第19話 親父の口癖

 秋になると修学旅行があった。


 京都、奈良へ中学生最後の思い出作りだ。親父が修学旅行は駄目だと言った。旅費が払えないのと、僕がいない三日間、仕事の人手が無く困ると言う。


 「分かった、修学旅行は行かないよ」


 少しふて腐れながら僕は答えた。


 受験勉強は、全くやらせてもらえなかった。


 親父はよく「お前の自由にはさせない!嫌なら出て行け!俺がいなければ一家離散でお前は施設へ行くのだ。橋の下から拾われたお前が生意気いうな!住む所と飯が食えるだけ幸せだと思え!」


 僕が小学生で店の手伝いをしていた頃から怒鳴り散らしていた。


 年末は、店で年越しそばを販売した。僕が小学生の時から続いている日の出食堂の行事だ。


 当時コンビニや大型のスーパーなども無く、年末年始は商店街も休みだった。日の出食堂は大盛況だった。大晦日に販売した年越しそばは、飛ぶように売れた。


 元旦から営業している店は無く、店には行列が出来た。

 

僕は一生懸命働いた。

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