第4話 家の事
僕の家は、大衆食堂を営んでいる。
「日の出食堂」
入口を入り、すぐ正面に棚がありおかずが何種類も並んでいて、お客さんがそれを選び電子レンジで温める、昔ながらの定食屋だ。
店の奥へ入ると、長テーブルがあり三十人は楽に入る。当時ライバル店がいなくて大繁盛した。パートも五人雇い店を切り盛りした。
しかし近所にライバル店が出来る。それも三店舗も一気に。
一番痛かったのは、日の出食堂の真ん前に信号機が設置された事だろう。昼食のピークの時間、ほとんどのお客さんが車で来店していたのだ。路上駐車が出来なくなり、お客さんが他店に流れた。
一気に経営が厳しくなる。
親父はパートを一人残して解雇した。僕達兄弟姉が、店の仕事をするようになる。僕は、七歳の頃から皿洗いが仕事になった。店の休業日は木曜日で、日曜日も皿洗いをした。
親父は「昔の子供は、丁稚奉公して働いたのだ」が口癖になった。
遊びたい盛りの僕には苦痛でしかなかった。
僕は四人兄弟姉妹だ。小学校にあがるまで三人兄弟姉だと思っていた。保育園に通っていた頃から、毎月女の子が泊まりに来るようになった。
美沙というその子は、いつもすましていて可愛げが無く、僕は苦手だった。親父は、自分の娘を兄に預けていたのだ。
「お前達には妹がいる。来月から一緒に暮らすからかわいがってくれ」
いきなりなので面喰ってしまった。美沙も不安だっただろう。一緒に暮らす様になり、僕にもなついてくれて仲良くなった。
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