇者は、魔王は、思いました。

人類と魔族とで、和平を結ぼうではないか。



まだぎこちないながらも、人類と魔王は共生の道へと歩み始めました。

もちろん賛同ばかりではありません。多くの人類や魔族が死に追いやられた過去を憎み、お互いへの不信感は完全に払拭されてはいませんでした。

それでも、手と手を取り合う勇者と魔王の姿を受けて、民衆の心は徐々に変わっていきました。

けれども、そんな優しすぎる勇者と魔王は



悲劇から8年もの月日が流れ、新たに就任した勇者と魔王。

ここからの物語は、もう語るのも野暮でしょう。

新たなる一歩をその目で確かめる方が、きっと楽しいはずですから。

★★★ Excellent!!!

この物語のタイトルは魔王を示しますが、主人公は勇者です。と思いきや、勇者のみを主人公とは呼べません。

主人公の勇者が何を思い、何に向かって、何を背負って行くのか。目指すものに辿り着く為に、大切なものは何なのか。深く考えさせられる作品です。

何か思い悩む事があったり、自信が持てなくなった人に、是非読んでほしいと思います。