149 狂喜との協議

雄常の部屋の中にて


阿仁月「すう……はあ……すうううううう……はああああああ……」


阿仁月「ああ、お兄様のものが阿仁月の中に……阿仁月とお兄様が1つに……」


雄常「お前が来る前にきちんと換気も掃除もしたから、それはないぞ」


阿仁月「お兄様。どのような掃除のプロであっても、1粒のほこりもないほどの清掃は行えません。だから、残されたものがここにあり、深呼吸すれば吸収することが可能です」


阿仁月「それに長いこと『オニイサマニウム』を摂取してきた私には分かるのです。ここは『オニイサマニウム』で満ち溢れていると」


雄常「(……たぶん俺の体から出てるものとかを指してるんだろうな)……そんな新種の原子みたいなものを俺は出してないぞ」


阿仁月「お兄様は神ですよ? 神とは万能。0から有を作り出すなどたやすいことでしょう」


雄常「一度だってそんなことをした覚えはないんだが。というか俺は神じゃないんだけど」


阿仁月「お兄様ったら。覚えているでしょう? お兄様がいるから阿仁月は生きているということに。お兄様は私を生かしている。これは神も同然の行いのはずです」


雄常「ごめん、覚えてない」


阿仁月「常に私と遊んでくれて、愛を注いでもらえた。あれがあったからこそ、私は生きていける様になりました。お兄様は無から有を作ったのです。これは神のごとき所業では?」


雄常「……家族と遊ぶなんて普通のことだろ。世界中どこでだってやってる」


阿仁月「ですが私と遊んでくださったのはお兄様だけであり、私を導いてくれたのもお兄様なのです。これは明確なる事実」


雄常「……俺の記憶が確かなら、兄ちゃんや姉ちゃんともお前は遊んでたはずなんだけどな」


阿仁月「それでもお兄様大部分を占めているのは事実です。私の歴史の全てにお兄様がいて、お兄様との思い出で満ちてます。私の全てはお兄様。つまり私はお兄様そのものなのです」


雄常「そういう論法はやめようか。反論しにくいから」

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