148 相対する愛
雄常(消臭剤はまいた……掃除機も念入りにかけたし、できる範囲の雑巾がけもした。かなうならリフォームしたいくらいなんだけど、さすがに金も時間も足りないな……)
雄常(まあ、ここまで来たんだ。後は俺の会話でフォローしていくか……できるかどうか自信ないけど)
ピンポーン
雄常「……来たか」
ガチャ
雄常「よお」
阿仁月「……ご無沙汰しております」
雄常「……いらっしゃい」
阿仁月「3か月28日5時間25分32秒ぶりでございますね。お変わりないようで、阿仁月は嬉しゅうございます」
雄常「……記憶力いいなお前は」
阿仁月「そんな……阿仁月などまだまだでございます。幼少時にお兄様とご一緒にお風呂に入った1分1秒しか、記憶できておらぬ不肖の身ゆえに……」
雄常「それができている時点で十分すごいと思う」
阿仁月「ああ……お兄様が阿仁月にお言葉を与えてくれる……! 阿仁月の言葉に反応してくれる……! これだけでこの阿仁月、今を生きてきたことを感謝しています」
雄常「……とりあえず中に入らないか?」
阿仁月「お兄様の部屋に!? お兄様の血と汗と涙と髪の毛と垢など諸々でいっぱいのお部屋に? つまりお兄様の体内に入るも同じ。つまりこれは性行為なのでは?」
雄常「きちんと掃除したから、汚くないから、後それは絶対違うと思う」
阿仁月「ええ、汚いはずはございません。お兄様の出すものは全て食してきました。だから阿仁月には分かります。お兄様の出すものは須らく尊いものであるということが」
雄常「……そんなことを言われてどう反応していいのかわかんないんだけど」
阿仁月「このような時には耳元で、『愛しているよ』とささやいて頂ければよいのです。それか無言で抱きしめてくれればいいのです」
雄常「それは違っていることだけは分かるかな」
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