第91話 兄の結婚

 兄とも良く川崎の仲見世に飲みにいった。


 パブに行き、誰が一番最初にお目当ての女の子を寝取る事が出来るか競争したりした。兄と飲みに行くメンバーは、猛者ばかりで会社を経営していたり、幹部クラスの人が多く飲んでいても楽しかった。


 兄が、高校時代から付き合っていた彼女と冷却期間だと言い、一度別れた時があった。 


 この期間、兄は遊び続けていた。スナックのママに気に入られ、飲み代も無料で、そこで働いている女の子と付き合っていた。カウンターの中に入り、店の手伝いもしていた。 


 僕も毎日の様にお店に誘われたが、この店にだけは何故か行きたく無かった。元の彼女に申し訳ない思いもあった。


 彼女を見た時があるが、美人でスタイルもよかった。しかし彼女はバツイチで、幼い子供がいたのだ。


 彼女の部屋に初めて行った時、泣きながら隠していた事を詫びたが兄は許さなかった。


 結婚を意識して付き合っていたのに、騙されたと言い血の繋がっていない子供の面倒は見れない、と彼女を振ってしまった。


 元の彼女と再会して、よりを戻し結婚した。結婚式は忘れない様にと、二月十四日のバレンタインデーにした。新婚旅行は、シンガポールに一週間行った。


 兄の不在期間、僕は一人で店を営業した。兄は姉が手伝うから大丈夫だと言い旅立ったが、姉は部屋に引きこもり一度も店に出なかった。


 兄は楽観主義者だ。新婚旅行の帰り成田に着いた時、僕がサプライズで迎えに来ると思ったらしい。もしかしたらいるのではないかと、二人で探したそうだ。


 僕の気持ちは、兄と姉に対して怒りで一杯だった。 


 まだ日給研に加盟する前の出来事だ。

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