第194話 日の出屋との決別
完全に兄から見放された。
二十代で受けたあのセミナーから僕の人生は狂い始めた。僕は今、福祉作業所でリハビリを続けている。
受け取る工賃は、月四万円くらいだ。
それと障害年金で毎日をしのいでいる。貯金も僅かにあるが底を尽きそうだ。貯金が無くなれば生活保護の申請をするつもりだと、地域支援センターの瀬川さんに伝えてある。
僕は兄に日の出屋に戻らないとメールを打った。
そんな時、千代子が危篤だとの連絡が入った。取りあえず兄、姉、僕の三人でお見舞いに行った。意識が無くもうそんなに長くは無いだろう。
その翌月、千代子の訃報が届いた。
葬儀は行わず実母と同じ様に、兄弟姉妹四人だけの寂しいものになった。
千代子を死ぬまで面倒を見ると言う、親父との約束は守った。
後日、親父の眠る墓に千代子の遺骨を入れた。
親父は、千代子とあの世で再会しているのだろうか。
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