94 歴史的、大砲出現と共に消えていったもの

ガシャン……ガシャン……


雄常「何だこの音……?」


ロボ娘「隣の部屋から聞こえて来ますロボ」


雄常「……この音の原因、萌神だと思う人ー?」


ロボ娘「はいですロボ」


雄常「分かってたけど賭けにもならないな」


萌兄「(ガチャ)ふふふ、雄常くん。今日という今日は覚悟しなよ。幼女は完全な萌えを見せに来たのさ」


雄常「兄君も絡んでたか。それで萌神の奴はどうしたんだ?」


萌兄「今呼ぶよ。さあ幼女! 来るんだ!」


ガシャン……ガシャン……ドガシャン!


雄常(……あいつ転んだな)


萌兄「幼女! しっかり!」


萌神「兄者……やっぱりこれは無理……」


萌兄「何を言うんだい幼女! これはいわば復古だよ! 失われたものに憧れを抱く懐古的感情、正義の味方になりたい願望、誰しもが持つものを刺激してやまない萌えなんだよ!」


萌兄「見せる姿は凛々しくあり美しい! 想い人の前では不器用ながらも真剣な想いを持つ姿も! 誇りを踏みにじられ堕ちていく様も! どちらも大人気なこの萌え! 雄常くんもきっとこの萌えには完全屈服さ!」


ロボ娘「……雄常さん、何の萌えか、分かりましたかロボ?」


雄常「俺も分からん」


萌神「いや、それは頷けるんだけど現実的な話、今すごく辛いんだが……重いし暑いし……」


萌兄「それは分かるよ。今の君の格好はキツいだろうね。でも苦難を知らない栄光などこの世に存在しないのと同様、萌えも努力あってこそのもの。だから君の足で地面に立って姿を見せる必要があるんだよ」


雄常(重い、熱い、依存しない……ダメだ俺には分からんな。一体今日の萌えは何なんだ?)


萌神「わ、分かった……自力で立つ……」


ガシャン、ガシャン、ガシャン!


萌神「(バタン)はーはーはー……ど、どうだ雄常! これぞ女騎士萌えだ! 25キロもする全身鋼鉄鎧を着こんできたんだから女騎士そのものの姿! 萌えるだろ! 萌えてくれ! サインもあげるから!」


雄常「……努力賞は惜しまなくあげよう」

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