151 妹の意図
阿仁月「ところでお兄様、先ほどから気になっていたのですが」
雄常「(あ、なんか嫌な予感がする)なんだ?」
阿仁月「この部屋は『オニイサマニウム』でいっぱいのはずなのに、ところどころ感じるのです」
雄常「(阿仁月の目が細まっていく……ああ、これはヤバい。完全スイッチ入っているわ)何を感じるんだ?」
阿仁月「クソバエに劣る、ごみ溜めのごとき匂いです」
雄常「……気のせいじゃないか? ちゃんとごみは捨てているぞ」
阿仁月「……いえ、これは錯覚などではありません。お兄様は香水の100億倍、いい香りがしています。しかし……それを汚すドブ臭さがあります。そう……例えば冷蔵庫から」
雄常(冷蔵庫? 別に何も……ヤバい、萌神が今朝食べてたシュークリーム。あれ、食べ途中で冷蔵庫に入れたんだった。それから漏れている唾液の臭いをかぎあてたか……)
雄常「あー、食材でも傷んでたかな?」
阿仁月「違います。腐敗独特の香り、アンモニアの類のものではありません。もっと悍ましく、邪悪で、お兄様を害し、汚す存在のもの。悪魔や雌畜生共が持っているそれです」
雄常(ロボ娘と同じような考えを持っている辺り、仲良くなれる。なんてのは個人的願望かな)
阿仁月「……お兄様、今どなたか女性のことをお考えになったのではありませんか?」
雄常「(エスパーだなこいつは)いや、そんなことはないぞ」
阿仁月「……まあ、いいです。ともあれその異物。いますね。それも案外近くに……」(部屋の隅を見ながら)
ロボ娘「……バレてるみたいロボ」
萌神「バカな! 仕掛けたのは天界の特別性盗聴器だぞ! 許可した者しか視認することは叶わないはず! 気付けるはずがない!」
萌兄「……幼女、君は肝心なことを忘れているよ。初級にして、されど大切なことを」
萌神「そ、それは一体……?」
萌兄「キモウトに、理屈と常識、通じない by萌神兄君」
萌神「……その通りだった」
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