第9話 離婚問題

 僕が小学四年の時、親父が母と離婚すると言い出した。


 僕達兄弟姉妹に、親権の問題で親父につくか母につくか考えろという。僕以外の三人は、即答で親父を選んだ。


 僕は母が気の毒で、どちらにつくか決めかねていた。母を選べば、貧しく苦労するのは目に見えている。親父を選べば、苦労はするが生活は何とかなりそうだ。兄弟姉妹とも別れたくない。僕は悩み抜き親父を選んだ。

 

 ある日、母が病院を外泊して家に一人でいた。学校から帰ってきた僕は、何だろうと思い母に尋ねると、親権が親父に全員行く事に怒り戻って来たという。


 手には、包丁を持ち「昇だけは、私の気持ちが分かると信じていたのに!この裏切り者!殺してやる!」そう言うと、半狂乱になり包丁を振り回し僕に襲いかかって来た。


 殺される。


 僕は、必死に外へ飛び出し助けを求めた。近所の人が、警察に通報してくれた。警察が来て、騒然となると親父が帰ってきた。


母を拘束すると、そのまま精神病院に連れて行かれた。


親父を選んだのは正解だと、この時思い知らされた。

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