第三章 精神病との闘いの始まり
第97話 生まれて初めての入院
親父は「今から精神病院で見てもらおう」と言った。
親父の気が済むならと承諾した。親父と兄と三人で、鶴川にある鶴が丘クリニックに向かった。精神病患者専門の病院だ。
病院に着くと、診察で僕の精神状態を聞かれた。夜眠れているか、食欲はあるか、今の気分はどうかなど。親父は強く僕の入院治療を望んだ。
「冗談じゃない、帰る!」
僕は興奮して席を立とうとした。主治医が「分かりました、注射を一本打たして下さい。体の力を抜いて」注射を打った瞬間、体中に何か流れる感覚があり、そのまま意識を失った。
主治医に起こされ、気を取り戻した。
何時間寝ていたのだろう。六人部屋のベッドに寝かされていた。強制的に入院させられたのか?
「起きてください。歩けますか?」
主治医に手を貸してもらい、起き上がった。足元がふらついて真っすぐ歩けない。頭もぼーっとする。生まれて初めての感覚に、戸惑い恐ろしくなった。
診察室に連れて行かれ、書類にサインする様に言われた。任意入院の書類だった。兄も親父もすでに帰っていない。言われるがままサインした。
診断された病名は「統合失調症」。
どれくらい入院するのか尋ねると「薬の調整がありますので三か月くらいですね」と答えた。
僕は言葉を失った。セミナーのセカンドステージは一か月後だ。僕は兄に連絡を取り、早く退院出来る様に頼んだ。
兄は「セミナーは中止する。ゆっくり体を休め仕事に復帰してくれ」そういうと電話を切った。
「今まで年中無休で働いてきたのに、いきなり三か月の休みか!それも精神病院で!」
目の前が真っ暗になった。
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