第二章 バスケットボールとの出逢い

第12話 野球部からバスケ部へ

 小学校を卒業して、兄の通っている中学に入学した。


 僕は野球部へ入った。僕は左利きだ。親父にせがんで、左利き用のグローブを買ってもらった。


 僕は、小学生の頃から、壁相手に時間がある限り投げ込みをして鍛えていた。ピッチャー志望で、球の速さには自信があった。野球部は強豪で、毎年県大会に出場していた。  


 練習も十八時過ぎまでやっていた。


 ここで親父が、とんでもない行動に出る。十六時になると、学校に仕事があるから帰るようにと、電話をして来たのだ。


 僕は野球がやりたい一心で、十六時まで練習して帰るようにした。顧問の先生が、親父を説得してくれたが聞く耳を持たなかった。サウスポーで、球威のある僕を惜しいと考えていた。


 そんな時、事件が起きる。同期のピッチャー志望の浜田が、僕を目の敵にして来たのだ。二人でランニングをする事が多かったが、僕のみつくちの障害を、執拗に口にした。


「みつくち野郎、喉ちんこが無いなんて人間じゃない。お前なんか、皿でも洗っていろ」

 

 浜田の言葉が、僕の心に突き刺さる。僕は浜田を人間として許せなかった。そんな言葉を吐いてまで、レギュラーになりたいのか。


 僕は、野球部を辞める決心をした。その代わり僕は、バスケットボール部へ入部する事にした。兄がバスケット部にいた事もあるが、動きの激しい事も魅力的だった。兄は高校に進学してバスケットを続けていた。


 僕が野球部を辞めて、一番驚いたのは顧問の先生だった。必死になり、僕に野球部へとどまるよう説得されたが、気持ちは変わらなかった。

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