第191話 過去最悪な入院
時間になり、かかりつけ医の百合丘クリニックの十文字さんに相談した。僕は十文字さんの話しを聞きながらずっと泣いていた。
横浜の福富町に鈴木さんと行く様になり、僕の精神状態が完全に崩壊したのだろう。
この一週間、僕の行動は精神異常者以外の何者でもない。
精神病院に入院する事が決まった。あの生田病院だ。
診察が終わると僕はいきなり隔離室に連れて行かれた。ズボンとパンツを脱がされ、オムツを付けられベッドに縛られた。オムツもベッドに縛られるのも初めての体験だ。
隣の隔離室から「すいません、もう二度としません、許して下さい」と叫び声が響いた。
僕がおとなしくしているのを確認して、隣の布団がしいてある隔離室に移動させられた。ここでは縛られる事は無かった。
僕はここの隔離室から出せと騒いだ。
水が飲みたいと嘘を言い入口のドアが開いた瞬間、女の看護師を突き飛ばして出口目指し逃げた。床がこぼれた水で滑る。
四人くらいの職員に捕まり、抑えられて最初に入った隔離室連れて行かれ、再び縛られ、オムツも新しいモノに付け変えられた。
隔離室に縛られた僕は、はっきりと幻聴を聞いていた。
麻雀をしている音で、牌のジャラジャラする音とポン、チイー、ロンなどの声だ。僕は隣の部屋で麻雀をしていると思った。
その夜は一睡もできず、幻聴は朝まで聞こえた。
僕は完全に狂っていた。
翌日、閉鎖病棟の六人部屋に移された。僕にとって過去に無い最も苦しい闘病生活が始まった。
特に妄想と幻覚がひどかった。薬の量も過去最高になった。寝る前の薬を飲み眠ろうとすると毎日幻覚を見た。
他の患者に水をかけられる幻覚を見たり、病院の地下に魚市場の様なものが有りそのやり取りに僕が参加していたり、患者に顔の横で枕を拳で叩かれていたり、消灯後なのにベッドを起こして掃除したりと、夜寝た感じがしないで朝になった。
早く退院しないと殺されるか廃人にされると思った。
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