147 異常への移譲

萌兄の部屋にて


萌兄「へー、そんなことがあったんだ」(カチャカチャ)


萌神「そうなのだ兄者。珍しくあいつが口よどんでいてな。中々見られないものを見られた。兄者も恐らく見たかったであろう」(カチャカチャ)


萌兄「そりゃ見たかったけど、一番見たいのは雄常くんがあえいでいる姿なんだよねー」(カチャカチャ)


ロボ娘「……で、お前らは一体何をしているロボ?」


萌兄「雄常くんの部屋につけておいた盗撮機を作動させているんだけど?」


ロボ娘「雄常さんへの犯罪を確認。排除するロボ」(銃を構える)


萌神「……あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ」


萌兄「そうそう、それにこれはロボ娘くんにもいいことなんだよ。ボクにとってもだけど」


ロボ娘「……一応話は聞いてやろうロボ」


萌神「確かに盗撮ではあるが、ずっと見てないと突発的な事故から雄常を守ってやれぬぞ? サイドブレーキを引き忘れたクレーン車が激突して、それに巻き込まれるとも分からんぞ?」


ロボ娘「そんなアナザー的な展開はそう起きないと思うロボ」


萌神「まあそれはそうかもしれん。だが、もう一つの方はお前にも深く関係しているぞ。雄常の家族を知れるのだ」


ロボ娘「……」


萌神「雄常の家族、すなわち雄常の伴侶となるものにとっても家族となるもの。ならばなおさら知っておいた方が良い。そして早く受け入れてもらうためにもその家族の特性や好みなど知っておいた方がいい。そうは思わぬか?」


ロボ娘「……」(無言で銃を下す)


萌神(ふっ、激チョロ! お前程度を屈服させるなど、朝飯前の屁の河童がお茶の子さいさいで赤子の手をひねるようなものよ!)


萌兄「あれ……?」


萌神「どうした兄者?」


萌兄「雄常くんが掃除を始めたんだけど」


萌神「客を招くのだ。掃除の1つや2つしても何ら不思議ではあるまい」


萌兄「確かにそうだけど、かなり念入りにしているんだよね。彼そんなにきれい好きだったっけ?」

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