第90話 夜遊び

 鈴木さんとは、川崎でよく遊んだ。


 川崎のストリップ劇場に森と三人で初めて行った時、場内満員で空気が悪く、人酔いして見られない時があった。


 公演が終わり人の入れ替わりで、僕が最前列に陣取ったとき、鈴木さんが「昇、何をしているんだ、帰るぞ」と言う。


 僕はまだ何も観ていないと言っても、帰ると言ってきかない。こういうときの鈴木さんは冷たい。後をついて行くしかなかった。


 フィリピンパブに二人でハマった時もある。多い時は、一週間通しで店に行った。よくお金が持ったと思う。


 明け方まで、カラオケに行った時もある。家に帰ると、最低二時間は寝る様にした。寝ないで仕事をした事は何度もあるが、かなりきつい。


 一人で遊ぶ時もある。根性試しだと思い、若い女の子をナンパして飲む事もあった。 女の子を選ぶ時、僕は出来るだけスタイルの良い可愛い子にした。特に自分に自信のある子の方がナンパし易かった。


 ビリヤードが流行った時、ナンパした子がナインボールに自信あるからやろうと言う。


 「私が勝ったら二万もらう。貴方が勝ったら朝まで付き合うから、私を好きにして良いわ」


 勝負が始まる。僕が先行だ。第一打力強く打つと「パーン」と玉の弾ける良い音がなる。コロコロと九番ボールがポケットへ入った。


 それこそ映画のワンシーンの様だった。


 「キャー何、怖い」と僕を見た。


 僕は鈴木さんと嫌と言う程、ビリヤードをしていて自信がある。女の子など相手にならない。何度やっても勝てないので最後は、自分の手で九番ボールを入れていた。


 約束通り僕は、朝まで女の子を好きにさせてもらった。

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