第58話 家出決行
日の出屋支店は毎日暇だった。僕のこずかいは高校時代と同じ二万円。
僕は家出の計画を立てた。一番に問題なのは住む場所だ。八丁畷のドヤ街を調べた。一泊千五百円~と書いてある。カプセルホテルも調べ、一泊三千五百円。最悪ここら辺に泊まる事を決めた。
次に働く所だ。未成年者の僕に、良い働き場所など無い。求人誌を見て日払いの所を探した。引っ越しの補助の仕事を見つけ、問い合わせたら募集は毎日しているので、いつでも来なさいと言われた。
そして最後の問題。スピーチエイドだ。これが無ければぼくは会話が出来ない。スピーチエイドを作ってくれる歯医者の先生は、診察場所をよく変えていた。連絡は親父に行く様になっている。先生に相談する必要があった。
消去法で問題を一つずつ解決して行った。
駄目もとで、高校時代の友達である金子に相談した。金子は弓道部だったが、仲が良く親は持ち家で良い生活をしていた。困っている僕を助けてくれると約束した。僕は金子の家に居候する事に決めた。
年明けあと二か月で専門学校卒業と言う時に家出を決行した。
金子の母親から、好きなだけ居ても良いと言われた。その日に、日払いの仕事の面接に行き、採用が決まり翌日から働く事にした。
一日五千円位稼いだ。
食事と洗濯を金子の母親がしてくれて、僕は毎日稼いだ中から三千円を渡した。日の出屋から出る時、着替えしか持たずバック一つで来ていた。
日の出屋は、大騒ぎになっていた。親父が、すぐに警察に捜索願を出した。
兄が森に僕の居場所を知らないか電話で尋ねたが、知らないと森は答えた。
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