第193話 傲慢の意味
日の出屋はこの時、在籍しているメンバー三百七十名、一日二万一千食製造、年商二十一億円の企業に成長していた。
僕が日の出屋に復帰することを兄は嫌がっていた。社長の弟と言う事で、みんなが気を使い業務に支障が出るからだと言う。
兄は事あるごとに僕を傲慢と罵る。
僕には兄の言う傲慢の意味が理解出来ない。
日の出屋に復帰したいなら履歴書を持ち店長の原口に面接してもらい、許可を得てパート扱いで洗い場からやれと言われた。
時給は九百五十円。
洗い場が慣れたら早朝の調理で焼き場、揚げ場、釜場と一からやり直せと言う。僕が二十年以上専門でやって来た営業部の仕事はやらせられないと言う。
営業部は飛び込みが主流なのでハイテンションでやらなければならない。躁状態になり僕がまた精神病院に入院する事を心配していた。
パートが嫌なら障害者枠では無く、会社で正規に雇用してもらい、平社員から始まり、係長、課長、部長と昇格して活躍出来たら日ノ出屋で、ヘッドハンティングしてやるとメールが送られて来た。
僕は若い時から日の出屋でしか仕事らしい事をしていない。
大体、五十二歳の精神障害者を雇ってくれ、更には部長クラスになるなど、奇跡でも起きない限り有り得ない。
それにもし勤めた会社で部長になれたらその会社に骨を埋め人生を全うするだろう。
兄は僕を日の出屋に復帰させたくないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます