154 秀良な終了

(雄常の部屋にて)


萌神「えー、初めまして。萌神幼女です」


ロボ娘「……天界ロボ娘だロボ」


萌兄「雄常くんのフィアンセの萌神兄君です! 兄ちゃまって呼んでね!」


雄常「こいつらは……あー、そのなんだ。俺の家族だ」


阿仁月「……」(目が細まっていく)


雄常「あー、仲間って言うほど他人行儀でもないんだ。友達というのも違う気がする。ずっといるしな。居候か? というとそれは無い。気持ち的にも形式的にも、家族というのが一番しっくりくるんだよ」


阿仁月「……分かりました。つまりはペットと同じという訳なのでしょう? それならお兄様が家族と呼称するのも仕方ないですね。優しい方ですし」


ロボ娘「……」


萌神「おい、ロボ娘。頼むからここは堪えてくれよ」


萌兄「雄常くんのペットとして生きていけるのは名誉なことだと思うんだけどなぁ」


萌神「兄者も黙っててくれ。今は真面目な話をしているんだから」


阿仁月「ですが、私はこいつらを家族などと認めませんし、仲良くするつもりはありませんから」


雄常「阿仁月」


阿仁月「どうしてお兄様以外と仲良くしなければならないのですか? その必要を認めません。阿仁月にはお兄様しか家族はいりません。」


雄常「(だから父ちゃんとか忘れてるっての……)……阿仁月」


阿仁月「……何ですか?」


雄常「俺は誰とでも仲良くできる女性が好きだぞ」


阿仁月「そこのロボットさんや神様達、お友達になりましょう」(手を差し出しながら)


萌神「変わり身早っ!」


ロボ娘「ええ、仲良くしましょう」(手を握りながら)


萌神「お前もかよっ!」






 こうしてひと悶着はあったが、波野阿仁月と萌神たちとの邂逅は無事に終わり、彼女は帰って行った。

 しかし萌神たちはまだ知らなかった。

 阿仁月は終わりではなく、始まりであったことを。

 雄常の兄が、弟が、姉が、母が、父がまだ残っていることを。

 それを彼女たちは思い出すのは、まだ後の話。

 萌えの歴史がまた1ページ。

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